「スーパーマン4/最強の敵」を今こそ誉めちぎってみる

こんにちは、映画がそこそこ好きな映太(えいた)です。

クリストファー・リーヴ主演のスーパーマン映画は「スーパーマン(1978)」を皮切りに4本作られましたが、その最終作となったのが「スーパーマン4/最強の敵」です。

この映画、

・製作会社が変わり、製作費が当初の50億円から10億円に減らされてしまった

・映画の売りである特撮が過去の3作から劣化した

・主演のクリストファー・リーヴ自身が考えたストーリーがご都合主義(スーパーマンが世界中の核兵器を破棄するという内容)

・「最強の敵」であるニュークリア・マン(スーパーマンの遺伝子と核兵器によって生み出され、スーパーマンの十数倍の力を持つ)がダサくて頭が悪い

と、評価が踏んだり蹴ったりなのですが、私にとっては愛すべき作品なので、今日は力の限り、誉めちぎってみたいと思います。


それでは、今日の誉めポイント一覧です!

【誉めポイント1】そもそもスーパーヒーロー映画で4作目も作られたことがすごい

【誉めポイント2】ちゃんとナンバリングの続編として作られている

【誉めポイント3】ロマンスの行方をちゃんと描いている

【誉めポイント4】オリジナルキャストがちゃんと出演している

【誉めポイント5】愛すべき敵がいる

【誉めポイント6】全ヒーロー映画で最大級の人助けの量

【誉めポイント7】少年の希望になっている

【誉めポイント8】ヒーローの老いを描こうとしている

【誉めポイント9】スーパーマンのテーマ曲をちゃんと使っている

【誉めポイント10】安心・定番のラストシーン

--------------------

【誉めポイント1】そもそもスーパーヒーロー映画で4作目も作られたことがすごい

クリストファー・リーヴ主演のスーパーマン映画は
「スーパーマン(1978)」
「スーパーマンII/冒険篇(1980)」
「スーパーマンIII/電子の要塞(1983)」
「スーパーマン4/最強の敵(1987)」
と、足かけ10年で4本が制作されたのですが、
同一主演俳優でのシリーズのスーパーヒーロー映画で4作も作られること自体、実はほかに例がありません。

例えば、バットマン4部作は
「バットマン(1989)」
「バットマン・リターンズ(1992)」
「バットマン・フォーエヴァー(1994)」
「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲(1997)」
ですが、主演は1,2本目はマイケル・キートンですが、3本目はヴァル・キルマー、4本目はジョージ・クルーニーとなっています。

同じくバットマンでは、クリスチャン・ベール主演のダークナイト3部作は3本で完結していますし、
トビー・マグワイア主演のスパイダーマン3部作も、3本で完結です。
ダークマン3部作は、1作目だけがリーアム・ニーソン主演で、2,3作目がイムホテップことアーノルド・ヴォスルー主演です。

ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンや、ロバート・ダウニーJr演じるアイアンマンは、多数の作品で主演級ですので、
クリストファー・リーヴはこの二人の先駆けとも言えます。

特にスーパーマンの場合は、若々しさと清潔感が売りであり、全身タイツ姿でボディラインが丸見えなので、
足かけ10年も同じ体型で演技を続けるのは並大抵のことではできません。

そもそも4作目まで作られただけで、称賛に値すると思うのです。拍手!


【誉めポイント2】ちゃんとナンバリングの続編として作られている

映画のタイトルって、実はナンバリングを名乗り続けるのはかなり勇気がいることだと思っています。
先ほど書いたバットマンシリーズも、もしタイトルが
「バットマン」
「バットマン2」
「バットマン3」
「バットマン4 Mr.フリーズの逆襲」
だったら、ずいぶん印象が変わりますよね。
シリーズのファンなら、気になりませんが、途中からシリーズを見ようと思った観客には
「前作を見ていないと話についていけなさそうだなあ」
と思われてしまいます。

新しいファンを呼び込むためには、タイトルを斬新にしないとなあ、という気持ちが働くのはやむを得ないと思いますが、
でも、映画の内容は結局のところ、続編以外の何物でもないので、
「スーパーマン4」と堂々と名乗っているだけで、誉めてあげたいのです。


【誉めポイント3】ロマンスの行方をちゃんと描いている

クリストファー・リーヴ主演のスーパーマン映画シリーズは、
スーパーマン(クラーク・ケント)とロイス・レーンのロマンスで成り立っています。
この要素があり、二人の関係に変化があるから、女性ファンも多く獲得でき、デートムービーとしても成功しました。

1作目では、二人の出会いと、ロイスの死、そして復活を描きます。

2作目では、ロイスにクラークの正体がばれ、スーパーマンは生身の人間としてロイスとの愛を選択します。
(ラストでクラークの秘密に苦しみ泣きじゃくるロイスにクラークがキスをして記憶を忘れさせる場面が最高!)

3作目では、クラークは高校時代の恋人ラナ・ラングと浮気し、ロイスはそれを寂しそうに見守ります
(ラストでクラークがラナにプレゼントした巨大なダイヤの指輪を見た時のロイスの切ない表情が泣ける!)

