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rakugaki_69「美術館へ行こう!【大阪編】あべのハルカス美術館」


あべのハルカス美術館

私には「美術鑑賞」という唯一の趣味があります。
その「趣味」にもブームがありまして、第一次ブームが1985年~1987年。
第二次ブームが2009年~2018年。
第一次ブームの1987年から第二次ブームがはじまる2009年まで20年以上の月日が経っていますが、その間にも何回かは美術観賞をしています。
ただ「ブーム」の期間は、集中的に「美術館」に出かけているので「ブーム」なんですね。
このブログでは、私の大好きな「美術館」に出かけて、観賞した「美術展」の感想とともに、「美術館」の魅力が一緒に伝えられればなぁと思っています。

「あべのハルカス美術館」は大阪市阿倍野区に建つあべのハルカスの16階にあり、2014年3月にオープンした美術館です。
私の現存する記録の中で、現在まで「あべのハルカス美術館」の企画展に出かけたのは7回です。
これは今まで鑑賞してきた「あべのハルカス美術館」の感想ブログとなります。


1)2014年5/31-7/21「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション」

ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション

「あべのハルカス」は今年の3月、大阪市阿倍野区にグランドオープンした、地上60階建て、高さ300mの日本で1番高い超高層ビルです。
建造物としてはスカイツリー、東京タワーに次いで3番目ですね。(※2014年時点)
その「あべのハルカス」内に美術館が出来ました。
美術館が増えるのはとても嬉しいことです。オープンしてから初めて訪れます。
た、確かにデカイ!スカイツリーより低いけど、横幅があるから凄く迫力がありますよ~。

さて、今回の美術展、先月までBunkamuraザ・ミュージアムで開催していたもの。
早々にこちらに来てくれて、ありがたや~です(笑)
今回も音声ガイドを借りました。
声は大島優子さん。
ん?確か明日はAKB48の卒業だったのでは?
何、このタイミング?
レストラン街の「あべのハルカスダイニング」に行きますと、お店同士が競い合う「ごちそうメニュー総選挙」って、大々的にやっていますし・・・って、AKB48の総選挙って今日あったような。
えっ?被せてきている?
これは・・・あべのハルカス内に絶対AKB48ファンがいますね!

さあ、いよいよ美術展。
ミラノの中心地にあるポルディ・ペッツォーリ美術館は、ヨーロッパで最も優雅な邸宅美術館といわれているそうです。
持ち主であった収集家のジャン・ジャコモの遺言には「全ての美術コレクションは永久公開されるものとする」とあり、1881年4月25日に邸宅は美術館として公開されることとなったそうです。
現在、ポルディ・ペッツォーリ美術館はルネサンスから近代まで300点以上の絵画コレクションを誇ります。

そして今回、貴族の美意識あふれるコレクションの数々約80点を日本で初めて公開ということです。
目玉作品の、美術館の代名詞ともいわれるピエロ・デル・ポッライウォーロの《貴婦人の肖像》 。
流石に美しく繊細で綺麗な作品でした。当時のファッショントレンドも感じ取れる、横顔美人さんですね。
この美術展、甲冑やヴェネチアグラスにタペストリーなど、美術品も幅広く、ちょっと気軽に楽しむことが出来ました。
主に中世の時代か多いので、気が重くなるかなと思ったら、何だか音声ガイドのお陰かサクサク観られました。
大島優子さん、鼻が詰まったような発声で、もう少し抑揚のあるナレーションをお願いしたいところでしたが。

いや~、あべのハルカスには結構人が入っていましたが、美術展は激混みまではいかず、きちんと前面で作品をゆったり鑑賞出来ました。
こうして美術館が増えることで、美術鑑賞を出来る機会が増えることに感謝です。


2)2014年8/5-9/28「デュフィ展 鉛筆が奏でる色彩のメロディー」

デュフィ展 鉛筆が奏でる色彩のメロディー

台風が去って、大雨が降って、何だか秋めいた雰囲気になってきました。
近年、9月でも残暑で「秋バテ」という言葉も現れるぐらいなのに、今年はこのまま、久し振りの「秋の時期に秋」が来るのでしょうか?

