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ちゃんとすごく面白かった:アバター2:ウェイ・オブ・ウォーター

すごかった。

冒頭こそ、あれ、これ本当に大丈夫かな?と思ってしまったが。

ところが時間が進むにつれてドンドン良くなっていく!

そしてラスト45分は怒涛のドラマに胸を打たれた。

とりあえず前作は観ておくことをオススメする。
そして出来ればキャメロン監督の過去作品も押さえておきたい。

時間がない人はとりあえずドルビーシネマでやってるうちに
映画館に急いだ方がいいと思う。
フルスペックで観ることに大きな意味がある映画なので。

●予習復習は必要か?

見なくても別に大丈夫だけど…
1作目も観れるなら観といた方が良いよ、が正直な感想。
ストーリー理解には第1作は見なくても全然OKです!
ただし小ネタで結構こすってくるので知っておいた方が楽しい。
これはスターウォーズやマーベル映画とも似てるかな。

具体的に書くとネタバレになっちゃう。
このあとネタバレありで詳細に書く。

このタイミングでアバター1を見直すと
当時は映像の凄さばかり強調されたけど
実はアバターってストーリーも結構良い
ことに気づけるという副次的効果もあると思う。
3時間映画や連続ドラマ一気見が普通になってきてる現在だと
驚くほどスマートに出来てることに気づくと思うよ。

●技術の進化!

技術面ではドルビーシネマを強く推奨します。
13年前にIMAXが異次元の体験だったでしょ。
それが今はドルビーシネマよ。
平成のIMAX、令和のDolbyCinemaよ、マジで。

ドルビーシネマは日本全国に9館しかないらしい。
でも実は、それって2009年当時のIMAXの普及状況と似てるんだよね。
つまり最新の技術を体験するって、そういうこと。
全国レベルでレアな劇場まで行くくらいは覚悟しないと。

直前にアバター1を観ておくと、
この13年間の技術進化をガッツリ感じられるのでオススメ。
より技術の違いを感じるために
行ける範囲にある人はドルビーシネマに行きましょう。

「安かろう悪かろう」ではかえって損するだけです。
「話題だから一応2Dで観ておく」なんて愚の骨頂です。
どうせ見るなら、初手から一番良い環境を検討しましょう。

なお元からストーリーに十分魅力を感じていた人なら
2Dでも十分すぎるくらい楽しい映画体験になるでしょう。
シンプルに映像技術の進歩がすごいんで。
ただし、それを一番感じられるのはドルビーシネマなので
選択肢は3Dに限られてはしまうんだけどね。

ドルビーシネマが最高ですぞ。

▼ネタバレ感想:

ここからはネタバレです。

物語を結末まで語るファスト映画みたいに無粋なことはしないけど
結構中身は書くので自己責任で読んでね。

●過去作!

まさか『タイタニック』をまた見れるとは!(笑)

いや、少し考えれば予想できたことだったけれど。

それでも巨大な飛行機が沈むとき
まるでタイタニックな大旋回をするのには痺れた。
(これは本当にやられた!って感じ)

あのタイタニックの時だって
「えー、どうせ船が沈むだけでしょw」
と舐めて見たら超アクロバティックで悶絶した。
それをまた喰らってしまった!(笑)

タイタニックが真っ当な悲劇だっただけに
途中までネイティリはこのまま溺れて死んでしまうんじゃないかと
ドキドキしながら見てたよ。

海中を酸素残量と戦いながら生き延びるのは『アビス』だし。
というか捕鯨船関連のマシンデザインはアビスにしか見えん(笑)

●水中で首絞め!

見たことありそうでなかったアクションでしょ、これ。
前代未聞よ。
なんで水中で首を絞めようなんて思うのよ。(笑)

いや、冷静に考えると、頸動脈を圧迫することで
脳に送られる酸素を止めて気絶させる効果
を狙ってるんだとは思うけど、
それでもあの状況であの戦法を取る発想はすごすぎるよ。(笑)

●言葉の壁!

まさかの全編英語吹き替え方式。(笑)

先行映像で他の村のナヴィ(緑色)が英語で話すのを見て、
「なぜナヴィ語を使わないんだ?」
と思って私はこんな予想まで立てたのに!(笑)

