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スィートドリーム 番外編 猫耳狂想曲 フリート編 ショートショート 

 文 永遠ノ一瞬  絵 天羽弓  by アイディアルくらぶ

 ん? ……あれ?

 僕は目を覚ましたのだけど、なにか違和感を感じた。
 なんだか、頭の上のほうがくすぐったいような……。

「お兄ちゃん! 起きてる?」
 いつものように、妹のウェメスが僕を起こしに来た。そして、妹の頭には……。

 ヒョコ、ヒョコと、獣の耳が可愛らしく動いていた。

 ということは……まさか、僕の頭にも?
 おそるおそる頭を触ってみた。……なんか、ある。僕は急いで、鏡で確認してみた。
 そこには、妹と同じ可愛い猫耳がついていた。

「うわあー! なんだ、これ?」
 僕は叫び声を上げた。妹は不思議そうな顔をして、僕を見て言う。
「なに言ってんの? お兄ちゃん」
「なにって……こ、こ、こ、こ」
「やだぁ、お兄ちゃん! 鶏にでもなったの?」
 震える手で頭を指さす僕を、妹は笑った。
「これ! なんとかしないと!」
 僕がやっとそう口に出すと、僕の部屋にお客さんがやって来た。
「やっほー! ふたりとも、なにしてるのー?」

 この声は……。いつも僕を明るくしてくれるカーナ島のお姫様……ミサリア姫!
 はっ! ……ということは、ミサリア姫にも猫耳が?

 自然と、僕の目は姫の頭を見ていた。
「そっか、お兄ちゃんは、この耳が気に入らないんだね」
 妹にそう言われて、僕は結論を出した。
「そんなことないさ」
 白い猫耳がついているミサリア姫は、まるで天使のような可愛さだった。

 そして、目が覚めて、僕は夢だったことを知り、安心したような、得したような気分だった。


今年(2024年)、小説版スィートドリーム 原作 FAA を電子書籍で出す予定です。全巻出せるよう、がんばります!