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シニアになって働く意味を考える⑯ ~超ハードワークで2度の大病、早期退職して合同会社立上げ~

定年前後のシニアに「働く意味」についてインタビューした記事です。一人一人のインタビューを積み重ねて、「働く意味」のスペクトラムを描けたらいいかなぁって思っています。
その切り口を「働く理由の8区分」から考えます:カネ、自己実現、社会貢献、承認欲求、自立、地位獲得、他者との絆、その他(仕事があるという幸せ、色々な経験、不安の解消など)

58歳で早期退職、合同会社を設立

 Mさん(58歳2023年時点)は、昨年57歳で33年間勤めた出版社を早期退職され、今年58歳でフリーランスの編集者として独立し合同会社を設立。
 編集アプリ、電子書籍やネット印刷などを利用すれば誰でも「ほぼ無料で」出版物を出せる時代になりました。そうした中で、「クリエーターが本当に伝えたい世界観」に焦点をあてた出版支援を行う会社を始められました。その理由を、これから紹介するMさんのとても興味深い仕事歴から紐解いていきましょう。

新卒であこがれの職業に就くも…

 新卒で希望通りの出版社へ就職。朝8時半から夜12時まで(日をまたぐ時もあるほどの)とんでもなく忙しい勤務を続け、9年目に大病して一年間入院。編集者としてのキャリアを積み上げる中で、仕事も充実していたそうですが病気には勝てず。
 退院後仕事に復帰、中堅の編集者としての実績も出始め、編集長としてヒット作を出版し、これがきっかけで、ついに雑誌の編集長に就任。出版業界のトップスターのようなポジション?(すみません、私門外漢でその偉大さにイメージがついていっていません)

ついにあこがれの雑誌編集長になるも、またや…


 自分の出したい本を、自分の裁量で出版できるというやりがいのある仕事の反面、出版の出来不出来の責任はすべて編集長が負う。この重責は、想像以上ににハードワーク。しかもITバブル時期でもあり接待業務も超ハードだったそうです。
 出版人としてこの黄金時代が14年間ほど続いた頃、51歳で今度はステージⅢの癌と診断され入院。リンパ節への転移もあったそうですが、半年ほどで会社に復帰できるほどに回復される。

支援業務部署へ転籍させてもらい健康回復し、そして早期退職へ


 会社の好意で「9時5時勤務」の支援業務部門へ異動させてもらい、復帰後6年ほど勤務。徐々に健康も回復し、2022年の57歳で早期退職。
 この目まぐるしい会社員人生を、いつもの「仕事人生満足度曲線」に描いてもらいました。これからの上昇曲線予想がいいですね。

クリエーターの「何を残したいか」に応えられる出版プロデュースを

 デジタルツールで制作コストが劇的に下がり、インターネット、e-book、SNSなどで伝達方法も多様化する中で、これまでの出版インフラではクリエーターの「伝えたいこと」を表現することは決して十分ではない、という思いが強いそうです。で、もう少し小回りの利いた支援を提供するため合同会社立上げたそうです。
 そして、編集長時代に培ったノウハウと広範囲で多様な人脈を武器に、メディアミックスを巧みに利用した新しい表現方法を試していきたい。Webページも立上げ、YouTubeでその活動の一端が紹介されたりと、ペースこそ急がず着実に前進されています。

「オレ、何で働いてるの?の図」

 著者の勝手な指標で作った「オレ、何で働いてるの?の図」を作ってもらいました。Mさんのは、こんな感じです。

 Mさんの労働観、これまでの経緯を見てきたら納得できます。デジタルツールに飲み込まれようとしている出版業界に再挑戦されていることから「自己実現」と「自立」のポイントが高いみたいです。
 けっこうこのレーダーチャートっていいかもしれないですね(自画自賛...)。

後記:


 苦労して出版業界で頂点(なのか?のようなポジション)を極め、病気で退くことを余儀なくされるって無念だったと思います。でもインタビュー時、そんな無念さは一切感じませんでした。それより自分のやりたいことを始めたことの方がとても楽しそうでした。
 このインタビューシリーズでいつも「いいなぁ」って思うのは、インタビューしたみなさん「世間やメディアで作られた言説やイメージ」で決して語られてないことです。xx新聞などに書いてある言葉を借りてきて語っても虚しいだけですよ。言い過ぎか?

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