見出し画像

酒屋さんの手づくり、旬のひと箱。 冨永酒造

今回は、周南市市民ライターとして周南市櫛ヶ浜(くしがはま)にある冨永酒造株式会社を取材しました。

約12年前に先代の父から会社を継いだのは、次女の冨永  貴子(とみなが  たかこ)さん。
明治8年創業以来つづく酒づくりは形を変えながら、ご先祖さまの魂は脈々と受け継がれーー。
地域を中心に、人々の暮らしに寄り添う取り組みをされています。

酒蔵の木蓋は、人々が集う机に。

その取り組みの一つ・・・
木曜日限定で販売されている、玄米や旬の食材が身体にやさしい加賀屋工房 旬菜弁当を紹介します。


冨永酒造の歩み

代表銘柄は、清酒 冨久寿(ふくじゅ)
父の代まで自社蔵でつくられていました。
貴子さんの代となり、酒づくりは山縣本店さん(周南市久米)に委託。
先代の父は、まだ櫛ヶ浜にコンビニがない時代、蔵併設の酒屋(小売り部)で同様の役割を担うなど革新的だったそうです。

約15年前に誕生した純米酒 奈切千軒濱八軒(なきりせんけんはまはっけん)は、貴子さん姉妹が手がけたお酒です。
周南市南端に位置する大島半島の太華山(たいかざん、標高362mの山)ふもとの「奈切」と、櫛ケ浜の「濱」から取って名付けられました。
現在は人口が逆転していますが、濱は八軒、奈切は千軒と栄えていた平安後期を連想しながら飲んでほしいとつくられたお酒です。

酒屋には日本酒をはじめ、貴子さんが身をもって大切と考える「食」や「自然」に軸を置いた食品や商品などが並んでいます。

「食べることが、自分のエネルギーとなる」

昔から、体調を崩しがちだった貴子さん。
旬のものを口にするマクロビオティックや、びわの葉温熱療法との出会い、玄米食で身体が整う経験から、食べることは大切だと学んだそうです。

会社を継いで事業の方向性を考える際も、食堂をしようかと思いをめぐらせたり、ソフトクリームを販売したりと「食」にまつわることに挑戦してきました。

その中で、近所の一人暮らしの方や若者との関わりから野菜が足りていないと感じ、旬のものを届けたい思いから「加賀屋工房」お弁当部門を立ち上げ、つくり始めたそうです。

加賀屋工房 旬菜弁当

手づくりを意識して、身体にやさしくーー。
玄米は、玄米に特化した圧力鍋で炊いています。
今だったら白菜を使おうと旬の食材を使うことや、だしを取った後の昆布を佃煮にするなど、食材を丸ごと使う一物全体の考えでつくられています。

赤かぶ酢の物、白菜の漬物、豆腐ハンバーグなど。

週に一回限定なのは、無理なく継続するため。
継続していくことで、味覚や感覚など自分の腕をなまらせないと言います。

宣伝も店ののぼりもなく、私自身周辺に住んでいますが知りませんでした。
最近知人のInstagram投稿で知ってからというもの、毎週身体が欲し、木曜日が待ち遠しいです。

冨永酒造Instagramより、自家製の梅干し。

加賀屋工房の名も気になるところ。
酒屋で行うイベントやお弁当部門で使われています。

加賀屋とは、冨永家の屋号。
冨永家のルーツである石川県の商人が、北前船でこの地に渡り着いたことが屋号の由来です。
この加賀屋を用い、加賀屋工房
ご先祖さまの魂は、このような形でも受け継がれているのです。

冨永酒造にあつまる人々

取材のあいだも、入れ代わり立ち代わりお客さんが来られる冨永酒造。

木曜日に旬菜弁当を求め通う方は、
「玄米がとにかくおいしいです。自家製の梅干しが合う。元々玄米が好きで、週に一回絶対ここの玄米にしようと思っています。いっぱい噛んで食べれるのがまた、おいしい」と笑顔で話してくれました。

気になった商品を手にとる常連さんは、
「置いてあるものもナチュラルな感じでありがたい。ちょっと寄ってみると、気になるものがあります。ネットでも探せるけどここで見て買いたいと思っています。当たり前に顔をあわせて挨拶して買える機会がない中で、なんでもないことを話せる人・場所があるって嬉しいし、ほっとします。」と聞かせてくれました。

近所の方で、一週間誰とも話していないという方が「久々に話した」と安堵の様子で帰っていかれるそうです。
仕事など人生相談を聞いたり、現代を生きる様々な方の心の拠り所になっています。

蕎麦角打ちなどイベント開催

麻・綿・絹など自然素材を使った手織り・草木染めのうさとの服展蕎麦角打ち映画上映会など、さまざまなイベントが行われています。
令和6年3月1日から3日間、櫛ヶ浜写友写真展が開催されます。
入場無料、どなたでもお越しいただけます。

また、3月23日には蕎麦角打ちを開催。

詳しくは下記、冨永酒造SNSをご覧ください。

食の奥深さのように、知れば知るほど歴史も人情味も深い冨永酒造。
日本酒から、旬菜弁当から、酒屋での触れ合いから、ぜひ冨永酒造の魅力を味わっていただきたいと思います。

《冨永酒造株式会社》
〒745-0805  山口県周南市櫛ヶ浜72
0834-25-0345
9:00~18:30頃まで
定休日:日曜日、祝日

Instagram:@tominaga_shuzo

Facebook:@tominagashuzou

この記事は、周南市の魅力をPRする周南市市民ライターの活動として発信しています。
※本記事の内容は、執筆時点(2024年2月)のものです。

この記事が参加している募集

ふるさとを語ろう

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?