見出し画像

ツラい時には、小さな物語を。:心はどこへ消えた?、他3冊【9月の読書記録】

こんにちは!デザイナーのイワイです。

私事ですが、8月中旬にコロナに罹患して半月ほど仕事をお休みしていて、9月頭から復帰しました。復帰したのは良いのですが、後遺症なのか疲れからなのか、それから半月くらいは全然やる気も起きず何をするでもない鬱々とした毎日を送っていました。嘘です、現在も送っています。なんもしたく内閣が発足してんのよ

そして、僕はこんな感じでメンタルに支障が出たときは、ビジネス書が読めなくなってしまいます。なんか自分が出来ないことを淡々と突きつけられて説教されているようになっちゃうんですよね。あ〜やだやだ

なので今月はビジネス書・デザイン書は控えめにして、エッセイと小説を読みました。先月と引き続き数は少なめですが、行ってみよ!


心はどこへ消えた?

著:東畑開人

現役の臨床心理士である東畑開人氏が、2020年春から週刊連載されていた「心はつらいよ」という”心”を題材としたエッセイを再編してまとめた本になります。

序文では、コロナ禍という「大きすぎる物語」で、「小さな物語」が消えてしまったと語られています。

日々テレビで流れる感染者数自体はただの数ですが、それはそれぞれ、小さな個人という“1”の積み重ねです。「大きすぎる物語」は、その”1”に確かにいる個人と、その個人の「小さな物語」を消し去ってしまっているのではないか。その「小さな物語」に、心がいるのではないか。そういったことが、このエッセイの主軸・背骨となっている考えになっています。

個人的にも最近、世代や属性で人を括ることに興味がなくなった?というより、あんまり面白くないな、その人らしさを感じ取りたいなと思っていて、共感する部分も多く、読んでいてとても面白かったです。

また、僕がはじめて読んだ東畑さんの本である、「居るのは辛いよ:ケアとセラピーの覚書」も面白いのでオススメです。この本が面白かったことが、心はどこへ消えた?を手に取ろうと思ったきっかけでもあります。

紛いなりにも1年くらいコンスタントに本を読んでくると、好きな作家ってのが分かってくるのは面白いですね。乱読って大事なんだな〜って思います。無駄、最高!


あなたへオススメの

著:本谷 有希子

完全に装丁買いでしたが、めっちゃ面白かったです。銀の箔押しとピンクがマッチしてて最高にイケてますよね。

本作は、「推子のデフォルト」と「マイイベント」という、中編?(小説の形態に詳しくないからよく分かんない)の小説2本からなる一冊です。

「推子のデフォルト」はスマートフォンの後続機としての須磨後奔(すまあとほん)をはじめ、体内にチップを埋め込む形式の機器が当たり前になった近未来で、それでもチップを埋め込まず、均一化させる教育からどう息子を守るかという推子とそれを取り巻くママ友の話で、

「マイイベント」は、タワマンの高層階住みで、他人を常に見下している外面は良い夫婦が、訪れる大型台風の中小さなことから事件が起こっていき……というような内容です。

どちらもめっちゃ面白かったのですが、特に「マイイベント」が最高でしたね。

本当に最悪なんですよ、この夫婦。特に旦那。人を見下すことしか興味ないし、自分が不利になると屁理屈垂れるし、それもめちゃくちゃ矛盾してるし、高圧的だし。読んでてめちゃくちゃ気分悪くなってくる。最悪。最高。スカッとジャパンの前半部分を延々見せられてる感じ。最高。カス。

んで、オチも良いのよ。ネタバレになるかもですが、スカッともさせてくれないんですよ。最高。スカッとジャパンのヤリ逃げですよこんなの。最高。皆さんも読んで最悪になりましょう。


さよなら、インタフェース -脱「画面」の思考法

著:ゴールデン・クリシュナ

「スマホ、いらなくね?」「UI、いらなくね?」という本。

良かった。概ね同意でした。何でもスマホのアプリにしてしまうことでユーザーの工数増えてるよね?なんでアプリ作る前提でデザイナーが入って、アプリを開発せなあかんの?という根源的な問題を提起していて良かった。

ただ、その解決策がパーソナライズなのは少しガッカリしてしまった……
理由は、個人的にあまりパーソナライズって信用できるモンじゃない感覚があるのと、アテになったとしても自分のことをマシンが分かりすぎてるのって気持ち悪いと思うのと、そもそも選択権をユーザーから奪ってブラックボックスにするのってどうなん?という思いがあるからです。

まあ、技術的にちょうど良くてブラックボックスにもならないようなパーソナライズがいずれ出来たりするのかなあ。。まあ2015年の本だしなあ。。。


東京の生活史

編:岸 政彦

これは読み終わってないのですが、ゆっくり大事に読んでいるのでホットな内に紹介します。

この本はざっくり、「東京で生きてきた150人が、ひとりひとりその半生を語る」という内容になっています。

内容としては取りまとめるのも難しいのですが、読み始めた時とてもビックリしました。本当にどう生きてきたか、どう人生を送ってきたかしか語られていないのです。

けど読んでいると凄く落ち着いて、優しい気持ちで読めました。「小さな物語」が彼/彼女にあったんだな、心があったんだなという気持ちになったからだと思います。まるで祖父や祖母の昔話を聞いているみたいな。

なので、一気に読み進めるのではなく、ゆっくり味わおうと思っています。読み途中だけど紹介するのは、そういった理由です。

また、この本とても分厚いし値段も高いのですが、是非本で手にとってほしいです。厚みと重さはそのまま、この本に詰まっている150人の人生と「小さな物語」だと思います。それを感じてみてください。


---


なんか無駄にセンチメンタルな感じの文章になっちゃったな!読んでる題材も相まって変なスイッチ入っちゃったのかも。

ともあれ季節の変わり目ですので皆様心と体の調子には気をつけて、美味しいものでも食べてご自愛くださいな。食欲と読書の秋ですのでね!そして貴方の小さな物語もぜひ大事に!

少しクサいかな?まあラーメン評論家よりはマシでしょ!

ではまた来月会いましょう〜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?