カイコは人類を救うすごい虫!
皆さんはカイコという虫を、どのくらいご存知でしょうか?
カイコは、唯一完全に家畜化された生物です。カイコの祖先は、5000年前に中国で飼育され始めました。それが2000年程前に日本に伝わって以降、品種改良が繰り返され、日本の絹糸産業を支えました。
カイコが人類を救う?
産業用昆虫であるカイコは、飼育が簡単で、発育のそろった個体を大量に準備することができます。そして、 体が大きいので解剖に向いていているし、取り扱う上でバイオハザードの心配もありません。また、ほ乳類ほど倫理的な問題も発生しにくいといった特徴があります。
こうしたことから、カイコは遺伝学や生物学のモデル動物としても古くから利用されてきました。
医療・ヘルスケアに貢献
しかし近年の科学技術の発展によって、カイコが、ヒトの病気の治療や予防法の開発といった医療・ヘルスケアの分野でも利用できることがわかり、関連する研究成果が次々と発表されています。
実は日本はこの分野で世界をリードしていて、例えば、カイコを生物工場としたウイルスワクチンや、検査薬の開発が進んでいます。
そして、私たちイマジン・グローバル・ケア株式会社も、カイコを使用して免疫や糖尿病に関する研究を行っています。特にカイコをモデルとする免疫研究においては、世界に先駆けて新たな免疫活性化物質を発見しました。
今後このnoteでは、カイコの可能性をもっと知っていただけるような記事を投稿していきます。お読みいただければ幸いです。
終わりに
かつて日本は、カイコを利用して戦後の経済復興を成し遂げました。私の祖父は終戦後に繊維会社に勤めていたので、カイコにまつわる色々な話しを聞かされました。養蚕業を知る方々は、カイコに敬意を込めて”お蚕さん”もしくは”お蚕さま”と呼んでいます。
そのカイコが、今度は医療・ヘルスケアの領域で、もう一度日本経済を支える一翼になると私は考えています。
江木 雄一
博士(農学) 神戸大学バイオシグナル総合研究センター研究員
新卒で食品企業に入社し、製薬企業、総合EC企業を経て、イマジン・グローバル・ケアに入社。社会人として働きながら大学院に通い、カイコをモデル動物とした研究で博士号を取得。イマジン・グローバル・ケア株式会社では、ブロッコリー抽出物の機能解析、データ解析やメディア運営を担当。