 アバター再上映の特別映像で「異なる部族が英語で話す」のを見て「ナヴィ語はどこへ行った?」と懸念する感想を数回見かけたが、でもキャメロンが何も考えてないとは思えない。きっと理由があるはず。 私は第1作より先にパンドラを訪れた地球人の子孫だと推理してる。
 おそらく第1作とは異なるエリアに着陸した地球人がいて、そのままアバターが水棲に特化した種族だと思う。第1作ではジェイクが”トルークマクト”になって他部族を集め始めたが、クオリッチ大佐が早急に攻撃に出たのでナヴィ族の全容は明かされていない。あの映画に出てきたのはほんの一部だ。
 そもそも全ての動物が6本足のパンドラの生態系で、ナヴィだけが人間型なのは根本的に不自然であり、ナヴィ族の始祖は人間が与えたものである可能性はそれなりに高い。当初の目的は分からない。地球を諦めた人類の移住計画だったのかも。
 実はエイワの神経型システム森だって人類が作った有機コンピューターだった可能性もある。だから魂を入れ替える”便利機能”までついてるのではないか。もしかしたらアバター続編はエイワとナヴィの創世記を描く宗教的な物語になるのかもしれない。

https://twitter.com/james_miles_jp/status/1579810940371218432

まさかジェイクの
「今じゃナヴィ語の方が母国語に聞こえる」
というナレーション一発で吹替が始まるとは!(笑)

願わくば、全編ナヴィ語で収録されて
常に英語字幕が出るバージョンで見たいぜ。

バーフバリにタミル語版とテルグ語版があるのに似ている。(笑)

細かいんだけどさ、
クオリッチとジェイクが英語とナヴィ語の
どちらで話しているのか気になって仕方なかった。
(日本語吹替版で見てると特に)
クオリッチ的にたぶん英語だと思うんだけども。

●クオリッチ!

「アバター1は見たけど全く覚えていません!」

とか失礼なこと(ファンの心象を害すること)を平気で言うバカども(申し訳なく白状するとかではなくて、第1作を愚弄するようなノリで言う人達)を遥か後方に置き去りにする、何から何までジェイクが第1作で切り拓いた道をしっかりトレースするクオリッチ大佐が痛快で面白かったです。

  • 目が覚めるときに覗き込む地球人。

  • 目が覚めた瞬間に暴れる。

  • 鎮静剤を打て!と言われる。

  • ウィーアーノットインカンザスエニモアWe are not in Kansas anymoreの名台詞。

  • 地球人の亡骸ガイコツを砕いて新たな人生のスタート。

  • ナヴィ語を覚えるのが遅い。

  • ハレルヤマウンテンを自力で登る。

  • イクランを捕まえる。

前作で主人公ジェイクが担った「観客をパンドラに引き込む」役回りを、まさかクオリッチ大佐にやらせてしまうとは、キャメロン監督恐るべし。前作の筋をなぞりつつ少しだけパターンを変えるのは、十年ぶりの続編としては「ありきたり」な技ですが、それで良いと思います。新劇版ヱヴァ序破もマトリックスもトップガンもやったことですから。ベタで王道なのが一番よ。

ジェイクが数ヶ月特訓してようやく許可されたイクラン試練を、クオリッチはあっさりとクリアしたのにも驚きましたが、それ以上に、いかにも悪者が乗りそうな黒いイクランを選ぶのは正直ちょっと笑いました。

でも、その演出、嫌いじゃないです!(笑)

真面目な話、3時間もある映画ですから、そういう分かりやすさは大事です。

「俺たち今からナヴィになりきるぜ!」
って宣言してからリコンビナント部隊の全員が
ズボンをハーフパンツにして裸足になってたのは
ちょっと可愛いと思ってしまった。(笑)

クオリッチがカタコトとはいえナヴィ語が話せるのは
ちょっと設定に無理があると思ったかなあ。(笑)
アバター1で基本ナヴィを人種差別してたじゃん。
白人様はあんな「人外」の言葉なんぞ、覚えたくないと思うぞ。

そういう意味では、ブルーになった自分の顔を
憎らしく見るシーンがもう少し欲しかったなあ。

アバター(正確にはリコンビナントrecombinant)になってしまった苦悩。
そこらへんはアバター3以降に期待かしら。

●キリの声!

字幕版だとティーンエイジャーであるキリの声を
73歳のシガニー・ウィーバーが当てていて
見た目はガールなのに声だけババアという不思議さがある。

これはキリというキャラクターの特異性を表現してる。

これが吹替版だと早見沙織になってるので
(胡蝶しのぶ、ヨル・フォージャー、斧乃木余接おののきよつぎなど)
そういう声と外見のギャップ違和感は弱め。

これ、もしかしたら吹替版の唯一の弱点かも。
でもさりとて第1作の弥永和子は2014年に逝去されたし
(弥永和子は洋画吹替ではシガニー・ウィーバー、ジェイミー・リー・カーティス、スーザン・サランドンを多く担当;夫は声優の大塚芳忠)
戸田恵子など大御所をアサインすれば良いという話でもないので
こればかりは難しいところ。

ディズニーだから本社でオーディションして選んでるはずだしね。
妥当な根拠があっての吹替声優人選なのでしょう。
実際に早見沙織の演技はすごく良かったよ、当たり前だけど。

●トゥク!

