ヤドカリ論〜借り物のアイデンティティ〜

今回は以前書いた思春期型メンヘラの記事に書いた「他人のアイデンティティを借りる」という現象についての解説になります。

前述した思春期型メンヘラを始め、アイデンティティが弱い人というのがいます。
アイデンティティが弱い人というのは心の中に常に迷いがあります。
自分がどうありたいのかという事が分からないのです。
そして気がついたら他者から承認される事に依存したり、他者のアイデンティティに依存する傾向があります。
今回は後者の他者のアイデンティティに依存する人についての記事になります。
※他者からの承認に依存する事については「付加価値依存症」の記事で解説しています。

他者のアイデンティティに依存するというのはどういう事でしょうか。
人間はアイデンティティが強い弱いに関係なく、他者からの影響というものは少なからず受けるものです。
誰かに憧れたり尊敬したりするという事もよくある事でしょう。
そして「この人の考えを取り入れてみたい」とか「この人のようになりたい」と思うようになる。
これ自体は決して悪いことではありませんし、むしろ良い事だと僕は考えています。

アイデンティティの弱い人の最大の問題点は「自分はこうなりたい」という理想がそのまま都合良く「自分はこうである」に変換される事にあります。
自分が憧れたり尊敬している相手を神格化する事で自分という存在がその相手に近づいていき、段々と等身大の自分からかけ離れていくのです。

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