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【論考】日本の電力逼迫に見る、世界中の人の想像力の無さ

 2022年6月13日。今日放送されたクローズアップ現代を観た。日本の電力が今年の夏には逼迫ひっぱくされるとの報道だった。大手電気供給会社の発電量が足りず、電力価格が高騰し、新電力と呼ばれる電力会社が次々と撤退している、という内容だった。

 問題は、今年の夏に既に電力の供給不足が確実視されていることだ。因果関係を調べてみると、数年前、日本の原子力発電の割合は3割だったと言う。2021年にはわずか3.9%。電力の供給不足の原因は間違いなく原子力発電への規制強化であり、因果的に言えば「東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故が起こり、原子力への規制強化が始まったこと」であることが明白であり、因果的にもっと短く言えば、「東日本大震災が起こった」から「2022年の夏に電力の供給不足が起こった」と命題を付けることができる。

 2021年の日本の電力供給の70%以上が火力発電に頼っている。そして、火力発電を更に増産できない理由に、世界中に響き渡る「カーボンニュートラル」「脱炭素」の動きであると報道された。

 「カーボンニュートラル」「脱炭素」を求めるデモを行っているのは白人だった。決めつけるのは悪いだろうが、ヨーロッパだと考えてみよう。その中でもフランスだと考えてみよう。フランスの総発電のうち、原子力発電は何%か? 中学生でも知っている知識だ。グーグルで詳しく調べてみよう。『フランスはなぜ原子力の比率が高い?』(https://www.miraikan.jst.go.jp/sp/case311/home/docs/energy/1105181404/index.html#:~:text=%E5%9B%9E%E7%AD%94%3A,%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B%E3%82%89%E3%80%81%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%82%8A%E9%AB%98%E3%81%84%E6%AF%94%E7%8E%87%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82)によると、2018年度において全発電量の77%が原子力に頼っている。引用すると『フランスは世界一原子力発電の割合が高い国で、全発電量の77%が原子力発電です。アメリカは20%、ドイツや日本は24%、フランスに次いで多い韓国でも34%ですから、かなり高い比率です。』

 (日本も昔は多いみたいですね……。因果関係が崩れそう)

 ちなみに原子力発電による総発電量は1 米国809.41 2:フランス382.40
3:中国330.12(2019年度)
(https://www.globalnote.jp/post-3727.html)となっている。

 フランスで原子力発電が多い理由は簡単で、ヨーロッパでは地震が滅多に起こらず、津波など一度も経験したことがないからだ。これだけ原子力が自由に使える国から「カーボンニュートラル」「脱炭素」といったデモ行進が度重なって行われる。地震が多い国の電力供給の現実も知らずに、平気で行われる。かつての地震が原因で原子力が使えない日本では、未来の人類の危機どころか、二ヶ月後の電力の供給不足ですら、目前の確実に起こる問題として懸念されている。

 斎藤幸平氏の『人新世の「資本論」』によると、今さらカーボンニュートラルに投資をしたところで気温の上昇に歯止めをかけることができない、と明言されている。この事実を知ったうえでも、私も地球温暖化の抑制には賛成だが、その世界中の目標に参加できない、やむを得ない国が地震が頻発する日本という国なのだ。

 因果をどこに置くかで、どこに問題があるかが新しく見えてくる可能性がある。2022年6月13日現在。世界中で小麦が不足している問題も因果をどこに置くかで見方ががらりと変わる。「プーチン」の一言で終わるのは簡単すぎる。決して報道されていないが、西側の先進国ではなぜ小麦価格の高騰で治まっていて、先進途上国では飢餓の問題にまで発展しているのか。問題の本質を掴み、因果をどこに置くかでニュースの報道しない部分まで予測できる、想像することのできる人が増えてほしいと願ってやまない。

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