初回は吹替版で見たんだけど最後までトゥクは男子だと思ってた。(笑)

2回目に字幕版で見て、誰かが「Her」って呼んでたのを聞いて
ああ女子だったのかと気づいたよ。(衝撃)
英語ってそういうところ地味に便利よね。

そりゃ水中呼吸のクラゲみたいなやつを着けて
天使みたいに浮遊するシーンがあるのも納得だわ。

いや、トゥクって最初に登場するとき
戦争ごっこして遊んでるのよ。
それに引っ張られたかなあ。

そもそも青いエイリアンだっていうのもあるし、
日本のアニメだと少年の声を女性が担当することも多いから
もう分からないよね。

あとトゥクが低年齢すぎてトップスを着けてなかったのも理由ね。(笑)

●悪魔の血!

第1作から気になってたポイント。
ナヴィとスカイピープルの交配問題。
4本指のナヴィが
5本指のジェイクと子供を残そうなんて思えるのかね?

そしたらガッツリ本作のモチーフでしたね。

父:ジェイク:5本指;眉毛あり
母:ネイティリ:4本指;眉毛なし
長男:ネテヤム:4本指;眉毛なし
次男:ロアク:5本指;眉毛あり
長女:トゥク:4本指;眉毛なし
*養女:キリ:5本指;眉毛あり

犬や猫ではよく見るけど
異なる毛色で交配したら両親のどちらかの毛色を
遺伝するみたいな感じなのね。

予告編ではカットされてるけど
ツィレヤはロアクに愛の告白するときに
ロアクの小指を握ってるの感動するよね。

あとキリも生まれてすぐにジェイクに抱かれてるときに
ジェイクの小指を握ってる。
こういうさりげない演出が上手いよね、キャメロン。

●母は強し!

ドラマめちゃ面白いやんけ。

子供を産んだことで
母性に開眼したネイティリの保守的な態度が
バチくそリアルで感動もの!

地球人の子供には最初から最後まで警戒を解かない。
でもジェイクがスパイダーと仲良くするのは止めない。
子供を救うためなら平気で地球人を殺す。
スパイダーでも容赦無く人質にとって交渉に利用する。
「息子には息子を!」
トゥクとキリを人質に取られてからの
情緒がグチャグチャになる描写すごすぎるやろ。

「アバターはストーリーがつまらない」
「映像がすごいだけ」

とか言ってるヤツは、気の毒だけど、マジで見る目がないね。

もしくは精神年齢がガキだから
親の気持ちが理解できないんでしょう。

ゾーイ・サルダナの熱演が光る。
13年前の第1作では彼女も若手女優だった。
今では世界的な大スターで3児の母でもある。

第1作でネイティリがジェイクを殺さなかった理由
「あなた、強い心、もってる(You have strong heart)」
を今作の一番大事な場面でジェイクがネイティリに言う。
「強い心を持ってくれ(I want you to have strong heart)」
この壮大な伏線回収(アーク)が心を揺さぶる。

アバター批判厨の人達も
「売れすぎてるから」って恥ずかしがらずに
ちゃんと第1作から真摯に物語に向き合っていれば
こんなに深い物語に浸れるのに、勿体無いことしてるよね。

勘違いしてる人が多そうなこと。
アバターはストーリーが弱点だってよく言われるけど、
それって他の部分(映像、メカ、アクションなど)が
100点満点で完璧だからそう言われるだけ。
ストーリーも80点くらいには良くできてるよ。
奇をてらったヒネリがなく王道だから
目新しさには欠けるかもしれんが。

逆に言うと「サプライズでしか感動できない」って
「私は感受性が貧しい人間です」って自分で言ってる
ようなものなんだけど自覚できてるのかね。(笑)

●日蝕!

映画の中で昼と夜のシーンを素早く入れ替える手法として
日蝕システムを採用したのはマジで発明だと思う。

●水も滴るイイオンナ!

いや、すまんけど笑った。

80年代映画のヒロイン登場シーンみたいで大好きよ。

●パンドラへの招待!

私がアバター2に不安だった理由は
アバター2には地球人のジェイクが居ないことだった。

それを今回はまさかのクオリッチ大佐が
同じ道を辿るという仕掛けが。

これで第1作のように地球人をパンドラに招待できる。

これはすごく上手いと思った。

リコンビナントとして目覚めるシーン。
とりあえず暴れて鎮静剤を打たれそうになる。
というか目覚めた瞬間に動ける時点で
大佐の優れたポテンシャルが示されているし、
それは前作の主人公ジェイクがすぐに走り出したことの対比だ。

ナヴィ語を教えてもらう場面もあり。
先生に怒られるセリフもちゃんと入ってる。

そしてまさかのバンシー(イクラン)を捕まえるイベントまで!(笑)
ちゃんとヴィランらしいダークパープルの個体を選んでるのが笑えた。

第1作でうまく機能した部分をしっかり繰り返してるのは
手堅くて良い演出だと思ったなあ。
もう13年前の映画だから、これは大正解だったと思う。
そうそうこういうのあった!っていう楽しみが増える。
トップガン2やマトリックス4とも同じ理屈よね。

●第1作のセリフを流用!

