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 美意識の意味を『精選版:日本国語大辞典』で引くと

〘名〙 美に関する意識。美しさを創造・受容する心の働き。また、何をもって美しいかをきめる基準や考え。

と出てきます。

 私たちは生きていく中で、意識・無意識に関わらず、「美意識」を自分の心に宿していく。それは単に、容姿といった記号的な意味での「美」だけではなく、礼儀やマナーなど自分の行動規範にも影響を及ぼします。

 自分自身が何を美しいと思うか。それは時に私たちの生きていく理念になり、その理念が私たちを人間としてより美しくしていきます。

 『「美意識」で社会を作る時代へ 朝日教育会議』という記事を見つけました。

 東京工芸大学と朝日新聞社が共催した教育フォーラム「朝日教育会議2023」では、「いま求められる『美意識』の探究」をテーマに議論。基調講演を行った、独立研究者・山口周氏は、ビジネスと美意識の関係性がより深くなってくと指摘し、企業理念が顧客の美意識を鍛えると述べています。

 問題とは、ありたい姿と現状とのギャップで、ありたい姿をいかに描くかが大事です。そこで重要なのが「ここはおかしい」という否定の美意識です。昨今、存在感のある企業は、明確なアナウンスを出しています。テスラは「化石燃料に依存する文明のあり方に終止符を打つ」として、ガソリン車にNOを突きつけています。顧客ニーズに応えるだけでなく、顧客を「鍛える」という面も求められます。

 ここで教育に目を向けてみる。学校教育ではルールという縛りを持って、児童・生徒の規範を整えようとしていますが、彼ら自身の本質的な理解がなければ、結果その効果は継続しない。だからこそ、彼ら自身の中の「美意識」を鍛えてみる。それは、自分がどう生きたいのかと同義であり、児童・生徒のありたい姿を明確にしてくれます。そのためには、教員自身が、どんな美意識を持っているのか、どのような人でありたいのかを哲学することが必要だとも言える。教育とは、児童・生徒の美意識を鍛える場でもあるのかもしれません。

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