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新卒UIデザイナーのリスク

いま、新卒デザイナーにはUIデザイナーという職業が人気らしい。
そういえば、私はFlasherに憧れて山口から東京の大学に入学し、Webデザイナー兼Flasherになったのだった。しかし、Flasherという職業はもうない。Adobe Flash自体がAppleに駆逐され、WebアニメーションはJSが覇権を握った。

さて、ここでは新卒でUIデザイナーになるリスク。もっと言えば、インハウスのUIデザイナーになるリスクについて話しておきたい。あくまで私の所感なので参考程度まで。

新卒でインハウスのUIデザイナーになるのは大きく2つのリスクがある。

  1. グラフィックに強いデザイナーになれないリスク

  2. 幅広いトンマナのデザインができないリスク

この2つのリスクについて簡単に説明する。

1.グラフィックに強いデザイナーになれないリスク

UIデザイナーはかなり特殊な職業だ。ユーザーの目的を達成するための、シンプルで使いやすいデザインが求められる。そして、使いやすいUIというのは人間が利用する以上、ある程度正解がある。比較的大きなインハウスならデザインシステムも充実しているだろう。
UIデザイナーは要件定義に従ってパズルのようにデザインすればいい。Webデザイよりデザインの難易度は低い。

Webデザインは基本的に広告として作成する。「ブランディング」や「購入欲求」「承認欲求」「話題化」などなど、気持ちと行動に影響を与えるデザインが必要になる。人間は飽きっぽいので、常にトレンドを意識して新しい視覚表現に挑戦することが求められる。

UIデザインは既にプロダクトを購入済みで使われることを前提でデザインするので、心に響かなくとも使いやすければ問題ない。それよりも、ユーザーの体験価値が向上すること、チームと協力して早くリリースすること、長期的な負債がでないことなどを考えなければならない。
しかし、心に響くような視覚表現に力を入れる必要はない。逆にリリースが伸びる、トレンドに乗った視覚表現は短命なので長期的なプロダクトに使うとのちのち負債になるなど、デメリットの方が大きい。

結論として、グラフィック(視覚表現)に強いデザイナーになって、「たくさんの人の心を動かしてアクションを起こしたい」「ブランドロゴから、ブラン全体のコミュニケーションデザインを担当してみたい」という方にはリスクがある。

2.幅広いトンマナのデザインができないリスク

インハウスのUIデザイナーになると、基本的に1プロダクトのUIを永遠とデザインすることになる。当たり前だが、幅広いトーンマナーのデザインができないので、シンプルなデザインしかできませんとか、化粧品のデザインしかできませんというよなデザイナーになってしまう。

このリスクは3年後や5年後の転職市場での、あなたの業界価値に直結する。狭い業界だけで転職を繰り返すことになり、他に興味があるサービスに転職したいと考えても転職でいないリスクがある。

最後に

もし、グラフィックに強く業界価値が高いデザイナーになりたいなら、Web制作会社のWebデザイナーになるのが一番いい。ただし、Web制作会社は昔と比べれば労働環境は良くなったが、それでも忙しい。その忙しさやクライアントからの理不尽さに耐えるストレス耐性とデザイン愛があるのならオススメする。

それでも、インハウスのUIデザイナーになりたい場合は副業でいろいろなデザインを作成するのがいい。できればUIデザインではなくて、Webデザインやポスター・バナーなどの副業をすると、デザインの幅が増えて本業でも活かせることがあるかもしれない。

最後の最後にSTORES, inc.について。STORES, inc.はUIデザイナーではなくプロダクトデザイナーになっている。これは、STORES, inc.のデザイナーがUIだけでなく、プロダクト全てにデザイナーの価値を発揮することを求めているからだ。「ユーザーにとって最高の体験価値は何か?」「3年後、このプロダクトはどうなっていたいか?」をデザイナーが旗を掲げて、周りを巻き込んでいくオーナーシップが求められる。(私もまだ出来ておらず、勉強中だが、、、)

STORES, inc.が他のSaaSと違うところは、デザイナーの影響力が驚くほど強いこと。デザインへのこだわり、担当領域の広さはピカイチなので本質的な体験価値を1から作っていきたいならSTORES, inc.はとても良い環境だと思う。幅広いデザインを学んで欲しいので副業も推奨されている。


以上、少し長くなってしまったがこの不透明な時代には個のスキルを上げておくのが一番のリスクヘッジになる。社名よりも自分がどんなデザイナーになりたいのか、デザイナーとして成長できる環境はどこかをしっかり考えた上で就職活動をしよう。

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