さて、こちらの美術展は、先月末までBunkamura ザ・ミュージアムで開催していたものが巡回してきました。
あべのハルカス美術館に行ってきました。

ラウル・デュフィは、ピカソやマティスなどとともに20世紀前半にフランスで活躍した画家です。
1937年に開催されたパリ万国博覧会のための装飾壁画《電気の精》に代表されるような、明るい色彩と軽快な筆さばきで描く独自のスタイルを築きました。
こちらの美術展は、デュフィが1899年に故郷のル・アーヴルから国立美術学校で学ぶためにパリに出てきたころから晩年に至るまでの作品を紹介する回顧展です。
20世紀初めのパリでフォーヴィスムやキュビスムによって造形の革新を試みる動向のただなかに身を置きつつ、また様々な分野を横断しながら自らの独創的表現の探求を続けたデュフィの歩みを辿るというものらしいです。
パリ市立近代美術館、パリ国立近代美術館(ポンピドゥー・センター)、アンドレ・マルロー近代美術館(ル・アーヴル)、ロンドンのテートなど、デュフィの重要なコレクションを有するヨーロッパの美術館から協力を得て展示される作品は、油彩画の代表作をはじめ、これまで日本ではあまり紹介されることのなかった版画やテキスタイル、陶器、家具など、多彩な約150点で構成されているとのことです。

音声ガイドは女優の中谷美紀さん。
落ち着いた声で、まるでドラマを聴いているかのよう。
聴きやすいですね。

デュフィの前半は絵も定まらず、印象派からフォービスム、セザンヌそっくりの時期と、めまぐるしく絵が変化しています。
後半はデュフィ独特の、自由奔放な色彩が開花していきます。
やはりこの人は色彩の人。
色鮮やかな作品がいいですね!
私は今回の美術展の中では、「クロード・ドビュッシーへのオマージュ」や「ヴァイオリンのある静物:バッハへのオマージュ」と、音楽家への一連のオマージュ作品が良かったです。

この後、デュフィ展は10月9日から12月7日まで愛知県美術館で開催予定とのことです。


3)2014年10/10-2015年1/12「新印象派 光と色のドラマ」

新印象派 光と色のドラマ

今年3回目の来訪となる、あべのハルカス美術館です。
そして恐らく、今年最後の美術鑑賞になるであろう美術展です。

美術館受付横のウインドーには、スーラの大作「グランド・ジャット島の日曜日の午後」の実寸大が。

これは何でできているのでしょうか?

これは何でできているのでしょうか?の問いに近寄ってみれば、なんと!90万本以上のまち針でできているとか。
作った人、本当にお疲れ様でした!!

本展は、20世紀へつながる絵画の革新を推し進めた運動のひとつ、「新印象派」に注目し、その誕生からの約20年間の流れを時間軸に沿って紹介するものです。
新印象派の登場は、1886年、最後となる第8回印象派展においてでした。印象派は、揺れる水面や陽光のうつろいなど、自らの目に映る世界を描き出そうとし、それに相応しい様式を作り出しました。
新印象派は、その明るい画面を作り出す様式を、最新の光学や色彩理論に基づいて発展させていきます。
そして、目に見える世界をそのまま再現することよりも、色彩そのものがもつ表現力へと関心を移していき、20世紀初頭のフォーヴィスム誕生の源泉にもなりました。
本展では、印象派のモネの作品から始まり、スーラ、シニャックによる新印象派初期の作品、その後フランスやベルギーで次々と生み出された多様な新印象派の作品、さらにマティス、ドランの色彩溢れる作品が紹介されています。
スーラの描いた静かで小さな点が、マティスのダイナミックで強い色彩の表現へ至るまでの変化の軌跡を、世界各国から集結する約100点でたどっています。

最近は、美術鑑賞の折には必ず借りている音声ガイド。
今回のナビゲーターは、元宝塚の大空祐飛さん。
私は疎いので存じ上げていませんでしたが、皆さんはご存知でしょうか?
音声ガイドをセッティングして、会場内に進みます。

モネ、ピサロからはじまり、スーラやシニャックなどお馴染みの新印象派の画家たちに受け継がれていきます。
印象派の美術展は今まで数多く観てきましたが、これほどまでに新印象派だけでまとめた美術展は初めて!
ほぼ、最初から最後まで点描画という珍しい美術展!
タイトルに偽り無し。
ここまで点描画推し一色だとあえて清いというか、なかなか見応えのある美術展でした。

この美術展は来年の1月24日より、東京都美術館に巡回予定です。


4)2015年7/25-9/27「生誕100周年 トーベ・ヤンソン展 ~ムーミンと生きる~」

生誕100周年 トーベ・ヤンソン展 ~ムーミンと生きる~

昨年10月末より横浜・そごう美術館からはじまった美術展、全国で一番最後の巡回場所となったあべのハルカス美術館です。
まあ、昨年末に「トーベ・ヤンソン生誕100年記念 MOOMIN!ムーミン展」を観に行ったので、割とそれで満足な感じはしちゃっていたのですが(笑)

