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由々しき事態である。

とんかつは、どこから食べようがさほど大差ないし、いってしまえば取るに足らない問題だとは思う。ところが、こちらはなかなか深刻な問題を抱えている。
みんな大好き、カツカレーである。

日本の国民食ともいえるカレーに、昨日優勝と書いたばかりのとんかつの組み合わせという、世の中に溢れる美味しいもの同士による足し算の中でも最高峰に君臨すると思われるカツカレー。
はじめてスタン・ハンセン&ブルーザー・ブロディ組を見たときの「夢のタッグチームやん。そんなん、最強すぎて誰も勝てんやん」という衝撃と同じくらい最強の組み合わせといえる。
ところが、この完全無欠に思える組み合わせにも難点がある。

画像は、みんな大好きココイチさんの「手仕込とんかつカレー」。
想像を超えることはないけれど期待を裏切ることもない、いつも変わらない味で、これがチェーン店になり得た理由だと思う。わざわざ目指して行くタイプのお店ではないけれど、食べたいと思ったときには徒歩圏内に1軒はあるし、おひとり様でも入りやすい。チェーン店、ありがとう。

さて、この最強の組み合わせと思うカツカレー。
「とんかつにカレーとご飯」という極めてシンプルな構成で、大抵どこのお店でも画像のような盛り付けで出てくる。シンプルゆえ、こうとしか盛り付けようがないと思うし、この潔さが美しいとさえ感じる。
ところが、である。これまで何度食べていても、いつも一口目は逡巡をする。

「これは、どう食べるのがベターなのか」

塩でとか、端からといった話ではない。
カツをカレーに浸して食べるのか、あるいはカレーをスプーンですくい、カツにかけながらいただくのか。結論から書けば、ぼくは後者のタイプになる。理由は昨日のとんかつと同じで、せっかくの揚げたてがもったいないと考えるから。

ところが画像からもわかるように、提供された時点でカツの下半分ほどに既にカレーがかかっている。個人的には、由々しき事態である。
これは、ご飯、とんかつ、カレーと盛り付けの順がマニュアルで指定されているためと推測される。無論、見た目を考慮しての手順だとわかるけれど、できればご飯、カレー、とんかつの順にして欲しい。

ぼくは必ずというほどサラダも一緒に注文するので、お箸が付いてくる。けれど、あの狭いカウンターでいただくのにお箸とスプーンを度々持ち替えるのも面倒なので、サラダを先に食べてしまいそれからカツカレーへと食べ進める。
カレーをカツにかけ、それをご飯と一緒にスプーンで食べるけれど、カツの真ん中あたりになると一切れが大きい(長い)ため、スプーンで運ぼうとすると手前のカレーにドボンと落とすことがある。仕切りのある狭いカウンターの中でぼくは、レスキュー、レスキュー!の非常事態。
また、満遍なく上手に食べ終えようと試みるものの、いつもカレーが先になくなりカツとご飯が残ってしまう。

こうしてカツカレーをいただくときには、高級店での作法とはまた違った幾ばくかの緊張感をいつも伴うのである。

美味しいからいいんだけれど。

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