いくつか立場が違う人が同じセリフを言ってて面白かった。

We are not in Kansas anymore.
ノット・イン・カンザス・エニモア
(ここはもうカンザスではない)
*アメリカにおけるカンザスは田舎の代名詞;コーン畑;スーパーマン故郷。

第1作:クオリッチ大佐が新人を歓迎する時。
第2作:クオリッチ大佐のコピーが部隊を焚き付ける時。

Outstanding.
アウトスタンディング
(素晴らしい)

第1作:イクランの試練に臨む直前のジェイク。
第2作:将軍から未検証の戦略を押し付けられたクオリッチ。

「イクランもあなたを選ぶわ」
「どうやって俺を選んだとわかる?」
「あなたを殺そうとするわ」
「アウトスタンディング!」

「ブルーチームならパンドラの免疫反応を生じない」
「それは検証済みですか?」
「お前が実戦で検証しろ」
「アウトスタンディング!」

Easy, tiger.
イージータイガー
(落ち着け、やんちゃ坊主め)

第1作:グレース博士がジェイクを押さえる時。
第2作:クオリッチ大佐がスパイダーを押さえる時。

Stone in my heart.
ストーンインマイハート
(心が石にように重い)

第1作:ジェイクが自分の任務をオマティカヤ族にカミングアウトする時。
第2作:ジェイクがオマティカヤ族からの追放を選んだ時。

One life ends, another begins.
ワンライフエンズ、アナザービギンズ
(一つの人生が終わり、もう一つの人生が始まる)

第1作:ジェイクの兄が死んで、ジェイクはパンドラ行きが決定。
第2作:オマティカヤ族のジェイクは建前上死んで、ジェイクは放浪の旅へ。

Like baby.
ライクベイビー
(赤子のようだ)

第1作:ネイティリがジェイクに出会った時。
第2作:トノワリがジェイク一家を受け入れた時。
*赤子と言われて恥ずかしがるネイティリの表情がアップになる。

Buttercup.
バターカップ
(かわい子ちゃん;脳内お花畑さん)

第1作:クオリッチ大佐がグレース博士を捕まえた時。
第2作:ウィンフリート伍長がキリを捕まえた時。
*第1作は削除シーンのためブルーレイ等のみに収録。

Feel her strength.
フィールハーストレンクス
(彼女の強さを感じて)

第1作:ネイティリがジェイクに馬の乗り方を教える時。
第2作:ツィレヤがロアクにイルカの乗り方を教える時。

Think fast.
シンクファスト
(ボヤッとするな!)

第1作:グレースがジェイクに果物を投げた時。
第2作:船長がスパイダーに鯨油の瓶を投げようとした時。

Strong heart.
ストロングハート
(強い心)

第1作:ネイティリがジェイクを殺さなかった理由。
第2作:ジェイクがネイティリに強くなれと鼓舞する時。

第2作ではジェイクが傷心のネイティリのデコルテに手を当てながら「今は強くなれ」と励ますんだけど、実は第1作では最終決戦に向かうときにネイティリの戦化粧として胸にジェイクの手形(5本指)をペイントしてたんだよねー。それも思い出してますますグッときた。

こんな所かな。

一つだけ言いたいのは、
「前作は見なくても全然大丈夫です!」とか
「前作のことは全て忘れました!」とか
ほざいてる奴らがいるけど(苦笑)
前作を覚えてた方が感動できるレベルは全然高まるからね。

こういうことを言うと
「見れない人の気持ちを考えろ」とか
文句をつけてくる奴がたまに居るけど
3時間を費やして前作を観てきた人の方が
よりたくさん感動できるのは当たり前だろ!
払った労力の分だけ良い思いができる方がフェアでしょ!
…とあらかじめ返答しておきます。

前作を下げる人達の中には
ご新規さんのハードルを下げるために道化を演じてる部分も
あるのかもしれないけどね。

●反捕鯨ってどうなの?

これについては既に独立して記事にした

結論を言うと、反捕鯨だと怒って騒いでた奴らは全員キチガイです。

関連してイルカショーの件も。

声をあげている人達のプロフィールをよく見るのが
偏向報道や炎上商法に騙されないコツ。

あとは自分で映画を見て、自分のアタマで考えろ。

最後は若干きな臭い話題になってしまったけど、そんな感じかな。

了。

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