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EPOCHは本日10周年ですが、PARTYもやりませんし、会社を売却するのも辞めました。その理由は・・・。


こんにちはクリエイティブカンパニーEPOCHの代表の石澤です。

はい、弊社EPOCHなのですが、本日9/12を持ちまして10周年になりました。多くの会社が創業3年でつぶれる中で、なんとか10年生き残ることが出来ました。これも多くのクライアントとパートナーさんと弊社のクリエイターやスタッフのお陰で、度重なる荒波を乗り越えて奇跡的に今日という日を迎えることが出来ました。これもひとえに皆様のご協力とご厚意があってのことです。本当にありがとうございます。

そして、そんなEPOCHですが、普段色々とイベントなどをやっているのですが10周年にあたり特にPARTYなどは予定しておりません。理由としては既に今年映像作家100人のイベントや映像クリエイターの納涼祭など色々と手掛けさせていただいたりしている点があるのと単純に周年イベントをやるのがシックリこなかったからです。

シックリこない理由を自分なりに整理するとEPOCHは「法人」ではなく、「場-SCENE-」だからなんだなと思います。EPOCHは「場」だからこそ「場」のお祝いをするのではなく、主役となるクライアントや、関わってくださるパートナーや在籍するクリエイターやスタッフの「ハレの日」をお祝いするほうがしっくりきます。

そして、思えば実は「EPOCH」という「場」で一番成長させていただいたうちの一人は何を隠そう私、「石澤秀次郎」なのかもしれません。
私は、2013年の9月12日にEPOCHを起業する前は、もともと何をやってもすべてうまくいかない不器用な幼少時をこじらせた結果、大人になっても仕事も出来なくて、周りの人とはうまくやれなくて、初対面の印象が悪くて、まったくモテなくて、いつも組織のはみ出し者で、根拠のない強がりと敵意を身にまとった役職などのない平社員で、本当にどうしようもない問題児でした。

そんな私の人生で、一番長く続けられた職業となる「経営者」との出会いを作ってくれたのも「EPOCH」ですし、初めて彼女が出来て、家庭を持つまで私生活を変えてくれたのも「EPOCH」があったからこそだし、一人じゃ何もできない男だった私を、世間に一人前な社会人として認識してもらえるキッカケを作ってくれたのも「EPOCH」です。
そして、輝くようなまばゆい才能を持ったクリエイターやクライアントの課題解決に懸命に奮闘する真面目なスタッフが集まる縁を作ってくれたのも「EPOCH」という「場」があったからだと10年たった今そう思います。

しかし、そんな「EPOCH=場」と思えるようになったのは実は最近というか今年の5月くらいからやっとそう思えるになりました。それまでは、私は「EPOCHは法人」だと考え、毎年「法人」として成長を遂げる、つまりは資本主義の中で増収増益をして、企業として大きく成長をしていくことが正しいと信じていました。

少し振り返ると、法人としてEPOCHを起業して3年くらいは面白いように伸びて、その後3年は自分は現場の最前線を離れて、経営を中心にし、新しい仲間の加入や新卒を受け入れたりする中で、確かな手ごたえと適度な成長痛(社員の退職など)を感じながら日々を過ごしていました。
しかし、次第にこのクリエイティブ業界の既得権益の大きさや、なかなか変えられないビジネス構造や商習慣の障壁に身長が伸び悩む思春期のように「法人」としてのEPOCHの成長に鈍化を感じて、それは焦りや業界への不満、そしてそれを変えられない、代表としての自分の能力や影響力の弱さに自己肯定感がさえなまれるような感覚を感じたのを今でも覚えています。

そして、7年目に入ってからは後から起業された有名代理店や有名プロダクション出身の経営者に売上面でも、体制面でも追い抜かれて、「EPOCHでは業界を変えられない」、「このままやってもEPOCHのレベルはもう上げられない」、「業界で確固たるポジションを築けない」、「競合より魅力的な会社になれない」というような無理ゲー感を個人的に感じるようになりました。

