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第167回 氷川風土記「須佐之男命と楠の話」

氷川神社境内には楠の大木が何本も見られます。 日本各地の神社の森には、楠の大木が多く見られ、ご神木として人々の信仰の対象とされてきました。

また、樹木に宿る精霊を「木霊(キダマサマ、コダマサマ)」として信仰する地域もあります。

暖かい地域にしか生息しない楠は世界的に見ても珍しく、日本では主に西南部一帯に生育しています。 その楠は氷川神社の主祭神・須佐之男命がお生みになった木のひとつです。

日本書記には、須佐之男命が眉毛から楠をお作りになり、さらに「スギとクスノキで船を作ろう」と宣ったことが記されています。 島国・日本には船は不可欠ですし、船のみならず、楠の葉や煙が防虫剤や鎮痛剤として用いられ、生活の欠かせないものになりました。

薬としても用いられたことから「薬の木」と呼ばれ、そこから「楠」に転じたともいわれます。

この他、楠の葉などにある独特の香りから「臭し(くすし)木」とされ、それが語源だとする説もあります。 葉だけではなく、楠の樹液は「樟脳」と呼ばれ防虫剤として古くより使用されています。

また、日本の楠から作られる樟脳は江戸時代、金・銀に次ぐ輸出品でした。

さらに、樟脳は精製するとカンフルとなるため、第一次世界大戦で麻酔や強心剤としてヨーロッパで重宝されていました。 須佐之男命がお生みになった楠は、日本人の生活のみならず、世界にも広がっていきました。 神話の御代から大切にされてきた楠。

氷川神社のさまざまな場所で楠を見ることができます。

〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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