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スタバのブランド力の強さはコンセプトではなく信念

あらゆる経営やブランディングの本に書かれている、スターバックスのコンセプト「第3の場所(サードプレイス)」

今回はコンセプトを作ることよりも機能させることがいかに難しいかについて書いていきます。

まずはよく本に書いてある前提のお話から。
スターバックスは「職場と家のあいだにある憩いの場所」になる。というコンセプトで全てが判断され実行されています。

  • 【立地】ストレス度が高い街に出店する

  • 【カップ】音が鳴らないように紙コップでコーヒーを提供

  • 【香り】コーヒーの香りで店内を満たす

  • 【音】落ち着ける音環境

  • 【インテリア】広々とした理想のリビング

ここまではいいですよね。とっても合理的です。
なので、私たちの会社もコンセプトを作るぞー!となるのですが、コンセプトはスタート地点であり銀の弾丸でもありません。
コンセプトを作ってからが本当の勝負になります。

何をやらないか?を決断できるか

コンセプトは「会社経営の価値基準」なので何をやるのか?を決めます。逆に言うと「何をやらないのか」も明確にしなければなりません。

人は「何をやらないのか」を決めるのが本当に苦手です。

想像してみてください。ある機能を開発すると、すぐに大手企業から契約が取れる状況で、コンセプトを基にその機能開発を「やらない」という決断ができるか?を。

例えばスターバックスは直営店方式ですが、フランチャイズにした方が低コストでいっきに拡大できます。でも、株主が「直営店方式はありえない、フランチャイズにしろ!」と強く意見しても、スターバックスの経営陣は直営店方式を貫きました。
スターバックスのコンセプトを体現するには、直営店方式しかありえないと全員が理解していたからです。

スタバの失敗と回復

しかし、スターバックスも失敗を起こしました。
スターバックスを世界展開させて成長させたシュルツCEOが退任した2000年から、いっきに業績が転落し始めます。

コンセプトに合わない無理な出店や商品開発をした結果、スターバックスのブランドは崩壊していき2008年には赤字に転落します。
この危機にシュルツが復帰して何をしたか?

  • 7000店舗以上の一時閉鎖

  • バリスタの再教育

  • コーヒーの良い匂いを妨げる商品の廃止

などなど、コンセプトを軸とした改革によるブランドイメージの回復です。すごいのは、赤字であるにも関わらず、売上を犠牲にしてでもコーヒーの良い匂いを妨げる商品の廃止していることです。
この短期的な非合理を実行できる信念を貫けるかが、なによりもコンセプトを機能させる重要な要素になります。

そして2011年には過去最高利益を記録するまでになります。

信念を貫き通すには

いっけん非合理に見えるが全体で見ると合理的であり、持続的な利益を見込める判断を経営陣ができるかどうかが最も重要になります。

これは経営陣だけでなく、社員全員がコンセプトの本質を深く理解しておく必要があります。
定期的にそもそもコンセプトとは何か?会社のコンセプトはあなたの業務とどう繋がっていて、どんな価値を創出しているのか?を語ることが大切でしょう。

デザインの役割

デザインはコンセプトを具現化させます。
そして、コンセプトによって経営→プロダクト開発→マーケティングまでのトータルデザインが可能になります。

  1. 経営戦略のためのマネジメントデザイン

  2. プロダクトのためのコンテンツデザイン

  3. マーケや社内カルチャーのためのコミュニケーションデザイン

この3階層を一貫性のあるデザインで貫くことで、社内外にブランドを構築できます。
コンセプトがきちんと機能するか?はデザインの役割がとても大切です。
コンセプトの重要性と実行の難しさを共有し、デザインを軸にブランドを成長させていきましょう。

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