本展はトーベ・ヤンソンのふるさと、ヘルシンキにあるフィンランド国立アテネウム美術館で大好評を博した展覧会が再構成されたものです。
ムーミンの作者として知られるトーベ・ヤンソンですが、その活動は多岐にわたっていました。
幼少期の素描から、15歳でデビューをした政治風刺雑誌「ガルム」の挿絵、自画像や風景画、ムーミン物語の挿絵や創作の過程がわかる多数の習作、児童文学の挿絵など約400点を紹介して、トーベの創作活動の全貌に迫るものだそうです。

前半、想像していたより割と油絵が多かったです。
結構自画像が多いですね。
後半はやはりムーミンのインク画がメインです。
小さいものですし、あまり落ち着いて観ることができなかったので、これは図録を購入して後でじっくり観ようと思いました。

トーベ・ヤンソンが夏を過ごしたクルーヴ島の「夏の家」を再現

あと、トーベ・ヤンソンが約30年間、ほぼ毎年夏を過ごしたクルーヴ島の「夏の家」の再現モデルも展示されていました。


5)2016年4/9-7/3「ピカソ、天才の秘密」

ピカソ、天才の秘密

GW後半、春とは思えないぐらいの陽気となった本日、美術鑑賞へ出かけてきました。

20世紀最大の造形革命、キュビスムを創始し、91歳で没するまで驚異的な創造力を発揮し続けた不世出の天才、パブロ・ピカソ。
本展はその天才たる由縁を、キュビスム誕生以前の作品に探るものだそうです。
少年期の早熟な才能を示す作品から、人間への深い洞察力にもとづく「青の時代」「バラ色の時代」の作品まで、ピカソ芸術の根幹にふれる美術展という事だそうです。
この美術展は愛知県美術館より巡回してきたものです。
気がつけば1年以上ご無沙汰だった、あべのハルカス美術館です。

着いてみれば、美術館は全然大丈夫なのですが、ゴールデンウィークという事もあり展望台には凄い行列。
あちら側でなくて良かったと、心底思いましたよ。

さて美術鑑賞。
国内過去最大・・・「青の時代」「バラ色の時代」の油彩8点が集結!という触れ込みで、かえってえっ?たったの8点?って心配になりながら鑑賞に挑みました。
ピカソの少年期からの展示は珍しかったです。
少年期のデッサンは勿論ですが、油彩画の「自画像」や、特に「長いひげの裸体男性像」は、ピカソが14歳にして写実画をマスターしていた事が、紛れもない真実である事を示していました。
これだけ写実的に描けて、写実の技法をあっさり捨て去るところが天才たる所以でしょうか?
全体的にエッチングがやはり多かったのですが、良いと思える作品にも出逢えました。
青の時代の「スープ」は、ちょっと藤田嗣治みたいに子供に特徴があって、風刺的で面白いです。
で、やはり今回のポスターにも採用されているバラ色の時代の「扇子を持つ女」は、そのポーズが象徴的で見入ってしまいます。
踊っているのか、何かお祈りをしているのか?
レオナルド・ダ・ヴィンチの絵の人物もよく不思議なポーズをとっていますが、同じように謎めいています。

バラ色の時代以降・・・キュビスムは私にはよく分からないのと、展示自体はエッチングが多かった事で、鑑賞自体はあっさりとした感じで終わってしまいました。


6)2017年4/4-5/28「マティスとルオー ー友情50年の物語ー」

マティスとルオー ー友情50年の物語ー

今日はいい天気で暑いぐらい。
夏日です! なのでついに半袖デビュー。
Tシャツ1枚で出かけました。
あべのハルカス美術館です。

フランス近代絵画の巨匠であるアンリ・マティスとジョルジュ・ルオー。
パリの美術学校(あの象徴主義の巨匠、ギュスターヴ・モローの教室)の同級生であった二人は、生涯にわたって家族ぐるみの交流を続け、互いの創造活動を尊重し、支援し合いました。
本展では、両者の間に交わされた手紙を交えつつ、マティスの貴重な初期作品や、ルオーの重要な版画集「気晴らし」の油彩画シリーズ全点など、初来日作品を含む約140点を紹介し、その50年の友情と芸術の軌跡をたどるものだそうです。

本展はパナソニック汐留ミュージアムから巡回してきたものだと思うのですが、タイトルが「マティスとルオー展 ー手紙が明かす二人の秘密ー」から「マティスとルオー ー友情50年の物語ー」に変更されているので、何処か違うのかも知れません。
パナソニック汐留ミュージアムに収まる作品数では、あべのハルカス美術館ではカスカスになってしまうと思われますし、逆に140点もパナソニック汐留ミュージアムに展示できるとも思えませんし。
一番最近に観たマティスとルオーがメインの美術展は、マティスはブリヂストン美術館で2013年7月に観た「ブリヂストン美術館コレクション展 色を見る、色を楽しむ。 ールドンの『夢想』、マティスの『ジャズ』・・・」で、ルオーはパナソニック汐留ミュージアムで2013年9月に観た「モローとルオー -聖なるものの継承と変容-」でした。
最近といっても、もう4年近く経つんですね。

