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【キャプテンサンダーボルト】 読んだのが今でよかった

私は伊坂幸太郎の書く小説が大好きです。以前までは新作が出れば購入して読んでいました。社会人になってからはまとまった時間を作ることが苦手すぎて読書から遠ざかっていたのですが、最近は少しずつ読書を再開しています。

読んでいる本は今も変わらず伊坂作品です。読んでいない過去作品を発表時期の古いものから読んできています。そんな中、次の標的となったのは『キャプテンサンダーボルト』でした。

・初の合作

こちらの作品は伊坂幸太郎と阿部和重の合作です。2014年11月末に発売されており、私は発売当時にすぐ購入していたのですが、少しだけ読んで9年間も積読をした状態にしてしまいました。

読んでから思うのは「積読をしておいてよかった」ということだけです。

伊坂が仙台市に住んでおり、阿部は山形県出身ということで、本作は山形と仙台が舞台の作品となっています。伊坂作品の多くは東北が舞台となっているため、今作も違和感がなく読めました。

小説を読んでいくと伊坂色が強い傾向に思えましたが、私がまったく阿部作品を読んだことがないため確証はありません。ただ、言葉遣いや地の文は伊坂作品であまり使われない言葉が出てくることも多く、そういった節を見つけるたびに合作であることを実感させられました。

・アクション映画のよう

小説の内容自体は詳しく書きませんが、アクション映画のような構成だと思いました。映画化もきっとしやすいのですが、どうしてもタイミングが悪くなってしまった。

主人公2人が一攫千金を目指して謎を解く物語ですが、その謎に絡んでくる登場人物たちの事情が物語を膨らませ、最後にはキレイに1つにまとまる。

また、伊坂作品の醍醐味として伏線回収があるが、本作でもその楽しみは健在だった。伊坂作品に慣れている読者は読んでいる時から伏線になりそうなキーワードをチェックしてしまうのだが、本作はチェックしきれなかった。

最初から最後まで、不要なものがない作品となっていた。

・積読をしてよかった理由(映画化しにくい理由)

私はこの作品を読んでとても怖くなった。物語の最初から最後まで、とある「病気」が軸になって進んでいく。

発売された2014年時点で読んでいれば「そんなこともあるんだな」程度に思っていただろうし、あまり恐怖を想像できなかっただろう。だが、コロナが流行した今となっては無関係な話ではないと思い、恐怖を感じてしまった。実際は無関係なのだが。

2020年からコロナと闘いながら生活してきた今の私だからこそ楽しめた作品だと思っている。

また、コロナでかなりの感染者や死者が出た今となっては、これを娯楽映画として発表するのは難しいのではないかとも思う。私は見たいが、よくないと思う人もいるはずだ。

・今だからこそ楽しめる作品

『キャプテンサンダーボルト』は9年前の作品だが全然色あせていない。逆に色濃くなってきているくらいだ。ボリュームのある作品ではあるが、読書の秋に読みたい作品になっていると思える。



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