そして本作では、出会いから10年がたち、すでに中年になった二人の大人の恋のその後が描かれます。
二人の愛に割り込む新ヒロインのレイシーが登場しますが、3作目の時とは異なり、クラークの心はロイス一筋です。
もう、この二人はこれで大丈夫な、あとはシリーズの続編が作られなくても、二人は幸せにやっていくんだろうなと思えます。


【誉めポイント4】オリジナルキャストがちゃんと出演している

本作では、スーパーマン役のクリストファー・リーヴとロイス・レーン役のマーゴット・キダーはもちろんのこと、
1,2作目の宿敵レックス・ルーサー役のジーン・ハックマン、ペリー・ホワイト編集長薬のジャッキー・クーパー、ジミー・オルセン役のマーク・マックルーアなど、主要キャストが勢ぞろいしています。

ここで評価すべきことは、いずれのキャストも友情出演的なカメオ出演ではなく、ちゃんとキャラクターの役目を果たしている本気の出演だということです。
製作費はかなり削られてしまいましたが、キャストの確保と演技の部分では製作費を死守したのだろうなあと思わせます。

特撮スタッフの立場からすれば、特撮にかける製作費が削られたのは非常に悔しかっただろうなと思いますが、
観客から見れば、映画で最も重要なのは愛すべきキャラクターの演技が見られることはせめてもの救いと思います。

もしもこの優先度が逆転し、「特撮は素晴らしいがオリジナルの出演者が全員交代」であったなら、この映画は愛すべき映画にはならなかったかもしれません。


【誉めポイント5】愛すべき敵がいる

このシリーズの魅力の1つとして、敵がコミカルでどこか憎めないという点があります。
宿敵レックス・ルーサーは、実際にやっていることは極悪極まりないのですが、いつも映画の結末でスーパーマンに敗れると、ただの情けないおっさんになり、観念します。

また、敵の相棒(子分)役は、さらにマヌケで憎めないキャラをコメディ・リリーフ配置しています。
(今作では、甥のレニー・ルーサーがそのポジションを獲得)

レックス・ルーサーがスーパーマン打倒のために生み出した「最強の敵」ニュークリア・マンも、脳筋を絵に描いたようなキャラで、心底憎めません。


【誉めポイント6】全ヒーロー映画で最大級の人助けの量

ヒーロー映画のカタルシスは何といっても、ヒーローが人助けをするシーンにあります。
今作でのスーパーマンは、
・軌道から外れたソ連の宇宙船を直す
・暴走する地下鉄を、線路を足で踏んで電気を絶縁して(気合で?)止める
・火山の噴火を別の山を切り取って蓋にして止め、街に流れ出た溶岩を冷たい息で凍らせて止める
・破壊された万里の長城から落下する人を救い、目から出る謎の光線で修復する
・落下する自由の女神を受け止めて、台座に戻す
・全世界の核兵器を宇宙に廃棄する

のように、桁外れなスケールの人助けをします。
製作費10億円でこれだけのことをしているのですから、ものすごいコストパフォーマンスの人命救助です。
実際にこれだけの事件を現実世界で解決しようとしたら、何百兆円もかかるでしょうから。


【誉めポイント7】少年の希望になっている

このシリーズでは、スーパーマンならではのダイナミックな人助けのシーンが見どころの一つですが、同時に、必ず少年少女を助けるシーンが描かれます。

1作目では、木から降りられなくなった猫を少女のもとへ届ける。
2作目では、ナイアガラの滝に落ちた少年を助ける。
3作目では、トウモロコシ畑でコンバインに轢かれそうになった少年を助ける。
そして本作では、核兵器を廃絶してほしいという少年の夢に応えます。

少年が「大きくなったらスーパーマンになりたい」と思える世の中はいいなあと思わせます。


【誉めポイント8】ヒーローの老いを描こうとしている

ニュークリア・マンとの1度目の戦いでスーパーマンは深手を負い、病気になります。
ロイスが見舞いに訪れますが、風邪を引いたと言い訳をします。
しかし、その後もどんどん症状は悪化し、髪は白髪になり、抜け落ち、老人のような姿になります。

ウルヴァリンやプロフェッサーXの最期を描く「LOGAN/ローガン」でもヒーローの老いが描かれましたが、
本作はその先駆けともいえます。

ヒーローの老いを正面から描いた作品は、なかなかありません。
マスク・オブ・ゾロでの新旧ゾロの交代劇も、まだ先代ゾロはかなり動けそうでしたし、
ダークナイト・リターンズは未だに映画化されていませんし。
個人的には、60歳になったスパイダーマンも見てみたいです。


【誉めポイント9】スーパーマンのテーマ曲をちゃんと使っている

スーパーマンといえば、ジョン・ウィリアムズのテーマ曲ですが、本作ではオープニングでもエンディングでも、
余すところなくフルで曲を使用しています。
これは当たり前のようで、なかなかできない事です。
例えば最近ですと、「スーパーマン・リターンズ(2006)」でも同曲は使用されていますが、
オープニングでもエンディングでも途中が省略されていたり、途中から使用されていたり、実は完全な形では使用されていないのです。おそらく、時代のスピード感に合わせて、短めにしているのだと思います。


【誉めポイント10】安心・定番のラストシーン

このシリーズのラストシーンは必ず、地球の向こうから太陽が昇る背景をバックに宇宙をスーパーマンが飛び、観客に向かってにっこり微笑むシーンで終わります。
このシーンのみ、4作とも実は全く同じで、1作目の1978年のシーンをそのまま使用しています。
1作目から10年経っているため、このシーンだけ当然、クリストファー・リーヴも若く、筋肉もたくましく、地球の特撮ショットも豪華なので、少々違和感はあるのですが、こうした定番シーンを逃げずに使うあたり、むしろこの映画の矜持が感じられます。

--------------------

いかがでしたでしょうか?

残念ながらクリストファー・リーヴ主演のスーパーマンはこの作品が最後となり、2004年にお亡くなりになってしまいましたが、その勇姿はいつまでも映画の中で見ることができます。

今は、スマホでもレンタルで本作を見られますので、興味を持たれた方はぜひ、すでにファンのかたも改めてお楽しみいただければと思います。

以上、「スーパーマン4/最強の敵」でした!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?