初期の頃のマティスとルオーは、師であるギュスターヴ・モローの影響か、色彩も暗くちょっとアカデミックな感じ。
あのマティスの鮮やかな色彩やデザイン的な構図は、やはり後半なんですね。
ルオーの特徴である「黒」も、やはり初期からあった訳ではなく、描き続けることで自分自身の表現を見つけていったんでしょうね。
美術展の演出の仕方が洒落ていて、二人が手紙で交わした、お互いを思いやる言葉の数々が壁に書かれています。
所々に飾られている二人の手紙が、お互いを尊敬しあった画家の交流を示しています。
絵の方向性も全然違うのにお互いを尊重し合えたのは、大切な仲間だったからなんでしょうね。
お互いを分かり合えなかったゴッホとゴーギャンとは間逆な感じで、この二人のようになれなかったゴッホとゴーギャンの哀れさもちょっと感じつつ美術館を後にしました。


7)2018年2/16-4/15「生誕120年 東郷青児展 夢と現の女たち」

生誕120年 東郷青児展 夢と現の女たち

ようやく暖かくなってきたなぁと思ったら、春の嵐以降また真冬並みに寒くなって、もう3月だというのになかなか冬コートが手放せませんね。
日頃の忙しさと寒さで、どうしようかなとも思いましたが、気分転換も兼ねて美術鑑賞に出掛けることにしました。

この美術展は広島のふくやま美術館、東京の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、福岡の久留米市美術館を経て巡回してきたものです。
東郷青児の生誕120年記念の美術展、最後の会場となるあべのハルカス美術館です。
本展は、戦後に「東郷様式」と呼ばれた独特のスタイルが確立する1950年代末までを中心とする作品約60点と資料約40件を展示し、画風の形成をひもとくものです。
画家入魂の代表作はもちろんのこと、藤田嗣治と百貨店に競作した対の壁画、再発見された戦前の二科展出品作、プライベートコレクションの希少品等々、一般的な東郷観が揺らぐような作品が一堂に紹介される回顧展となっているそうです。

東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館には何度も鑑賞に出掛けましたが、「東郷青児」という冠は付いてはいるものの企画展にしか行ったことがないので、フィンセント・ファン・ゴッホの「ひまわり」、ポール・セザンヌの「りんごとナプキン」、ポール・ゴーギャンの「アリスンの並木道、アルル」がガラスの中に鎮座されている美術館の最後の部屋に展示されている、数点の東郷青児の作品しか観てきませんでした。
今回は、東郷青児が主役の企画展。
まさにあの美術館が存続している意義を感じさせてくれる機会だと思い、美術鑑賞をさせていただきました。

大正時代・・・初期の頃はキュビスムに傾倒していた時期もあったんですね。
今までいろんな方のキュビスムを観てきましたが、私にはよく分かりませんでした。
でも日本人が描くキュビスムだからか、東郷青児のキュビスムは素敵に思えました。
「パラソルさせる女」や「彼女のすべて」とか、分解された事象の中から女性が浮かび上がってくるような、とても綺麗な絵でした。
キュビスムの時代を経て、「サルタンバンク」は大道芸人の絵なのですが、出来上がったときにはピカソをアトリエに引っ張ってきて見てもらったり、藤田嗣治も見に来てくれたりとかで、錚々たる画家たちに囲まれて仕事をしていることにもビックリ。
昭和初期のシュルレアリスムに傾倒した頃に描かれた「超現実派の散歩」は、夢の世界を具現化しているみたいで面白いです。
そして、いわゆる東郷様式が確立されて戦後に描かれた「平和と団結」や「望郷」などの美人画ももちろん素敵で、もう本棚に入りきらないのについついまた図録を買ってしまいました。

帰る頃には日がさしてきて少し暖かくなっていました。
このままポカポカ春に突入して欲しいですね。
あっ、でも昨日今日と、目と鼻がちょっとやばい感じ。
花粉だけはゴメンですね。


以上、あべのハルカス美術館はまだ新しい美術館で、中も広く割と空いているイメージがあります。
その代わり美術館前は、展望台入口に並ぶ列ですごい人だかりですが(笑)
美術鑑賞と展望台をセットにしても良し、ショッピングやランチとセットにした美術鑑賞も良いのではないでしょうか。

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