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『今日も世界で誰かが嘘をついている。黒いTバック編』

『今日も世界で誰かが嘘をついている。黒いTバック編』

・お嬢様学校と呼ばれる中高一貫の女子高出身。
・現役の音大生。
・一度も染めた事がないロングの黒髪。
・品格があり上品な言葉遣い。
・自分でお弁当を作る庶民性もある。
・クラシック鑑賞と読書が趣味etc...

独断と偏見によるが今まで出会った女性の中で最も理想的な清楚系美人が百合子だ。
 

出会って少しずつ関係を育んで恋人になった百合子と初めて過ごす夜。

だが、おそらく世界で一番最悪な形で恋人に対する気持ちが無くなってしまった。

100年の恋も冷めるってこういう事なのか?

これが蛙化現象ってヤツなのか?

百合子はTバックを履いていた。しかも黒。

パンティ脱がせたら黒のTバックだったと気付いて清楚なイメージとかけ離れ過ぎていて恋が冷めてしまうなんて…

ど、どうしよう?

別れ話をするべきか?

お互い全裸で今から初めて愛し合おうとしていたタイミングで別れ話?

違う気がする…

とりあえず脱がせたTバックは俺が履かせてあげた方が良いのかな?

違う気がする…

Tバックは手渡しにしようか?

いや、百合子からしてみたら突然Tバック返されて「別れよう」は意味不明だろ。

じゃあ、とりあえず百合子を抱いてから後日改めて別れ話をするのが正解か?

いやいや、それはダメだろ。
気持ちが無いのに抱くのは百合子に対して失礼過ぎる。

そもそも百合子は何一つ悪くないのだ。

「今日はちょっと大人っぽい服装にしてみたの」と言って待ち合わせ場所に現れた百合子。

きっと今夜、初めて大人の女性になる覚悟を決めて、その為の勝負下着が黒のランジェリーでTバックだったんだろうと想像した。

そんな百合子に対して「Tバック履いてたから冷めました」って正直に伝えて別れるのが正解か?

「ごめん。ちょっと、お腹痛くなってきた」
俺は正解が分からず一旦トイレに逃げ込んだ。

今から別れ話をするのが良いのか…
日を改めて別れ話した方が良いのか…

俺はトイレの中で百合子のTバックを握りしめながら考えた。

そもそも俺は百合子の事が本当に好きだったのか?

清楚系の美人が好きなだけで百合子が理想のタイプに近いから好きだと思っただけじゃないのか?

結局は自分勝手な理由で好きになった気になって、自分勝手な理由で気持ちが冷めてしまったんだとしたら俺が全て悪いよな…

正解かどうかは分からないけど、なるべく百合子を傷付けないように関係を終わらせるのが最善だと思い、日を改めて別れ話をする事に決めた。

トイレから出た俺は「お腹の調子が良くならないから今日はごめん」と百合子に伝えた。

ベッドの中にそっと戻したTバックを百合子が見つけて履いた。

「Tバック履くんだね、意外だったよ」

「え?…う、うん。ムレにくいし下着のラインが目立たないからいつも履いてるの」

恥ずかしそうに答えて真っ赤になった百合子の顔を見たら胸がドキドキしてきた。

よくよく考えたら清楚系美人なのにTバックってギャップはアリかも…

「ねぇ百合子、お腹痛いの治った♥」

『今日も世界で誰かが嘘をついている』

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