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教育学部卒でない教師 [Part2]

普通教員になるなら教育学部でしょ?とよく言われます。
自己紹介で
「卒業後は地元で高校の英語の先生をします。」というと、
「じゃあ教育学部なのかな?」と尋ねられます。
「あ、いや、僕は人文系学部を卒業して、今でもそのまま人文系の大学院にいます。」
「教職大学院ではないのだね。」
なんて会話を何度繰り返したかわかりません。


・「国連研修」との出会い

そのように決意した理由には、いくつかありますが、一番は大学3年生の時のある先生との出会い。
その方は、客員教授で国連で働いた経験もお持ちの先生でした。
その授業は「通称:国連研修」
履修する気はなかったのだが、友人に誘われ、なんとなく履修することになりました。

・参加費用は40万円!?

今でも関わりのある先生なので、その時を振り返って先生は「一番不真面目そうな学生だったね。」と笑いながらよく言っています。
しかし元々は海外にいいくことを目的とする研修。
一枚のチラシに書いてあった参加費用・・・40万円!?
到底払うこともできなければ、参加するほどの意思も持ち合わせていませんでした。「国連研修」といっても世の中は、コロナウイルス蔓延中。
「海外に行けるはずはないだろう!」そう思って、2単位を取ろうかな〜なんて軽い気持ちで履修することにしました。

待ち受けていた予想外の授業展開


待ち受けていたのは、さまざま規格外の先生。
授業時間、展開の仕方、授業内容、先生像、、、
どれもがいわゆる一般的な教授とは異なる雰囲気を醸し出していて、開始早々何が行われるのだろうという気持ちから授業に吸い込まれていきました。(だって毎回の授業の最初はラテン系のダンスミュージックをYoutubeで見るんだから何が何だかわからない。)

内容は、
「そもそも国連ってどんな仕事をする場所なのか?」
「なんのために設立されたのか?国の法律と国際法とは?」
などなど基本的なところから、どのように経済的支援を得て、それを運用するまでの流れに至るまで、そしてさらに先生自らの国連での体験も織り交ぜた、リアルな授業でした。
中学校の社会の教科書、あるいは、高校の現代社会の教科書でしか見聞きしたことのない話が、自分の目の前で繰り広げられていきました。
教員を目指す学生として、こんなにも自分の体験を真剣かつ、学生と意見を交換し合うことを楽しそうに授業する先生は初めてのタイプで、ひとつのあるべき教員像ではないかと思い、魅力を感じていくようになりました。
基本的な授業時間は90分ですが、終了のチャイムが開始の合図かのように、鳴ってからさらにエンジンが入るような授業で、警備員さんに何度も、「熱心ですね」と声をかけられたことを強く覚えています。
「あの先生のようになるにはどうしたら良いのだろう?」
「自分が教員になったらこんなにも、生徒の眠ったやる気を湧き上がらせるような授業ができるのだろうか?」
そんな疑問がふと湧き上がってきました。でも多分このなんとも言語化できない感情、あるいはあの先生が持つスキルは、
授業力ではない、人間力にあるのではないかと感じました。
なぜなれば、それは授業の内容にではなく、先生の知識の広さにあったからです。どんな的外れな、あるいは突飛な意見でさえも、「まあそれも一理あって、こういう事例も実際にはある」という回答が得られました。
Diversityが体現されている授業とも言えるでしょう!
とにかく覚えなさいと丸暗記をさせられていた中学校や高校の授業とはまるで大違いでした。この人には何をいっても受け入れてもらえるんだと実感し、忘れかけていた、積極的に手を挙げるという行為につながっていました。それは僕だけではなく、授業全体でそうなっていきました。

・この授業が僕を変えた

3年間の大学生活を振りかえって、僕が感じたことは
「僕にはあらゆる面での学びが足りない」ということです。
問題解決能力、人間力、知識量、あらゆる面で僕は教壇に立つのは早い、と眼前に突きつけられた気分でした。
考えた末、大学4年生の4月に、大学院に進学することを決意しました。
その際に重要視したのは、いかに生徒との関わり、あるいは授業力を磨くかではなく、人として、いかにレベルアップできるかということ。なので理論と実践を体感する教職大学院ではなく、より自分で時間を自由に使える人文系の大学院に進学することを決めました。

・研究テーマの変更

本が好きなこともあり、元々学部の卒論を
J.D. Salingerの『The Catcher in the Rye』の主人公をテーマに
書こうと思っていましたが、修士論文まで書くのなら、
教員に、より直接的につながるようなテーマにしたいと思い、Communication論専攻の研究室へ変更しました。学部の卒業論文は、学習指導要領改定に伴う、中学校英語教科書の比較分析を行いました。
現在の修士論文では、”Phenomenography”という新しい分野で研究をしています。次回は大学院に進学して行ってきたこと、やっぱり人文系の大学院に進学してよかった!と思えた数々を紹介していければと思います。


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