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IBで地域活性化に挑戦する

昨日の日経新聞で嬉しい記事が取り上げられた。
以前もここで紹介させてもらったことがあるが、
私たちとも関係の深い、高知県香美市の話題だ。

香美市は、龍馬空港からほど近く、高知市からもさほど遠くない、人口26,000人ほどの街だ。
岐阜も田舎とはいえど、岐阜市の人口は40万人ほどと言われているので、それと比べても非常につつましいサイズの、美しい田舎町だ。

今、日本の地方都市はほとんどが、人口減という基本的かつ非常に大きな社会課題に直面している。
それをもう手の施しようがないと座して待つか、何か方法があるはずだと考えて立ち向かうか・・・
香美市は後者だ。

市の教育政策を担当していた女性の先生が、何年か前に私に連絡をくれた。話を聞くと、
「香美市全体を"探究のまち"として活性化させたい、その最初のプロジェクトとして市内のひとつの小学校をIBスクールにしたい」

サニーサイドは日本の一条校で最初の認定校となったが、それは私立学校としての話であり、まだ公立のIB小学校はその時存在していなかった。
話を聞いて嬉しくなり、早速IB機構の総裁にまずは応援メッセージをもらって当時の市長さんに届けることにした。

ちょうど総裁と一緒に韓国のIB校の視察をすることになっていたので、事情を説明すると快諾してくれ、ホテルの部屋で携帯電話をつかってメッセージを撮らせてもらい、後日、市長さんと市議会議員の皆さんの前でそれを見せて、香美市の勇気ある行動を、世界のIBコミュニティーが注目し、支援しているとお伝えした。

高知と言えば、なんと言っても日本の歴史を変えた坂本龍馬の生まれ故郷だ。
当時の香美市の教育長も(そして今の教育長も)、私が最初に知り合った先生もすべて女性。
どの先生も、私が読んだ坂本龍馬伝に出てくる龍馬の姉の乙女を思い出させる、歯切れが良く、そして胆力がある。(そして酒に強い!笑)

小さな田舎町とは言え、日本でまだどこもしたことのない挑戦をするためには、色々な人の理解を得なければならない。
市長さん、議員さん、地域の方、保護者・・・
確固たる覚悟でそれを見事に進められ、認定校になった今では、大宮小学校には視察者が毎週のように訪れる。

今回取り上げられた記事では、大宮小学校がIB認定校になったことを知った人たちから、
【移住相談が37件あり、うち9世帯が実際に移り住んだ】
ということが書いてある。

それだけではない、私はそれ以来、香美市の先生方が日々教育実践を研究され、授業を改革し、それによって子どもたちが大きく変化しているのを知っている。あるプロジェクトで、彼らのビフォアアフターを調査してきたからだ。

そして、今、IBに挑戦したいという地方自治体がどんどん手を上げてきている。
岡山県の備前市は、市内の小中学校15校をすべてIB校にするという決断をして、この4月から本格的な取り組みが始まる。

その他、具体的な名前はまだ公表できないが、
IB本部には、香美市よりさらに小規模な町や、震災からの復興事業の一環としてIBへの挑戦を考えている町もある。

IBの探究型学習においては、
自分たちの地域を学びのリソースとしてとらえ、
地域にどんどん出かけていくようなカリキュラムが多く組まれることがある。
実際、うちの生徒たちも毎日のように外に出かけている。
そういう中で、地域の人たちもまた、子どもたちとの交流を楽しみ、学びをサポートしてもらえる好循環が生まれている。

そして、香美市はアンパンマンの生みの親、やなせたかしさんの故郷でもあり、アンパンマンミュージアムがある。
次のNHK朝の連ドラは、やなせたかしさんの奥さんのストーリーだ。
香美市の大ファンのひとりとして、今後も、香美市の将来を見届けられるのが楽しみで仕方がない。


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