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カウンセリングって、結局、何?

前置き

正直なところ、5年前の自分は、まさか自分がカウンセリングをするようになるとは思っていなかった。

臨床心理士の中でも、カウンセリングとは関係のない分野で働いていた自分が、カウンセラーになる日がくるとは、全く考えてもいなかった。

自分はカウンセリングの仕事はすることはないだろうと思いながら、大学院で学んでしまったために、慌てて、カウンセリングについて学び直すことになった。

一方で、私自身がカウンセリングを必要としていた人だった。カウンセリングを受けるにはどうしたらいいのか、調べてみた時期もある。
が、「カウンセリングルーム」だとか「精神科クリニック」だとか、「心理カウンセラー」だとか、「気功」だとか、とにかく情報が溢れすぎていて、「結局、私は、どうすればいいの?」と思ってしまった。

そして、調べていくうちに、「こんなに高額なら、私はカウンセリングを受けるほどじゃないな」と思ったりして、カウンセリングを受けるという決断ができなかった。

そこで、自分でなんとかしようと、心理療法の研修をひたすら受けたり、本をひたすら読み漁った。自分が臨床心理士で、自分に効果がありそうな情報を選択できたし、知識を手に入れることができたので、自分で自分をなんとか扱えてしまっているところがある。


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本題「カウンセリング」とは

「カウンセリング」は、残念なことに、自分の悩みを相談したら、カウンセラーが解決法を教えてくれるというものではない。
カウンセラーは全知全能の神ではない。

クライエント(カウンセリングを受ける側)にとっての答えは、クライエントが答えを持っているが、それを見つけられていない、というのが、カウンセラーの立場である。

よって、カウンセラーは、答えを持っていない。話を引き出したり、気づいていなかったことに気づきを与える技法により、クライエントが自身の答えを導き出す手伝いをする存在である。

しかし、クライエント自身が答えを導き出そうとすると、あまりにも激しい感情(怒り、悲しみ、恐怖、辛さなど)が伴う場合がある。その際に、カウンセラーは、できるだけ安全にクライエントが答えを導き出す手伝いをする。
あくまで、クライエントが選手で、カウンセラーは伴走者である。

なんだ、カウンセラーが解決してくれるわけじゃないのか、と思う人もいるかもしれない。

「カウンセリング」は、言葉にする必要がある。心の中のもやもやしていたり、どす黒かったり、ずっしりと重い何かに、言葉によるラベルをつけていく。言語化することで、扱えるようにするという働きがある。ぴったりくるような言葉が見つかるまでには、時間がかかるかもしれないし、心の中にあるものが大きすぎる場合、どうしていいかわからない、と途方にくれてしまうかもしれない。
ひとつひとつ小さな塊にして、名前をつけていく。
心の中のずっしりと重いものを、なんとか扱えそうなものにしていく。
その結果、少しでも楽になるのなら、カウンセリングの効果が出ていると考えられる(が、楽になるという感覚自体が、そもそも、どんなものかわからない方もいると思うし、そのような方は、効果をなかなか感じられないと思う)。

しかし、「カウンセリング」に即効性はない。
風邪引いた時は、喉や鼻がめちゃくちゃ辛いのに、風邪の治ったころには、その症状を意識することはなくなっているように、「あ、そういえば、最近落ち込みにくい気がする」と気づくのは、辛さが薄らいでからである。

毎日毎日、自分を責め続けていた人にとって、一度身につけてしまった習慣はなかなか変えづらい。
自転車が乗れる人に「自転車を乗れないようになってください」と言っても、「いやいや無理でしょ」と思うだろう。

意識して、自分を責めずに済む方法を見つけていく必要があるのだ。

それは、「責めるのを止める」のではなく、他の方法を見つけていく作業が必要となる。
(自転車に乗るのを下手くそになる必要はないが、もし、砂漠に移住したら、自転車ではなく、ラクダの乗り方を学ぶ必要がある)

カウンセリングは、これまでの自分がハマっているパターンに気づいて、違うやり方を見つけてみて、楽になるかどうかを試すきっかけであり、過程であるため、時間がかかる。

そして、2020年4月現在、心理士によるカウンセリングには健康保険が適用されていない。そのため、自費である。

カウンセリングは都内で受けようとすると、1セッションが50分として、5000円〜12000円がかかる。楽になるまでには、時間がかかると先に記したが、カウンセリングを続けることは、自己負担額が大きい。

よって、その金を払う価値があるか、を自分の中で判断することは重要であると思う。カウンセラーは、全知全能の神ではなく、人間であるため、相性の問題が避けられない。
重要な点として、カウンセラーは名称独占資格でないため、誰でも名乗ることができてしまう。
選び方のコツとしては、「臨床心理士」かつ「公認心理師」を有しているカウンセラーを選ぶことである。それでも、大学・大学院で勉強したり、経験を積んだりして、試験範囲を勉強して、面接に受かれば取得できる資格であるため、絶対に「良いカウンセラー」とは言い切れない(「良いカウンセラーとは何か?」という問題も出てくる)。しかし、相談業務を行うための最低限の知識や経験は担保されている資格である。

全人生について、カウンセリングで解決しようとすると時間もお金もかかる。
そこで、「カウンセリング」の使い方のコツとしては、先に書いた通り、「自分の具合の悪くなりそうなパターン」に気づく手助け、それに対処できそうな方法を見つける手助けをしてもらって、それを自分で試してみること、である。

有名なことわざがある。
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」

ご興味を持っていただきまして,ありがとうございます。 実はまだ学生です。もし,よろしければ,サポートいただけますと嬉しいです。ちょっと美味しいものを食べたいです。