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台湾映画「Artemisia」(艾草)

主演:パン・リーリー(潘丽丽)、モー・ズーイー(莫子仪)、チョウ・ヘンイン(周姮吟)、ゲイリー・タン(唐振刚)
2008年 85分
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★☆
日本語タイトル:「蓬(よもぎ)の花」
(写真=GagaOOLala公式サイトより)

先日視聴した韓国ドラマが修羅場すぎて、自分が不倫しているわけでもないのに、言い訳考えたり、とにかく余韻が激しすぎた。
先日視聴したタイBLドラマは、生暖かいプラチュワップの風に吹かれながら電車に乗っていて、うとうとしながら夢でドラマを見ていて、夢の中でも寝落ちしちゃったような、目が覚めたら線路も駅のないところに置き去りにされたような感じ。

これはもしかしたら「台湾に戻ってこーい!」という101の神様のお告げかもしれないと思い(すごいこじつけ)、急遽台湾に帰ることにした。あ、映画&ドラマの話ね、もちろん(笑)。

悩める母の物語

パン・リーリー演じるアチャオ(吴艾草)には二人の子供がいる。歳が離れた夫とは死別しており、モー・ズーイー演じる長男のアーハイ(宋海)と暮らしている。チョウ・ヘンイン演じる長女のアーリン(宋伶)はフランスに留学中。
30歳にもなるアーハイにはそろそろ結婚してほしいが、どうも彼女がいる気配もない。もしかしたらゲイなんじゃないかと頭をよぎるものの、絶対にそんなことは認めたくない。

そんな頃、アーリンから台湾に帰国するとの連絡が。アチャオは大喜びで、当日はアーハイに彼女を空港へ迎えに行ってもらい、家でご馳走を準備する。
空港に到着したアーリン、なんと彼女は一人ではなく、小さい女の子を連れていた。しかも!明らかにアフリカ系のミックスの女の子だったのである。
迎えに行ったアーハイも驚くが、果たして母親はどんな反応を示すのか?

”マイノリティ”の問題を取り上げた物語

私も台湾のLGBTコンテンツ専門動画サービスのGagaOOLalaで視聴したし、過去にも多くのLGBTQ関連の映画祭で上映されたようなので、同性愛やLGBTがテーマの作品かと最初は思ったが、もっと幅広い意味でのマイノリティの問題を取り上げているといえる。

まず、母親のアチャオは台湾の少数民族出身。彼女の田舎の実家に住む母親や親戚も出てくるが、言葉も全くわからない。そんなところ出身の彼女は、若い頃に大陸出身の中国人男性と知り合い、結婚したのであるが、ずっと「少数民族」「大陸出身の男性と結婚」というレッテルを貼られて生きてきた。

そして今、娘は「未婚でシングルマザー」となり、しかもその子供は「肌の色が浅黒いミックス」。加えて息子はおそらく「ゲイ」
アチャオが自分の過去と照らし合わせて、どう現実と折り合いをつけていこうとするかが描かれている。

母親アチャオという名前は「蓬(よもぎ)の花」という意味で、花言葉は「幸福」「平和」「平穏」「静穏」「夫婦愛」「決して離れない」などがあるらしい。10年以上前の映画なので、さまざまな偏見などはだいぶ無くなってきたと言えるだろうが、母親の子供に関する悩みというのは、いつの時代にも尽きないもので、どのように心の「平穏」を見つけていこうとするかは永遠のテーマと言えるだろう。
ほっこりできる、とてもいい作品であった。やっぱり台湾に戻ってよかった。

こちらが予告編。




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