そこで、新天地を求めて、2社目のスタートアップ「TIME MACHINE」の起業を決意し、もともとEPOCHで起業をする前からやりたかったWEBサービスの立ち上げを手掛けることになりました。
しかし、これが実にいばらの道で、なかなか上手くいかない開発やローンチ後のサービスからでる度重なるバグ、そして永遠に終わることない開発や改善、なかなかファンがつかない状態を解決するための、お金のない中でのマーケティング戦略に、どんどんなくなる銀行残高などの苦しみにすぐに直面しました。

それでも、スタートアップの日々は異様なほど早く、スリリングで死ぬほど徹夜もして、体がクタクタになるほど自分という存在を使い尽くし、個人的な貯金までも切り崩してでも、辞められないほどの中毒的なような魅力がありました。
だって、知らない誰かが、自分のサービスを週に何回も使ってくれてバグが出たらすぐ困ってるという連絡がチャットに来るんですよ。なかなかすぐにはお金になりませんが、見ず知らずの誰かが自分のサービスを勝手に知ってくれて、猛烈に使い始めてくれる、こんなお値段以上の興奮と感動と奇跡はありません。

そして、気づいたらEPOCHとTIMEMACHINEの2社を同時並行で経営をする日々は「自分の心に強い見栄と無駄なプライド」を飼うことのきっかけとなりました。
どんなに頑張ってもなかなかお金になりにくいTIME MACHINEと、自分が何もしなくてもスタッフやクリエイターが勝手によい仕事を着実に成し遂げて、一歩一歩成長するEPOCH。その反比例するコントラスに自分の中で「クリエイティブ業界やEPOCHに対する嫌悪感と、そんな自分が社長をやってていいのかという罪悪感、そしてEPOCHのメンバーの成長にいち経営者として負けたくないという意地」が複雑にまじりあっていきました。
更にはTIME MACHINEで資金調達に挑むも50回以上のVCさんとの面談でも、心無い発言や度重なるドタキャンやエンドレスな資料制作・改訂そして、結果的にここでも若手の起業家やライバルに溝を開けられて結局資金調達の合意が得れず、去年から今年にかけては本当に心が苦しかったです。

そんな中で、去年から今年にEPOCHでは創業初期から所属していたディレクターやスタッフの卒業や独立が相まって、自分の元から全ての人がいなくなってしまい、法人としての「成長」どころか「生命の危機=存続の危機」を感じるようにまでなっていきました。
そして、そんな際に思ったのが「EPOCHの売却」でした。誰もいなくなり、存続できなくなる前にのこの「法人格」を売ってしまい、大手の資本で人工呼吸器をつけて安定的な存続を確約してもらい、自分はお金を得て楽になりたいと思うようになってしまいました。

そうすれば、EPOCHを売却したお金が個人的にも入り、中毒のように妄信していたスタートアップ事業に再投資が出来て、その金額を投資すればきっと成功できるし、売却したお金の一部を資産運用に回せば、家族の生活も安定して養えれる、そんなことを今年のGW前まで本気で考えていました。

しかし、そんな時にふと自分のサービスの「スケコン」のカスタマーサポートを人手不足のため自分でやりはじめたり、同じく人手不足でEPOCHのクライアントワークの営業窓口に自分が復帰することがたまたまありました。その中で、TIME MACHINEでもEPOCHでもリアルなお客様の声や期待に触れたときに自分の考えがいかに歪んでいたことに気づかされました。

そうです、実は企業の本質というのはクリエイティブでもWEBサービスでも結局は、お客様の課題の解決のために期待以上のものを丁寧に1個1個ずつ打ち返す「機会づくり」であり、「場づくり」であるということを10期目にして気づかされました。どの業界にいっても飛び級や楽な道なんてものはなくて、仕事はいつも不安で憂鬱だからこそ、やりがいがあって楽しいのだと。

