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頭尾縛り

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お題⑧

さあ、白黒つけよう
その想いで踏み出した1歩はぬかるんだ暗闇に沈んでいく。
足掻くほどに遠ざかる光の、どうしようもない美しさが悪い夢であればよかった。
大事に積み上げた宝物だっていつか瓦礫の山と化すのだろう、きっと誰もがわかっていて、それにうっすらと滲ませた諦めが大人の証のようで恐ろしい。
君も僕も子供のままでいられたら沈むこともなかった
理想と仮定にしがみつく僕はもうどこにも行けないから、君だけ

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お題⑦

これまで何度さよならを言っただろう、届かないと知りながら胸の内で告げる別れは今日もまた私を引き裂いていく。
何も知らない無垢な君は明日も変わらず私の前で笑ってくれるんでしょう、それ故に残酷であることを露ほども、夢にすら、思っていない無邪気さ。
傷つけたい汚したい、駄目ならせめて憎めたら、そう叫ぶ心を何度も殺して同時にさよならを告げていること、どうか気付かずにいてください。
君の一番になれても唯一に

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お題⑥

さよならの前に覚えておきたいことはなんですか。
湿った枕に頬を擦り付けて眠る夜が問いかけてくる度に朝日が憎たらしく思える
君が死ぬならなんだっていいや
笑顔の裏の棘が隠せていない君はなんて優しい人だろう
夏の匂いが鼻先を掠める度に、うだるような暑さの中で震えていた肩が脳裏に浮かぶ
愛おしい、と初めて感じた時には全てが終わっていた
どうにもならない仮定の話

目の前で揺らぐ金魚の尾ひれが高い笑い声と

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お題⑤

振り返ることはできなかったけれど、近付いてくるその足音が誰のものかなんてわかりきっていた。
夕陽が射し込む部屋の中、僕は本を読んでいる。
近付いてきた足音は僕の背後で何も言わないから、僕も振り返らずに文字を追う。

静寂とアールグレイの香りに包まれた中でどれだけの時間が過ぎただろう。
文字はただ滑るばかりで一向に意味を成さない。
諦めて本を閉じようとすると、背後の気配が動いてひやりとした手が僕の目

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お題④

あなたはいつも笑うから、私は何も言えなくなる

夜を映した濃藍の淵に佇んで白い息を吐く
晴れていれば澄んで輝いているはずの水面も、時折白銅色にぼんやりと揺らぐばかりだ

いっそ沈んで溶けて、消えてしまえたら
あなたと分かり合えるだろうか

湖を綺麗だなんて
どれだけ澄んで見えたとしても、掻き回せば途端に濁った水で溢れかえるのに

そう言ってわらったあなたの顔が焼き付いてじくじくと疼

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お題③

お題③

ただひたすら想っていた、そのことをあなたは知っていますか。
雨の匂いが立ち込める中、ひとつの傘をさしている僕らはきっと世界にふたりきりだった。
水溜まりに落ちて光る虹を雨粒が拡げて、映り込んだ街は揺蕩う。
永遠なんてものは無いなんてとうの昔に気付いていたけれど、それでも信じていたかった僕を、あなたは笑いますか。
祈るように重ねた手のひらがひどく熱かった夜、首のない鳥が羽ばたく夢を見た。
空を仰いで

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お題②

お題②

彼女には花がよく似合うと思っていたのはきっと、僕だけではないだろう。
美しい人だった。
金木犀の香りがして、奥底へとしまい込んだ記憶が僕を呼んでいる。
あの日の彼女がどんなかおをしていたかすら、ぼんやりと霞んでいるのに。
なにかに急かされるように夢中で駆け出して、頬にあたる風が冷たく嗤う。
野良猫がにゃあと鳴く、ここにはひとり
血のような赫、目を塞ぎたくなるほどの夕焼け
全部振りほどくみたいに走っ

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お題①

知らない方が幸せなことだってある、
君はいつだってそう言ってわらう。
君の笑顔が嫌いです。
きゅっと細まる目の奥はどこか暗く冷えていて、決まって私を寂しくさせる。
知らない振りでは駄目ですか。
全てを知ったその上で、君の笑顔を乱したい。
知れば不幸になるなんて、思い上がりだって証明したい。
君への感情をわらって切り捨てる君が憎い。
確かにこの胸に存在しているのに、切り開いたところで君に見せつけてや

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