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はてしない石の物語#28~間に合った「帰りたかった婚約指輪」~

いつのことだったか全く記憶にないのですが、母から「あげるわ」ともらったオパールのリングがありました。サイズも石も大きくて身につける機会がないままになっていました。

石の勉強を始めた2023年がそろそろ終わろうとしている時、母がふと「あなたにあげたオパールの指輪は婚約指輪だったのよね」と言うではありませんか!そんな指輪だとは知らずにもらっていたので、石の勉強会で見ていただくのを後回しにしていたのですが、繰り上げて見ていただくことに。

K先生は指輪を手に取ると、しばらく沈黙していました。そして「これはどういう経緯でもらったの?」と聞かれました。「いつもらったのか、どうやってもらったのか覚えていないのです」と伝えるとまた沈黙が・・・そして「この指輪はお母さんのことが大好きなんだよね。これはお母さんが生きている間、ずっとお母さんの側にいるのがいい」と。

その言葉をお聞きして良かった!80歳になる母が元気なうちに本人に返そう、と思いました。でも、どうやって返したらいいものか・・・そこで一計を案じました。『はてしない石の物語#26~「姪に贈った幸せを運ぶペンダント」~』『はてしない石の物語#27~行き先を指示した「伯母の形見のリング」~』で伝えたように、2024年元日に実家でみんなが集まった時、姪のワコちゃんと私の妹にそれぞれアクセサリーを渡すことになっていました。

そのエピソードはこちら


その時に母にも婚約指輪を返すことに。私からは「婚約指輪だって知らずに受け取っちゃったけど、大事なものだから返すよ。これからいっぱい身につけてあげたらいいと思う」と伝えることに。ワコちゃんと私の娘(母にとっては孫たち)にすかさず「そうだよ、そうだよ、おじいちゃんの愛がこもっているんだからさ」と後押ししてもらうことに。

その作戦はうまくいって、無事母に受け取ってもらうことができました。その時、母は「この指輪、姉もつけていたんだよね。」と言うのです。私たちはなぜ伯母(母の姉)が母の婚約指輪をつけていたのか全く理解できずにその話を聞いていました。また「確か、この指輪、おばあちゃん(父の母)や親戚みんなで選んだって聞いていたけど」と言いました。それを聞いていた父が「違うよ、それは俺が買ったんだよ。お店に行って店員さんに選んでもらったけど」と答えました。母は「えー!そうなの?ずっと親戚みんなで選んだのだと思ってた」と。私たちはみんな「お父さんがそうやってお店で買ってくれたんだから、やっぱり大事にしなくちゃ」と言い合いました。「そのことがわかって良かったじゃない。この指輪返すことにして良かった」とも。

その夜、妹と母だけが部屋にいた時に、こんな話を母がしたそうです。「この指輪、みんなでよってたかって選んだのかと思うと実は嫌だったんだよね。だから姉に貸したりしてたのよ」と・・・その話を妹が教えてくれて、「ああ、そういうことだったのか!」と腑に落ちたのでした。だから、いきさつもいわれも伝えないまま、私にも譲ったのですね。

こんなことがなければ、この婚約指輪は大好きな人の元に戻ることがないまま、誤解されたままだったと思います。そして、どんな指輪なのかもそのうちわからなくなっていったと思います。そう思ったらとても切ない気持ちになりました。今回大好きな母のもとにようやく帰ることができて、間に合って、本当に本当に良かった。

指輪が母の元に帰ることができたことも良かったけれど、店員さんに相談したとはいえ父がお店に行って買ったものだと知ることができたことが一番良かったことなのかもしれません。指輪もそれを伝えたかったのではないかしら。

K先生が指輪を見てくださった時、「もしこの指輪があなたのところに来るにしても、それはずっと先だよ。生きている間はお母さんが身につけるように」とおっしゃいました。そう、指輪が私のところに来るにしても、他の人を選ぶにしても、それはまだまだずっと先でいいからね。思う存分、大好きな人と一緒に過ごしてね。

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