求めよさらば与えられん。しかし求めたものが、どのような形で与えられるかまでは分からない。求める心は心を変え世界を変える。世界の見え方を、世界との関わり方を、世界への期待を、世界から得る感情を、変える。求める前に見えていた形と、求めた後に見えている形は自ずから異なる。それはつまり、望みが望み通りに与えられたとしても、与えられた時には既に希望にかなう形ではなくなっているかも知れないという事だ。それに、そもそも望みが望まれるべきものとは限らない。望みが自分を満たすかどうかは、自分では決して分からない。求める行為が自分や世界をどう変えるかなど、誰にも分かりようがないのだから。求めよさらば与えられん。その真意は、世界が人を満たすのではなく、人が世界を満たすという事だ。