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記事コメ:「手足が何も動かない」…コロナ後遺症

今日はコロナ後遺症に関する記事について考えていきたい。表題の記事は以下のものである。

記事では新型コロナウイルス後遺症として、けん怠感や記憶力低下などの神経症状について記載されている。記事では言及がないが、倦怠感や力が入らない、身体が動かない、こういった症状はギランバレー症候群や重症筋無力症、多発性硬化症といった神経系に対する自己免疫疾患の典型的な症状に見える。記事やコメント欄でも精神的な問題では?という意見が紹介されているが、精神的な問題ではなく神経系の問題なのである。まあ精神も神経に支配されるものである筈なので、根本的な理解が間違っているとも言えるのだが、とにかく新型コロナウイルスが神経系に重大な影響を与えるという大前提があり、その上で精神・神経症状に繋がるという事実を正しく認識しなければならない。

最近のレビュー論文にこのあたりの神経系障害をまとめたものを見付けた。
「Neurological manifestations of SARS-CoV-2: complexity, mechanism and associated disorders」
(Eur J Med Res. 2023 Aug 30;28(1):307.doi: 10.1186/s40001-023-01293-2.)
似た論文は以前からあると思うが、いずれにしても上記に記したような神経系の障害に伴う疾患と新型コロナウイルスの関連がまとめられている。機序としては神経系感染による障害に加え、炎症性サイトカインによる影響、血管系への障害や血栓による神経の障害など多岐に渡る考察がされているが、実際のところは不明な点も多いだろう。

一方で、ギランバレー症候群や重症筋無力症については核酸ワクチンとの関連も症例報告がある。これは上記にもある強い免疫応答や炎症性サイトカインの産生が共通して引き起こされるという根本的な問題や、Sタンパク質そのものが与える影響もあるのかもしれない。新型コロナウイルスのSタンパク質自体が各生理機能や細胞にどの様な影響を与えるのかは完全に解明されていないところである。動物実験ではSタンパク質が自然免疫活性化を介して長期的な中枢神経症状を引き起こすと言った実験もされており(Cell Rep. 2023 Mar 28; 42(3): 112189.)、感染とワクチン双方に共通した機序についての考察は必須である。但し、Sタンパク質そのものに起因する現象については核酸ワクチンに特有のものではないので注意が必要である。感染でしか起こらないリスク、核酸ワクチンでしか起こらないリスク、Sタンパク質が体内に存在する場合は常に起こり得るリスク、それぞれは別個の機序として包括的に考察していかなければならない。

呆れるほど繰り返しているが、私はパンデミック初期から新型コロナウイルス最大の問題点は神経系感染・神経系症状であると訴え続けている。これらはワクチンで防ぐことができず、記事でも紹介されている事実として呼吸器症状が下火になってきた現状においても神経系症状は増え続けている。新型コロナウイルス最大の脅威である神経系症状に対抗するには、完璧な感染対策を延々と実施するしかないのだ。


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