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「何を学んだらいいか」の答えは、経験の中にある

来春入社予定の後輩とのランチで、「入社までにあと2ヶ月あるんで、その間に何を勉強しておいたらいいでしょうか」という問いをもらった。社会人経験は限定的だけど、いろいろプロジェクトをこなしてきた、マメで礼儀正しい青年だ。

あなたなら、どのように答えを探すだろう。

制作PMとしては、勉強しなきゃならないことは文字通り山のようにある。「手の空いてる時に執務室の本棚眺めて持ってきなよ」とか、「課題図書リストが提示されるから、片っ端から読んでみたら」とかは言えるんだけど、正直「渇望感」がないスキル系読書は大して身につかないから、時間対効果が低いなと思った。はたまた「WordPressでいっこぐらいサイト立ててアウトプットしたら」とか、「note毎日更新マジでいいよ」(笑)とかも、あんまり本質的じゃない感じ。

バドミントンスクールの初日に「まあ、まずは初心者クラスに入って」と動き具合を見られたように、大学1年生が一斉にTOEICを受けてそのスコアでクラスが決まるように、学びのプランニングにおいて大事なのはプレイスメント、「いま、どの地点にいるか」の正確な把握だ。現在地と、行きたい場所のギャップをもとに、進む道を絞り、ちょうどいい強度の学習負荷を与えていく。そう思うと、共通のプロジェクト経験がない人との会話で、ちょうどいい着地点を語るのはかなり難しい。

そこでふと気づいた。

「これまでやってきたプロジェクトを振り返って、どうだった?」

これは、プレイスメントテストの役目を果たせる問いだ。自分の経験の中に、どんな問題意識があり、その原因をどのように分析していて、どんな変化を望むのか。その描写精度、分析の確かさ、熱意の乗る部分などに、多くのヒントがある。

実際、彼の場合も、「チーム作りに課題意識がある」と言いながら、あるプロジェクトの振り返りで語られる問題点は、チームを組み始める前のプロジェクトデザイン(ビジョンとかゴールの鮮明化)にあったりする。「に何をしたいか」で、いま学ぶべきことの優先順位が変わる。

プロジェクトの振り返りは、仕事人にとって学びの宝庫だ。その学び(教訓:Lessons Learned)は常に、次のプロジェクト計画に生かされる。「学習欲」を強みに持つ自分は振り返りがけっこう好きで、特に手痛い反省プロジェクトほど、広範な課題の洗い出しをしている。

▲某案件の振り返りを自分でしたときのマインドマップ(部分)

「涙の数だけ強くなれる」とは言うけれど、ただ泣くだけじゃなく、痛みを正しく分析して、学ぶべきことを決める。そのサイクルを高頻度でぶん回す。そうすれば、仕事人の成長スピードはぐんぐん上がっていくと思う。

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ところで後輩には、「裁量のあるPM仕事のストレスは、知識とテクニックでかなり軽減できる」ということをなるべく早い段階で伝えたいんだけど、この『レジリエンスの鍛え方』については、また別稿で。

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