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現像とパトローネ

こっちに来てから初めてフィルムを現像に出した。

一年近く入れたままだった20枚×2 のハーフサイズ。オンラインで申し込み、パッド入り封筒に入れて送るだけの味気ない作業で、次は写真屋さんに行きたいと思った。
その時点で日本より割高だったが、ハーフだとマニュアルだから追加で$10といわれ怯んでしまった。フィルムひとつ現像するのにに3000円近く払っていることになっていて笑えなかった。
どんなに好きなことでも何かを諦めてしまうことはあって、悔しいことにそれは経済的な理由であることが多い。この歳になってわかったこと。

装填されたフィルムを取り出すときはいつも少しだけ緊張する。空港のX線でダメになっているかもしれないなと今回は不安だった。ズレや巻き込みもなくうまく取り出せたそれをプラケースに入れた。

フィルムを巻く黒い円筒形の容器をパトローネと呼ぶ。イタリアの菓子みたいだと呑気にネットを眺めていたら、銃器の弾薬もパトローネと呼ぶらしいことを知った。


パトローネ
「弾丸、火薬、薬莢を含む完成した弾薬*」


現像されてきた写真を眺めて、鈍していた心を少しだけ救われた気がした。古くてもしっかりとしたヤシカの機体に新しいパトローネ*を丁寧に込めた。

必死で生きる日々にまたシャッターを押す。

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