学校をつくろう

日本の田舎にある小さな幼稚園の園長が、国際バカロレア(IB)教育と出会い、学校教育の本…

学校をつくろう

日本の田舎にある小さな幼稚園の園長が、国際バカロレア(IB)教育と出会い、学校教育の本来の意義をもとめて、新しい学校を作ろうともがき苦しんでいるそのリアルなストーリーを、綴っていくものです https://www.sunnyside-international.jp/

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自己紹介

私は岐阜県岐阜市でサニーサイドインターナショナルスクールという幼稚園+小学校+中学校を経営しています。 厳密には、幼稚園に関しては日本の法律における一条校と言われる「学校法人立」のプロパーな認可幼稚園ですが、小中学部についての法的な位置付けは無認可、つまり「フリースクール」と呼ばれるカテゴリーになります。 大人しく、幼稚園の園長先生をやっていればいいものを、ある時ひとりよがりな使命感に目覚めてしまい、「日本の学校教育を変えるのだ!」と息巻いて、とんでもない大風呂敷を広げてし

    • 岐阜にすごい児童合唱団がある

      これからの地域、日本を背負って生きていく子ども達の教育がどうあるべきかを考えることは社会の大人すべての責任だ。 今日は、午後から地元の児童合唱団(ながら児童合唱団)の発表会を観に行かせてもらった。 うちの生徒たちも何名か団員として通っているようで、子ども達が先日わざわざ招待状を届けにきてくれた。 昨年は、確か海外出張と重なって行けずにいたので、今年こそはと楽しみにして出かけた。 実は姪が昔お世話になっていた関係もあり、何年も前に一度観に行かせてもらったことがある。 頭の中

      • 「おりこうさん」な子どもを先生たちは求めていない

        新年度が始まって一週間が過ぎた。 もう25年以上この仕事をしているが、 昔は、入園式直後の幼稚園といえば、あちらこちらから年少に入りたての子どもたちの大きな泣き声が聞こえてきたものだ。 もちろん、今でも泣く子はいるものの、昔と比べれば圧倒的に落ち着いているようだ。 うちの場合、満3歳児クラスと言って、半年前から前倒しで始まるクラスに通っていた子が半分ほどいるので、 慣れている子が多いというのと、クラスのサイズが昔ほど大きくないことも関係しているのだろうが、実は、私のようなも

        • 私たちにしか作れない学校にしたい

          今日はうちの小学部の始業式・入学式だ。 この所数年、入学式の季節には、桜がもう散ってしまっていたが、今年はまだほぼ満開の状態で迎えることができる。 桜と新生活の始まり・・・日本は素敵な情緒を持っている国だ。 今年の桜が少し遅めだったのは、冬の暖冬が原因だと聞いた。普通に考えれば、冬が暖かければその分、桜の開花も早まるような印象があるが、 実は、「休眠打破」といって桜の芽は低温の刺激を十分に受けたのちに気温がぐっと上がることで芽吹くらしく、すなわち、低温の刺激が十分にないと

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          新年度の始まりに思うこと

          日本の学校カレンダーでは、いよいよ今日から新しい一年が始まる。 コロナの最中であったか、日本も年度の始まりを9月からにしようではないかという議論が再燃したことがあったがいつの間にかそれも立ち消えた。 アメリカなどは9月始まり、オーストラリアやニュージーランドオセアニアは2月始まり・・・ どうも夏休み明けから新年度が始まるのが世界的には多いみたいだ。 とにかく世界の主流に合わせようともともと始まった議論が、コロナで学習進度が遅れたことが問題になり、このままでは受験に間に合わな

          新年度の始まりに思うこと

          IB グローバルカンファレンス

          毎年3月にある、年一度のイベント、アジア太平洋地区の教職員を対象にしたIBグローバルカンファレンスにやってきた。 世界に広がるIBは、一応、エリアを3分割している。「欧州アフリカ」「南北アメリカ」そして「アジア太平洋」の3地域だ。 初めてカンファレンスに参加したのは、うちが候補校だった頃なので、もう10年位前になるが、その時は、インドのハイデラバードという街まで出かけた。 今の所、最初で最後のインド旅だった。何しろ勝手が色々わからないので会場までたどりつくのもひと苦労だっ

          IB グローバルカンファレンス

          IBで地域活性化に挑戦する

          昨日の日経新聞で嬉しい記事が取り上げられた。 以前もここで紹介させてもらったことがあるが、 私たちとも関係の深い、高知県香美市の話題だ。 香美市は、龍馬空港からほど近く、高知市からもさほど遠くない、人口26,000人ほどの街だ。 岐阜も田舎とはいえど、岐阜市の人口は40万人ほどと言われているので、それと比べても非常につつましいサイズの、美しい田舎町だ。 今、日本の地方都市はほとんどが、人口減という基本的かつ非常に大きな社会課題に直面している。 それをもう手の施しようがない

