松田樹

中上健次を専門に、文学研究しています。 https://researchmap.jp/…

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中上健次を専門に、文学研究しています。 https://researchmap.jp/itsuki-matsuda

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Friday Night Essay Club(@代官山蔦屋書店)から、Xアカウントのことへ

 1、Friday Night Essay Clubとは 先週、4月5日(金)、代官山蔦屋書店で、Friday Night Essay Club(川野芽生、高田怜央、永井玲衣、松田樹、森脇透青)というイベントに登壇した。 「〈書くこと〉で日常を見つめ直すワークショップ」という副題の通り、「エッセイ」を書くことを通じて、日常を見つめ直す実践形式のワークショップである。前半がトークイベント、後半が制作。「エッセイ」の語源である「試み」という意味にまで遡り、いろいろなジャンルを

    • 〈裏〉熊野大学――2023

      1、〈裏〉熊野大学とは 2023年秋、熊野に行った。「中上健次の足跡をめぐる旅」と題して、中上健次を研究している私・松田樹とデリダ研究者の森脇透青がホスト役となり、総勢11人で2泊3日の合宿旅を行った。  われわれが所属している批評同人誌『近代体操』も、1号を空間や場所をテーマにしたし、その創刊号の編集責任を担った私にとって空間・場所の問題は中上健次の文学と分かち難く結びついていた。  めんどくさがりな性分であるが、その『近代体操』創刊号の付け足しのような気持ちで、創刊号

      • アジア論研究会【第2期・発展編】

        この研究会について《方法》日本の近現代に書かれた文学作品や批評的なテキストを、「アジア」という観点から考察する。近代文学/批評読書会から派生した企画。こちらは、報告者を輪番制で立て、レジュメを用意して討論形式で行う。 《テキスト・頻度・場所》報告者のテーマによって、その都度次回のテキストを選択する。頻度はだいたい二ヶ月〜三ヶ月に1回ほどで、オンライン(zoom)で開催。 《参加者》神戸大学、そのOB、皇學館、立教大、大阪公立大、チューリヒ大など様々な所属の者がいる。参加希

        • 「政治と文学」再来?――特集企画に寄せて(A面:松田樹)

          ********************************** (1)特集の経緯 2022年3月、「「政治と文学」再考――七〇年代の分水嶺」と題した特集企画を組んで刊行した。  「政治と文学」とは、雑誌『近代文学』に拠った荒正人や平野謙らによって敗戦直後に提起され、戦後文学の理論的背景を形作った命題である。本特集は、その「政治と文学」なる題目が、いわゆる「68年の革命」を経て、70年代以降のポスト戦後社会=大衆消費社会にいかに展開されていったのかを大西巨人、井上光晴

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        Friday Night Essay Club(@代官山蔦屋書店)から、Xアカウントのことへ

          批評=運動の未来/過去のために―『NAM総括』編集にあたって(B面:松田樹)

          はじめに  二〇二一年二月四日、吉永剛志の『NAM総括―運動の未来のために』が航思社から刊行された 。折しも、NAMを境に『批評空間』から袂を分かった東浩紀の『ゲンロン戦記』(中公新書ラクレ、2020・12)、そしてNAMの提唱者である柄谷行人『ニュー・アソシエーショニスト宣言』(作品社、2021・2)とほとんど時を同じくして。  NAM(New Associationist Movement)とは、二〇〇〇年に柄谷行人が提起した「資本と国家への対抗」のための運動体を指す。

          批評=運動の未来/過去のために―『NAM総括』編集にあたって(B面:松田樹)

          『グラマトロジー』読書会・メモ

          友人の森脇透青(京大・デリダ研究)と行なっている『グラマトロジー』読書会についての、個人的なメモ書き。 1、『グラマトロジー読書会』とは?2020年8月、友人でデリダ研究の森脇透青と『グラマトロジー読書会』を立ち上げた(詳細は、こちらを)。 上記の通り、基本的に発表は彼に任せっきりで、私は参加者の一人に徹しているが、そこで出てきた論点を棚上げにしておくのはおしいと思い、メモ書き程度に本欄を作った。時間があるときに、メモしているものをupし、適宜補足していく予定。 2、2

          『グラマトロジー』読書会・メモ

          アジア論研究会【第1期・入門編】

          この研究会について現代のアジア人が考えていることはそうではなくて、西欧的な優れた文化価値を、より大規模に実現するために、西洋をもう一度東洋によって包み直す、逆に西洋自身をこちらから変容する。(中略)その巻き返す時に、自分の中に独自なものがなければならない。それは何かというと、おそらくそういうものが実体としてあるとは思わない。しかし方法としては、つまり主体形成の過程としては、ありうるのではないかと思ったので、「方法としてのアジア」という題をつけたわけですが、それを明確に規定する

          アジア論研究会【第1期・入門編】

          近代文学/批評読書会

          神戸大学近代文学ゼミの院生・学部生を中心に、定期的に行なっている読書会の記録。2018年から、学部生や他大学の学生に門戸を開いたオープンな形で再結成した。 この研究会について《方法》日本の近現代に書かれた文学作品と、同時代の批評的なテキストをセットで読解することで、歴史的なパースペクティブを身につける。その都度のテーマや関心に沿って報告者を輪番制で立てる。が、レジュメは基本的に用意せず、ある程度ラフな形で話す。 《テキスト・頻度・場所》テキストは、およそ10年を一括り(一

          近代文学/批評読書会