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[感想] BarbieとPoor Things

 映画 BarbieとPoor Things(哀れなるものたち)をまとめて扱った粗めの感想です。ネタバレします。ちなみに米国で観ました。

 まず、Barbieは若干ついていけないところがあるくらいアメリカ!だし(サンダルで通勤はあっても面接は演出上と差し引いても)、Poor Thingsもキリスト教的世界観だなあと感じざるを得なかった。日本語でどうなっているか知らないけれど、ダイレクトにGodて呼ばせてるのとか、オチでヤギと入れ替えるとか。そうした違いに関わらないところももちろんたくさんあって面白い作品だなとは思った一方、日本の文化圏で基本的に育ってきた自分の感覚にはそのしっくりこないところがちょくちょく刺激になって、なんともテーマが素直に入ってこなかった。え、どゆこと?それ何?みたいな雑念がよぎって現実に引き戻された。

 Barbieに関しては、人形は身近でなくとも、それが伝えてきたコンセプトは80-90年代の女の子が主人公のアニメ作品で扱われてきたものを思い出したし、今回のに似たテーマの邦画ってあったかなと考えているうちにプリキュアに思い当たった。プリキュアの方がシリーズが長い分、多様性の解像度を高く複雑なトピックをより分かりやすく描いている気がする。映像は楽しいんだけど、バービーちゃんも人間もみんな強者だし、アイデンティティがしっかりしてるし。バービーワールドの外はもっと厳しいところがあることなど考えているうちに、鑑賞後は勝手に後味が悪くなってしまった。読み返したら酷評してるみたいになってしまったけど、そのつもりはないのです。むしろアラン目線で一本映画欲しい。

 Poor Thingsは、18禁やむなし、なのだけれど、高校生から大学1回生くらいの、嫌でも認識する性と若さの市場価値(←くそくらえ!)に翻弄されながら十分大人なつもりでいるけれど、大の大人から見れば自己形成の途中で好奇心を持て余した子どもでしかない、そんな年代に観た方が、ベラと一緒に感情移入しながら物語を辿れるような気がした。自分はもはや、あの船上で出会ったおばあさまか話のつまらないおばさまの視点なのだと思う。若い人に何かしてやれることがないだろうか、というのと、社会でそつなくやっていくための癖がついてしまっているのと。


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