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頭尾縛り

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2020年2月の記事一覧

お題⑤

振り返ることはできなかったけれど、近付いてくるその足音が誰のものかなんてわかりきっていた。
夕陽が射し込む部屋の中、僕は本を読んでいる。
近付いてきた足音は僕の背後で何も言わないから、僕も振り返らずに文字を追う。

静寂とアールグレイの香りに包まれた中でどれだけの時間が過ぎただろう。
文字はただ滑るばかりで一向に意味を成さない。
諦めて本を閉じようとすると、背後の気配が動いてひやりとした手が僕の目

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お題④

あなたはいつも笑うから、私は何も言えなくなる

夜を映した濃藍の淵に佇んで白い息を吐く
晴れていれば澄んで輝いているはずの水面も、時折白銅色にぼんやりと揺らぐばかりだ

いっそ沈んで溶けて、消えてしまえたら
あなたと分かり合えるだろうか

湖を綺麗だなんて
どれだけ澄んで見えたとしても、掻き回せば途端に濁った水で溢れかえるのに

そう言ってわらったあなたの顔が焼き付いてじくじくと疼

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