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子どもが学校にいかない―妄想お悩み相談室

妄想でお悩み相談を受け付けています。相談内容はフィクションです。回答は素人が真面目に考えて書いてます。

小学生の娘が学校へ行かなくなりました。最初は体がダルい~等いってだんだん休みがちに。なんとなく行きたくない、というので、学校でイヤなことがあったのかと尋ねてもはっきりしません。無理はさせたくないと思いつつ、将来を考えたら心配です。なんと声をかけたらいいのでしょう?
(かなで/30代/会社員)

将来が心配というのは、何を心配されてますか?  学業面?  人格形成面?
それらは、学校に行かなくても、養うことができます。

不登校は選択肢のひとつ

「不登校」とひとくくりにされがちですが、不登校児にはいろんなパターンがあります。例えば
・学校にもそれ以外の場所にも行かない、おうちにずっといるタイプ
・学校でなければ行けるので、フリースクールに通うタイプ
・学校の教室には入れないが、保健室に通えるタイプ
(最後の例は、不登校にはカウントしない場合もあります)
休みがち、ということですから最初か二番目のタイプなのかなと思います。

さて、最初にも書きましたが、心配されている将来というのは具体的にどういったことなのでしょうか。
学業面での遅れ? その場合は、お金はかかってしまうものの、通信教育や家庭教師など、対処の方法があります。
人格形成面? フリースクールにも行かないタイプのお子さんの場合は、他人と関わる時間が極端に少なくなるので、確かに心配ですね。ただこれも、行政に相談すると、児童福祉士や不登校児の支援を行うNPOも紹介してもらえるはず。家族ではない第三者との関りを0にしなければ、他人との関わり方という点での人格形成はきちんと行われていくはずです。あと、インターネットで他人と関わっていくこともできますね。この場合子どもに端末を与えて放っておくのではなく、最初のうちはどんなやり取りが行われているか様子を見た方がよいでしょう。

他に心配になりそうな要素としては、進学や就職でしょうか? 例えば高校に行かなかった場合、高校卒業認定試験というものがあります。
受験年度の終わりで満16歳以上の方が受けられます。
逆に、16歳でこれに合格していれば、日本の場合は18歳の大学受験まで、遊んで暮らしていてもいいわけです。海外留学するなら飛び級留学もできるのかな?
わたしの友人は、高校2年生の年齢に合格し、高校3年生の年齢では海外に遊学に行っていました。そういう方法もあるって知ってたら、わたしもそうしたかった。
就職に関しても、逆にそうしたおもしろい経験がある人材を欲する企業も多いのではないかと思います。学歴重視のところは難しいかもしれませんが……。あと、公務員は公務員試験を受けて通れば就職できたはず。高卒枠もありますね。

学校に行かないことがその後のお子さんの人生にとってどのように作用するかは、お子さんのやる気次第です。学校に通ったところで、思い通りの進学ができない、思い通りの就職ができない場面もたくさんあります。学校には通ったけど、進学や就職への意欲がなく、うまくいかないことだって、往々にしてあります。

不登校は心配すべき要素なのではなく、お子さんにとっては人生を選択する上での選択肢のひとつに過ぎないと、わたしは考えています。

学校に行ってほしいというのは、ようは親が、レールに乗る子どもを見て安心したい、ということなのです。

学校というシステムが合わない人はたくさんいる

わたしは、学校とは、個をできるだけなくして、集団で活動する練習をする場、だと感じています。
もちろん、先生によって異なりますが、一般的にきく学校のイメージとしては、これです。
そして、学校というシステムにあてはめようとすると無理のある人というのはたくさんいます。

学校での問題児が、フリースクールでは素晴らしい才能が花開く、というのはよく聞く話です。フリースクールによっては、学校教育では得られない豊かな学びがあふれていて、むしろフリースクールに通った方が子どもの将来にとっては有意義なのでは? と思う事例も。
もちろんすべてではありません。すべての子どもが一般的な”成功者”になるわけではありません。でもそれは、学校に通う子どもでも同じです。

つまり、子どもにとっては学びの場が異なるだけ。それであれば、子どもの特性に合わせて、子どもが豊かな学びを得られる方を選んであげた方が、お互いにハッピーになれるのではないでしょうか。

家ではない居場所が作れるか

学校に行くか行かないか、よりも大切なのは、お子さんが家庭以外で心を許せる居場所を作ることができるか、だと思います。
その居場所はもちろん学校において、でもよいのです。どこに居場所を作るかは、お子さん次第。
そしてその居場所や、そこでお子さんが出会う人たちを、保護者の方が受け入れることができるか、です。

そう、保護者が受け入れられない仲間を子どもが好み、そこに信頼を置くことだってあります。でもそれを受け入れられるかどうかは結構重要です。

家族以外で出会った心を許せる友人・メンター。それを親にとって好ましくないからと引き剝がされたら? 親への信頼が0になりますよね。
「あなたのためを思って」なんて言葉は無意味です。子どもにとっては今の自分に必要なものを奪っていく毒親にしか見えないでしょう。さらに、無理やり引き剥がされるという経験は、子どもが自分で決定しようという意思を削ぐことになります。それをこじらせると、今の自分があるのは、親のせい、という思考になり、自分では何も決定できない、自分で決定しているはずなのに自分の行動に責任を持てない大人になります。

わたしの兄は不登校児でした。フリースクールも居場所として機能していましたが、それ以上に信頼できる仲間を持っていました。そしてそこで出会った人たちを、親たちはうまく受け入れることができませんでした。結果、親子関係は悪化し、今うまくいっていない自分は親のせいだと思い込んでいる40歳を過ぎたオジサンが実家に引きこもっています。

もちろん、自分の子どもが搾取されているようだ、と感じたら、うまくそこから離れられるよう促すべきでしょう。でも、そうではないのなら、受け入れる努力は必要です。

子どもが家庭以外の居場所を作ることが、親離れの一歩になります。
これは、学校に通っていても、通っていなくても、同じです。

学校へ行きたがらない子どもへどう声をかけるか

相談内容の最後に「どう声をかけたらよいですか」とありました。
わたしだったら「今あなたは、どうしたいの?」と尋ねます。
学校に行きたくないといわれたら、「行かないでどうしたい?」と尋ねます。
ボーっとしてたいと言われたら、そうさせます。仕事で家を出なければいけない場合は、預け先を考えるか、年齢によっては安全対策をした上で、一人で家にいさせます。

何日かボーっとし続けると、ボーっとすることに飽きて、学校に行く、と言い出すかもしれません。
フリースクールの人が以前こんなことを言っていました。

ゲームも漫画も、好きなだけさんざんさせたら、そのうち飽きます。飽きると別のことをはじめます。そこから学びにつながったり、運命的な学びとの出会いがあったりします(ゲームの中にも運命が潜んでいるのかも)。子どもを信じて待つのが親の仕事です。

どうにもならない日々は不安に襲われると思いますが、不安なのは子どもも一緒です。そして学校に行っていたって、不安になることはあります。いじめとか、ね。自分の不安を解消するために、子どもに行動を強いるのは良くないでしょう。
わたしたち保護者は、あなたを信じてるよ、というメッセージを伝えながら、見守るしかありません。

不安になったら、どうぞメッセージをお送りください。聞く(読む)ことしかしませんが(アドバイスもしませんが)、吐露したい不安な気持ちを、受け取りますので。

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