会社が競合に勝つという事や上場すること、売上を達成するみたいなものは結局その「機会」や「場」がクライアントにもパートナーにもスタッフにも三方よしで、望まれていて愛されていることの総和の結果でしかないんだなとやっと思えるようになりました。
そう思うと急に「自分がイケてる経営者でいたい」とか「この業界を牽引する経営者になりたい」とか「上場できる経営者になりたい」とかみたいな自分本位で私欲的な見栄のために走ってきたことや、100%オーナー株主の創業者という立場を利用して会社を私欲のために売ろうだなんて思っていたのは身の程知らずで、それこそプライドも仲間も金で売ろうとしてる浅はかさにめちゃくちゃ恥ずかしくなりました。

その後、デューデリジェンス直前まで進めていたM&Aを担当の会社さんに謝罪をして売却を中止し、TIME MACHINEの役員体制を改めて、EPOCHでもスタッフ皆に最低でもあと10年は頑張ることを宣言したら、自然と心の重荷がなくなり、少しづつ会社が2社とも好転するようになってきました。

そんな間違えた判断の連続をギリギリまで続けて、なんとか踏み外す直前で仕切りなおせたのも、やはりこの「EPOCH」という「場」があったからこそだし、「EPOCH」という「場」を愛して好きでいてくれるクライアントやパートナーさんやスタッフがあってこそだと今は本当に思えます。

だからこそ、今は10年でやっと経営者として「真実」の輪郭を感じることが出来始めて、改めて「経営」を面白く感じられているし、「EPOCH」も「TIME MACHINE」も皆様から愛される「場」としてアップデートできるノビシロをめちゃくちゃ感じられてすごくワクワクしています。
そして、今からやっと私自身の経営者としての"第2次創業"を「EPOCH」という場から始められることに対してスタッフといつもこんなに危ない橋を渡る無謀な挑戦ばかりをする私を支えてくれる妻と家族に感謝しかないです。

最後にここ10年でEPOCHが「場」としてクライアントとパートナーさんとスタッフと一緒に達成できてよかったことを羅列させていただこうと思ってます。

■この10年のあゆみ
・多くのクライアントやパートナーからEPOCHに魅力に感じていただき、共創することが出来た
・多くの国民的企業やアーティストや番組のお仕事に関わらせていただく機会をいただけた事
・EPOCHの仕事に満足いただいてクライアントから「おかわり」でご依頼いただけた事
・多くの才能あふれるパートナーさんと独自のコラボレーションができた
・EPOCHから独立して今も活躍している経営者を複数名輩出できた
・EPOCHで初めてプロデューサーになってプロデューサーの面白さを覚えてもらった
・デイレクターの才能に心から惚れているマネージャーさんがいる事
・PMからプランナーになって多くの評価をいただけるスタッフを輩出できた
・スタッフに沢山家族が出来て、今も一緒に働けている事
・多くのクライアントやプロダクションからご依頼いただけるデイレクターに今も沢山所属してもらえている
・プロデューサーになりたくないと言っていたスタッフがその後プロデューサーやりたいですと言ってくれた
・ディレクターを目指していたスタッフにPMの楽しさを教えられた
・WEBデイレクターからクリエイティブデイレクターを担当できるようになった
・スタッフから自分以外の取締役や役員を輩出できた
・EPOCHを辞めたスタッフともその後も笑顔で仕事ができた
・さまざまな新規事業に挑戦できた
・マネージメント事業の新しい取り組みができた
・渋谷に念願のお店を持つことができた
・卒業したスタッフが今も同じ業界で歯を食いしばって頑張っている事
・EPOCHでそれぞれを自分のやりたいことを見つけて、場として活用してもらえている事

そんなわけで、EPOCHは10周年PARTYはやりませんが、今後ホームページのリニューアルや外部クリエイターさんとの新しい取り組みなど多数の仕掛けを予定しています。

そして、そんな仕掛けをこの「場」から一緒に手掛けてくださる、プロデューサーやPMやデイレクターを多数募集しております。もし、EPOCHで新しい挑戦や可能性を試して自分の新しいキャリアシーンを描いてみたい方はふるってご応募ください。

さぁ、PARTYの始まりはこれからです。一緒にクライアントとあなたの「場」をEPOCHで「MAKE SCENE」していきましょう。

それでは、この先の10年もEPOCHのクリエイターとスタッフをよろしくお願いいたします。

文責:EPOCH石澤

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