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#北欧をまなざす vol.5 〜フィンランドの暮らしから学んだ3つのこと〜

Moi!(こんにちは!)#北欧をまなざす ライター・ひかるです。

4月にフィンランドでの生活をスタートしましたが、7ヶ月の滞在を終えてついに日本に帰国しました!

日本のご飯の美味しさを噛み締めて毎日生活しています。笑



#北欧をまなざす は、フィンランドの教育や福祉、暮らしのあり方を見つめ直していく「inclue」のシリーズです。

※まなざす・・・いろんな視点から社会や物事を捉え直すこと

vol.4では、「障害者福祉」をまなざしました。


久しぶりの更新となったvol.5のテーマは「暮らし」です。

私は滞在中、フィンランドの家庭でホームステイをしていて、この家族と過ごした時間からたくさんのことを学び感じ取ることができました。

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右から、ヴェラ(娘)・マヌ(父)・ヴィルヤミ(息子)・カティ(母)・エドガード(ホンデュラス出身のボランティア)・ひかる


今日はこの家族と過ごして得た学びを3つ紹介したいと思います。

「フィンランドの暮らしが良い」「日本の暮らしが良い」といった二元論的な話でも、フィンランドと日本の一般論の話でもなく、「今までと違う暮らし方をしてみたことで見えたもののシェア」として読み進めていただけたら幸いです。



1. 側にある自然を思いっきり楽しむ

フィンランドはよく「森と湖の国」と称されます。フィンランドの森林面積は全体の75%以上で、これは世界一位です。

フィンランドの人は森の中を散歩したり、湖のそばにあるサマーコテージでサウナを楽しみながら自然を満喫したりします。

保育園でも散歩のコースに森が入っていたり、学校でも授業の一環として森へ行って自然について学ぶことがあったりと、フィンランドの人にとって森は生活に欠かせないものとなっているのです。


私の家の周りも森に囲われており、犬の散歩コースになっています。

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夏は野生のブルーベリーやラズベリーを摘んだり、

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秋にはキノコを摘んだりします。

キノコ


フィンランドでは「自然享受権」という、自然を尊重しながら誰でも無料で楽しむことができる権利が保障されています。この権利のおかげで、私たちは森の中にある野生の植物を摘んで食べることができるのです。

我が家でも、お母さんが私と摘んだキノコを使ってキノコパイを作ってくれました。とてもおいしかったです。


「この辺りにはブルーベリーがよく生えている」「このキノコはあっちの方にあるかなあ」など、散歩でよく行く森の様子を熟知しているほど、森はフィンランドの人の生活に根付いているものであると感じました。

散歩をしていると森の住んでいる空気をたくさん吸ってリフレッシュできる気分になります。


フィンランド(の中でも特に田舎の地方)では、正直娯楽と呼べるものが多いわけではありません。

側にある自然を思いっきり楽しむこと、それがフィンランドの人の娯楽の1つとなっているのです。



日本に帰ってきてからフィンランドの森が恋しくなることが多いのですが、「身の回りの自然を目一杯楽しむ」ことを知ったからか、例えば、家から最寄り駅まで歩く途中の些細な景色を綺麗だと思うことがとても増えました。

私の地元はどちらかといえば田舎なので自然や広い空はあるのですが、今まで結構見落として過ごしていたなあと気づきます。

そこに喜びや楽しみを感じるようになったことは、フィンランド生活を通した1つの変化と言えるかもしれません。

駅から家までの帰り道での一枚。携帯で写真を撮るのがもっと好きになったおかげもあり、日常の景色を楽しむことが増えました。




2. "しなければいけない"に囚われない

フィンランドで生活する中で感じたこととして、「“しなければいけない”に囚われない生活文化」があります。いかにラクして過ごせるかどうか、ということです。

些細なことではありますが、例えば、食事は基本ワンプレートで済ませて食器、品数をなるべく減らすようにしていましたし、料理は作れる時に作り置きして数日間は同じものを食べていました。

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思い返してみれば、学校の給食も基本ワンプレート。

食器も全て食洗機で洗って、なるべく効率の良い方法で手間を省いて家事をしていました。ここでは、“きちんとしなきゃいけない”があまりなかったように思います。

これらはとても些細なことかもしれません。ただ、日本に帰国したのちに、その些細なことの積み重ねはとても大きなことのように思えました。


日本の私の家ではいつも母が料理を作ってくれています。比較的朝食をしっかりと食べて出かけたい父や私のために、朝からたくさんの品数を用意してくれることは特別なことだと感じました。

これに対して、「家事の負担が大きすぎるんじゃない?」「もっとラクしてもいい文化を尊重しても良いのに」と思う一方で、「そもそも、日本の家庭をフィンランドと比べると、一回一回の食事を大切にするところが多いのではないか」と捉えるようになりました。


