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ブラックユーモア満載暴力SF『テラフォーマーズ』

実写化不可能と言われていたが…

累計1600万部突破の大人気コミック『テラフォーマーズ』は、『悪の教典』の三池崇史監督によって映画化された。しかし、評判はよろしくない。映画.comでは2.3、ヤフー映画でも2.3とレビュー点数も低評価だ。

原作は未来社会の火星を舞台に人型ゴキブリとの死闘を描くというぶっ飛んだ設定から“実写化不可能”と言われていた。そのため、実写化のニュースは当時大きな反響を呼んだ。

しかし『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』『クローズZERO』などコミック原作の映画だけでなく、『ヤッターマン』や『忍たま乱太郎』など国民的アニメまで、どんな題材も見事に実写化させてきたベテラン三池崇史監督に不可能はなかった。

まず三池監督は、「本当にやるの…」と不安がっていた主演の伊藤英明と話合いを重ね、乗り気にさせるところから始めた。次に武井咲、山下智久、山田孝之、小池栄子、小栗旬や、菊池凛子、福島リラなどハリウッド映画でも活躍するなどスターキャストを起用し、エンタメ性を強調させる。しかも原作の世界観そのまま、アクションをテンコ盛りにする内容を志すことにした。

「火星でゴキブリ駆除」というぶっ飛んだ設定

本作は資源の枯渇や人口増加が原因で、格差社会が問題化した未来社会が舞台だ。地球にはもう人は住めないということで、火星への移住計画(テラフォーミング計画)が始動する。気温をあげ人類が移住可能な環境をつくるためゴキブリとコケを火星に送ったが、500年の時を経たゴキブリが異常進化してしまう。その姿は、二足歩行の人型モンスター“テラフォーマーズ”だった。

このテラフォーマーズたちのビジュアルは特徴的だ。大きな目で、胸板は厚く、筋肉はバッキバキ。こん棒で殴ったり、人間の首をへし折ったりと暴力的なモンスターである。
一方、人類はこのゴキブリたちを駆除するため、免罪やお金など高額な報酬と引き換えに収集した15人の隊員を派遣する。ただし、普通に戦ったらテラフォーマーズに勝てないだろう…ということで、隊員にはそれぞれ異なる昆虫のDNAを注入させる。例えばハチのDNAを組み込まれた主人公はハリを使って相手を刺す能力を発揮する。他の隊員達に注入されるDNAもあるのだが、聞いたことも虫も多い。キャラクターが登場するたびにどのような能力なのかワクワクさせられる熱い展開も見どころだ。

「グレンラガン」の中島かずき脚本

火星で異常進化した人型ゴキブリと昆虫DNAを注入された強化人間との熱いバトルが勃発する…こんなむちゃくちゃな設定の原作を脚本にしたのはコアなアニメファンをも唸らせる傑作アニメ『天元突破グレンラガン』のシナリオ構成などで知られる中島かずきだ。

緩急の付け方が巧妙である事で知られ本作でも展開の切り替わりが半端なく早い。さっきまでゆるい感じでふざけていたのに、次の瞬間には人間の首が吹っ飛び、メインキャラと思われた人物があっさり死んだりする。ありきたりとは真逆をゆく予測できない展開だらけのパワフルな映画である!

ブラックユーモアが満載の本作、見る前からダメと決め付けず一度見てみることをおすすめしたい。


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