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4.コーディネーターとの再会と天の声

人とのご縁はまるで何かに導かれるような不思議なものだとつくづく思います。
その時の自分に必要な言葉を言うために現れ、その役目が終わったらまた遠のいていくような感じ。
イタリア出張でお世話になったコーディネーターさんが、私にとってまさにそんな人でした。


イタリア在住の日本女性

彼女とはスローフード協会からの紹介で知り合いました。
出版社勤務の後イタリアへ渡り、食文化についての取材を主な活動にしていて、在イタリア6年目、というのが当時の彼女のプロフィール。

日本からメールでやりとりし、現地での宿の手配、アポイントメントの手配、行きたい場所への予約など、ありとあらゆることをお願いしました。
日本語でこうした手続きができるのは、本当に心強いです。
しかも、現地在住なのでイタリア人気質というか習慣にも詳しく、ちょうど良い塩梅でスケジュールを組んでいってくれました。

出張中はコーディネーター兼通訳として行動を共にしていたのですが、クライアントも女性だったし、まるで女3人でイタリア旅をしているような楽しい時間を過ごすことができたのも彼女のおかげ。
仕事とは関係ないことでも気軽に訊ける頼りになる存在として印象に残りました。

イタリアからの一時帰国で再会

ちょうどその年のお正月休みに彼女が一時帰国していると知り、一緒に出張に行ったクライアントも交えお食事会をすることになりました。
クライアントの女性とは出張を通してなんだか友人のような関係になり、そこからプライベートなお付き合いも始まっていたのです。
出張から戻る飛行機の中でクライアントも、「旅行楽しかったねぇ、あ、旅行じゃない、出張だったわ」という感じ。

再会のお食事会も3人だけだったし、私はコーディネーターの彼女を質問攻めにしました。
イタリア人と結婚しているわけでもなく、女性ひとりで自立してイタリアで暮らしている……そんな人は私の周りにはいなかったからです。

何より私は、ブラで泊まったB&Bの窓からの景色にまだ強く心惹かれていました。
彼女と同じようにあんな場所で暮らせたらいいなぁと、ぼんやり考え始めていたのです。

ただ、当時の私はマンションを購入したばかり。
ローンもあるし、移住なんて夢のまた夢、叶わない願望だと半ばあきらめていました。

彼女から言われたひと言

そんな話をしたところ、コーディネーターの彼女が軽い感じで私に言いました。

イタリアの家賃は日本と比べるととても安い。
マンションを貸してその賃貸収入でローン返済しても、きっとイタリアで家を借りられる。

彼女の言葉はなんだか神さまからの啓示のように聴こえました。
まさに天の声。
そうか、マンションは貸せばいいんだ!と、一気に問題解決したような気になって、叶わない夢とあきらめていたイタリア暮らしがグッと近づいたように思われました。

かと言って、すぐに行動に移せたわけではないのですけど。
イタリア移住はそんな簡単なことではないとその後で痛感することになります。
ただ、その時の彼女の言葉がなければ、夢としてすっかり諦めこれまで通り日本で仕事をしてローンを払って年に1度の海外旅行をして、という生活を続けていたでしょう。

その後、コーディネーターの彼女とはとくに密に連絡を取り合うわけでもなく自然と遠のいていきました。
しかし、私もイタリアに移住したあと、旅行中のブラからラモッラ村へ向かう路線バスの中で再会したのです!
ホントにものすごい偶然。
人とのご縁って不思議だなぁと思う出来事でした。

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