決して「フィンランド / 日本の方が良い」という話をしたいわけではないのですが、フィンランドでの生活がきっかけとなり、今までの当たり前に気づくことができました。





3. 余裕は勝手にできるんじゃなくて、自分でつくる

ホストファミリーと生活したことでの自分の一番の変化は、「自分の心の余裕を作るための努力をするようになった」ことだと思っています。これは特にホストマザーのカティから学びました。

普段の彼女の仕事はシフト制で、日によっては家を朝5時に出なければいけない日もあります。しかし、そんな日でも彼女は家を出る1時間前には頑張って必ず起きて、ゆっくりと朝を過ごします。

「朝起きて、コーヒーを飲んでゆっくりしてから1日を始めるこのスタイルが好き」とカティは言います。

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私はいつも出かけるのに準備するのがギリギリで、日本でも大学に行く朝はギリギリまで寝て、ダッシュで家から駅まで走る毎日でしたが、カティの話を聞いてから、余裕をもって朝起きるようになりました。

ゆっくりと体を起こして1日を始めることで、時間と格闘する朝の疲れは朝早起きする努力よりも体に負担だったと気づきました。

そういえば、姉のヴェラも弟のヴィルヤミも朝は余裕持って起きているな、と思うと、日本での朝のドタバタがなんだか恥ずかしくなります。


日本に帰ってきてからもこの習慣を継続しており、余裕を持って朝起きてコーヒーを落ち着いて飲める時間を作るようになりました。今までは電車の8~10分前に家を出ていたところを15分前を目標に出るようになって、駅まで走らず済むようになりました。

とても小さな積み重ねですが、自分で自分を焦せらせることが少なくなったように感じます。

今までは、心の余裕がある人は勝手にあるからだと思っていましたが、決してそうではなく、心に余裕を持てるようにするための努力をしていたのだなとやっと気がつくことができました。

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また、意識的に「余白」の時間を作ることの大切さも実感しています。

フィンランドにいた頃、学校でのボランティアは遅くても16時に終わるので、家に帰ってからの時間がたくさんありました。自分の好きなことをしたり、ゆっくり休んで疲れをとったりと、余白の時間を過ごす感覚はなぜかとても新鮮でした。

それは、以前は空いている全ての時間を埋めんばかりに予定を詰めていたからだと気付きました。大学の授業や勉強、学生団体の活動に加えて、アルバイトを2つ掛け持ってスケジュールを詰めていた去年のスケジュール帳を見ると、「余白」なんてほとんどなかったのだと実感します。

意識的に「余白」の時間を作ることで、自分の心と体の余裕を保つこと。それは自分自身を満たしてあげるために大切な努力なのだとわかりました。




4. 終わりに

今回は、「暮らし」をテーマに、フィンランドの暮らしから学んだ3つのことを紹介しました。

1. 身の回りの自然を目一杯楽しむこと
2. “しなければいけない”に囚われないこと
3. 心の余裕は勝手にあるものじゃなくて、自分でつくるということ


これらは、今までとは異なる環境に一定期間いたからこそ感じた「違い」があったからこそ学ぶことができました。

そしてそれらがきっかけとなり、今の自分の生活を自分にとってより豊かなものとできるように少しずつ変化を生むことができています。




「北欧・フィンランドの暮らし」と聞くとどこかユートピアのような、ポジティブなイメージを持つことが多いと思います。

私自身、フィンランドの暮らしを経験した上でも、何を学んだのかと聞かれて答えるのは肯定的なものがほとんどでした。


余談になりますが、このnoteを書くにあたってフィンランド生活を振り返っていた時に、友人に「逆にフィンランドの暮らしで困ったことはなかったの?」と聞かれました。そこで初めて気がついたのが、2番目の学びの最後に書いた「日本はフィンランドよりも暮らしにおける食事の重要度が高い」ということでした。

ささっと済ませる食事は圧倒的に負担が小さくて手間をかけなくてラクですが、食べることが好きな私にとって、一食一食をしっかり食べることが思ったより大事だと気づきました。

やっぱり、絶対的に「良い」ものは存在しなくて、物事には様々な側面があり、捉え方があるのだということを、 #北欧をまなざす を書くにあたって私自身また気づかされます。


まなざすとは、いろんな視点から社会や物事を捉え直すことです。

フィンランドの暮らしをまなざしてみて、改めてその重要性を感じています。


これからもフィンランドでの経験に限らず様々なものをまなざして、自分たちにとっての「より良い」に近づける行動を積み重ねたいです。

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次回のテーマは未定です。フィンランドから帰国はしましたが、引き続き #北欧をまなざす の連載自体は細く長く続けていけたらと思っています。北欧・フィンランドで知りたいテーマなどありましたら、ぜひ教えてください!


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!これからも #北欧をまなざす とinclueをどうぞよろしくお願いいたします。

このnoteがあなたの「暮らし」をまなざすきっかけになったら、ぜひ「スキ」をよろしくお願いいたします!




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