          IBで地域活性化に挑戦する

          探究ブーム

          どうやら初等教育の世界では今や「探究ブーム」が起きているようだ。 日本の学校の学習指導要領はおよそ10年に1度という頻度で改訂されるものらしいが、前回の改訂直後は、「アクティブラーニング」というワードがかなり聞かれるようになり、 私が岐阜県の教育ビジョン策定委員をさせていただいたその頃、 見学した学校には「アクティブラーニングルーム」なるものが設置され、その部屋では”特段に”(主体的・対話的な深い学び)が行われるというものがあった。 とはいえ、学校のカルチャーそのものが、色

          Internationalmindednessの探求

          Internationalmindedness・・・何とも長い英単語だ。普通これほど長い英単語にお目にかかることはないが、IBの文脈では、一応ひとつのワードとして扱われている。 インターナショナルマインディットネス、「国際的視野」という翻訳が適当とされているらしいが、うちの学校ではそのまま英語読みで通している。 英単語を何もすべて日本語にしなくてもいいはずだ。時には外国語をあえて日本語にせずに取り入れることがあってもいい。 それもひとつのInternationalminde

          Internationalmindednessの探求

          ウチの子自慢

          かつての卒業生からメッセージが届くのは、この仕事をしていてもっとも嬉しいと感じる出来事だ。 今日は思い切りウチの子自慢をさせてください。 本人から承諾を得ているのであえて名前を出します。りょうちゃんは現在東京学芸大学附属高校の3年生。 彼女はもともとうちの幼稚園の卒園児で、私は彼女が3歳の頃からずっと知っている。(その頃は自分もバスを運転して家まで迎えにいっていたものだ) うちの小学部が初めて出来た7年前、すでに美濃市の公立小学校に通っていたりょうちゃんは、妹がサニーサイド

          大人として何が出来るのか

          かねがね思っている。子ども達がうける学校教育がどうあるべきかを考えることは世の中のすべての大人達の責任だ。 子どもを持つ親の問題だけでもなければ、教育委員会や先生達だけの問題ではない。社会のすべての大人達が関心をもち、自分は子ども達のために何が出来るのかを考えるべきだと思う。 なぜなら、子ども達が未来の社会、未来の日本、そして世界をつくる存在であるからだ。 自分たちが年老いて、社会的弱者になった時、その私たちを支えてくれるのは今いる子ども達だ。 めまぐるしい変化の時代に

          大人として何が出来るのか

          私たちの成長曲線

          「Silver lining(シルバーライニング)」という英単語がある。雲に覆われた空に光が射し込む様のことに違いない。 私たちのこのプロジェクト「学校をつくろう」は、一目にはワクワクする感じにみえるが、実際、特に私のように、アイデアや気持ちはあっても資金的な裏付けや強力な政治力のない者にとっては頂上の見えない山を登っているようなものだ。 もうひとつ、今の気持ちを例えるならば、何トンもある「重い扉」開けようとしている感じかな。 恐らく到底一人では無理だ。それに何でも自分で

          私たちの成長曲線

          正解がひとつでない時代を生きる

          私のNoteの数少ない、でも熱心な読者の方から、「文体が丁寧すぎる。ですます調は合わないのではないか」とご指摘をいただいたので、一度、変えてみます。 いや、変えてみる。 入学説明会の折、参加した保護者のみなさんに時々話すことがある。「選択する」ということについての話だ。 説明会にくる保護者は、果たしてこの学校を選ぶべきか、そうするべきでないかを検討しにきている。熱心に話を聞きながら、我が子にとって「最善の選択」をしようと考える。 では、「最善の選択、ベストな選択」とは何な

          正解がひとつでない時代を生きる

          探究のはじまり

          もう悠に30年以上前の話ですが、こんな私にも学生だった時代があります。ベルリンの大学の社会学部で初めて授業を受けた時、担当の先生が最初に言いました。 「君たちが飲むたった一杯のコーヒーにどれほどの人が関わっているか、そういうことを常に考えて生活しなさい、それが社会学の入り口です」 コーヒー豆をはるか遠くの国で生産している人たちにはどういう生活があるのか、どのようにして売買され、運ばれてくるのか、それを客に売っているカフェの経営はどうなっているのか、ウェイターの給料はいくらなの

          探究のはじまり

          不服従で良し

          年末くらいからここ数週間、どうも体調がスッキリしません。加齢と共に身体が硬くなって、やれ腰が痛いとか肩が凝るとかいうのは運動もろくにしない中では当然ですが、最近は胃袋が炎症を起こしているのか、重た〜い感覚と、食べた後に何となく痛かったりします。 周りの人は、精神的なストレスではないか、場合によっては胃潰瘍か何かあるのではないかと心配してくれますが、精神的なストレスと言われれば、心当たりは山ほどあります。(笑) すべては自分で広げた風呂敷、文句は言うまい、ましてや石川でこの極

          AIと学校教育

          昭和に生まれてよかった 若い人を見ていると、その若さを羨む気持ちもありますが、逆に「昭和世代で良かった」と思うことも最近は良くあります。 自分のスマホを時々、投げ出したくなります。アプリだのなんだのはっきり言ってついていけないと思うし、デジタル補正の技術がどんどん向上してくると、写真でも音声でも、何なら動画も、何を信じていいのかわからない世界になりつつあります。 いちいち全てを疑わなくてはいけなくなれば、人間関係が分断されてしまうようなものです。 私が若い頃海外へ出てい