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日本BL映画「ダブルミンツ」

主演:淵上泰史、田中俊介、小木茂光
2017年 1時間40分
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★☆☆
(写真=映画.comより)

ちょっと前にアジアBLドラマファンのグループでオススメされていて、全然知らなかったので探してみたら、Amazonプライムビデオにあった。しかし!PerfumeとMIYAVI君に惹かれて「ザ・マスクド・シンガー」なんぞ観始めてしまって、ずっと後回しになっていた本作、やっと観てみた。

同姓同名の二人、運命を共にする二人

漫画を原作とした本作、実写化は難しいと言われていたらしいが、原作に惚れ込んだ監督が2年近くの歳月で構想を練り、実現したらしい。

高校時代、新しいクラスで同じイチカワミツオと読む名前を持つ市川光央(田中俊介演)と壱河光夫(淵上泰史演)が出会う。威圧的な光央と接するうちに、彼に逆らうことのできない主従関係に陥ってしまった光夫。それから数年後、彼の携帯電話にチンピラとなった光央から女を殺したという連絡が入る。光央と再会した光夫は、高校時代の記憶をよみがえらせながら彼と行動を共にする。やがて二人の関係は、高校時代とは違う形に変わり……。(シネマトゥデイより)

チンピラの光央は、自分が殺した女の悪夢を見るようになり、思わず警察に駆け込んで自首してしまう。捜査員たちが死体を探すものの見つからない。女はどこにいってしまったのか?光夫のところへ確かめに行くと、そこには。。。
その後の様々な出来事から、二人は離れられない関係となっていく。

アンドロギュノス、本当は一体だったかもしれない二人

劇中テレビ番組で、哲学の講座が放映されており、そこで「アンドロギュノス」についての説明がある。

ギリシャ語で男性を意味する「アンドロ」と、女性を意味する「ギュノス」からつくられた言葉であることからわかるように、ふたつの性をもつ「両性具有」のこと。古代神話や錬金術の図像に見られるように、男と女の性がひとつの体に存在することを意味しているが、それは人間が二つの性に分かれる以前の完全体であることを表わすためであった。(artscapeより)

男性同士の恋物語かというと、本作は当てはまらない。というか、もうそういうこと以前の問題なのだと思う。
高校時代は主従関係だったが、成人になって再会してから、結局は二人は離れられない存在だったというのが、様々な事件を通して、お互いにわかってくるのである。光夫と光央は本当はアンドロギュノス、本来は一つの完全体ではなかったのか。という根底に基づくと、このストーリーは納得できる。

やはり原作の方がいいのでは。。。

原作を知らないのでなんとも言えないが、本作はBLというより、暴力ヤクザ映画、ノワール映画の方に入る。そして監督が男性だからだろうか、なんかあまり色気が感じられない作品になってしまっている感がなくもない。いや、男性監督だからというのはおかしいだろう。韓国のイ=ソン・ヒイル監督の一連のBL映画は暴力的だが、色気はある。
一応カテゴリーとしてBL作品に入れるが、もちろんラブストーリーなんかではない。ただ、BLでもない、ヤクザ映画でもない、中途半端感があると言えばある。もちろん、監督はそういう中性的なものを、狙ったのかもしれない。作品自体もアンドロギュノスなのだ。

おそらく原作を端折っている部分がだいぶあると思われるので、ストーリー的にはちょっと説得力に欠ける。本来なら小木茂光演じるヤクザの親分、佐伯と光央の間にもう少し何かあるんじゃないかと思ったが、どうなのだろう。
しかし、主演の淵上泰史と田中俊介はとてもよかった。犬扱いされ、一見弱そうな光夫も実は肝が座っている。虚勢を張っている光央は実は割と脆い部分がある。そんなみつおたちをよく演じていた。本作が初主演作となった淵上泰史は色々な作品でチョイ役でよくみていたが、ダークな役が似合っていてとても良かった。

こちらが予告編。


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