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8月に観た新作映画

令和5年8月に観た新作映画は11(+5)本。
フェイバリットTOP3は…

🥇:バービー
🥈:トランスフォーマー/ビースト覚醒
🥉:マイ・エレメント

初鑑賞の旧作も含めれば『さらば、わが愛/覇王別姫』が最高でした。でも『タワーリング・インフェルノ』も凄かったです。そして初鑑賞では無いですが『ローマの休日』も良かった…

4:君は行く先を知らない
5:サンドランド
6:タランティーノ/ファースト8
7:658km、陽子の旅
8:ハート・オブ・ストーン
9:イビルアイ
10:ダッシュカム
11:リボルバー・リリー

以下、観賞後のツイートを引用しながら、一言添えていきます。(*ブラウザのリーダー機能によってはツイートが表示されない場合があります)


▼タワーリング・インフェルノ

これは本当に面白かったですねー。面白かった!と叫びたくなる映画でした。次から次へと出てくる仕掛けの見せ方が上手くて、これは現代にリメイクして欲しい映画です。あ、ドウェイン・ジョンソンがもうやってました。あれも私は結構好きです。

開始から30分近く経ってもスティーブ・マックイーンが出てこないのですが、ついに登場した時の格好よさがハンパなかったです。現場指揮者なのに最前線に出まくるところは映画的なファンタジーだとは思いますが、ポール・ニューマンとのコンビも良くて最高でした。

▼658km、陽子の旅

序盤の陽子の孤独な生活描写がしんどかったなあ…昼間からカーテンを閉めて暗い部屋で、部屋の電気を点けず、カップ焼きそばを啜り、ティッシュペーパーは使わずに剥き出しのトイレットペーパーを利用し、寝るときはベッドでタブレットで恋愛青春映画を観て涙する。そんな42歳、独身。きゃああああ。

▼地球防衛軍(4K)

平田昭彦と河内桃子が登場して、やってることが初代『ゴジラ』と殆ど変わらないのはご愛嬌ですかね。(笑)

原作小説があるからこその重厚なドラマと、原作には存在しない大怪獣モゲラを巧みに入れる本多猪四郎のスキルを愉しむ映画でした。

▼トランスフォーマー/ビースト覚醒

これは予想外の大傑作でした。正直公開されてから数日間はTFファンもしくはJファンの人達がSNSで騒いでるだけだろうと冷めた目で見ていたのですが、あまりに声が根強いので劇場観覧したら、もう大勝利ですよ。特にクライマックスでは過去作の『人間が強すぎる問題』を斜め上の解決策で突破してきて、もう心の中で拍手喝采でした。加えて、私のような中年にはノトーリアスBIGの楽曲は反則級に響きます。しかも劇中歌だけでなくエンディングにも使われるとは。

公開から一週間以上経過したツイートにこんなに高評価が集まるのも想定外でした。

▼ダッシュカム

一回観たら満足しちゃうし二度と観ようと思わないけど、一回は観ておきたい映画ナンバーワンだと思います。(笑)

▼イビルアイ

結末は一応示されていながらも、曖昧や不明瞭のまま「自由な解釈の余地」を残したポイントも多く、もしかしたら続編制作も視野に入れているのかなと邪推したりもしました。(笑)

真面目な話、実は隠してたけどこういうことでした!って後出しジャンケンでパート2を作っても比較的自由に脚本を書けるようになっていると思います。

▼さらば、わが愛/覇王別姫(4K)

これを劇場で観覧できて、幸せでした。

▼パルプ・フィクション

入場特典欲しさと、今後のリバイバル上映の活性化に貢献するために、映画館で観てきました。大音量で聴く本作のサントラは最高です。帰りのエスカレーターでは、この超名作を劇場で体験するという「正しい選択」をした少年たちの会話も聞けて満足でした。(笑)

本作の字幕翻訳は、私が痛烈に批判している戸田奈津子が担当しています。しかし本作のように無駄口のスラングが飛び交うリズムだけが命の映画では、彼女の持ち味が存分に発揮されて良い結果になっていると思います。mother fuckerだけでその場のリズムに合わせて何パターンかに分けて翻訳していて、流石だと思いました。

『アバター』でクオリッチ大佐が科学者をバカにする場面。原文セリフでは「Bunch of limp-dick science majors」と言っていて、これは直訳すると「理系を専攻したやわらかいチンコの集まり」となるが、これを戸田奈津子は「科学系で頭でっかちのヘナチン野郎ばっか」とlimp-dickをこれ以上ないくらい正確にヘナチンと翻訳しただけでなく、わざわざ頭でっかちという要素をアドリブで追加。普段から「字幕はいかに文字を削るのが勝負だ」と言ってる人だとは思えないビックリ字幕だが、この作品に限らず戸田氏の翻訳には悪口にこだわりが強そうな事例がまま見られる。戸田氏は基本的に下品なジョークが好きなのか、もしくはアメリカ人は皆このくらい下品だと思っているらしい。ちなみに吹き替え版では問題のlimp-dickの部分は「腰ぬけ」と少し柔らかい表現に変えてあり、全体的にクオリッチ大佐の印象が下品になりすぎないように調整してある。これは米軍を日本の自衛隊に置き換えて言葉もそれに合わせた結果だと思われる。日本語吹替版は日本人が見るという前提に立つと、このくらい上品な方が自然だと私は思う。逆に言うならば、戸田氏の翻訳は悪い意味で直訳すぎるかもしれない。

▼バービー

エンタメとアートとポリティクスの高度な融合!これは本当にとんでもない傑作です。好きかどうかだけで判断するとそこまで上位には行かないかもですが、凄いかどうかだけで判断するとTARに迫る怪物映画ですね。

原爆絡みの場外乱闘や、キチガイジェンダー論者の炎上騒ぎに嫌気がさしたくらいで観ないのは愚の骨頂です。観客の年齢性別思想によって万華鏡のようにくるくる姿を変えるカメレオン映画。是非ご自身の目と感性でお確かめください。

ビジュアル面の作り込みの凄さもまた劇場を推奨したくなる理由ですが、本作の「バービーが可愛い世界」に全く興味が無いならば、ブルーレイやサブスクを待つというのは有効な選択肢になるかもしれません。ただ思想が気に入らなかった時に自宅鑑賞だと簡単に中断できてしまうので、本作の最後の大どんでん返しまで確実にイスに座っているためにも映画館は優れた選択かと思います。

スナイダーカット絡みでついでに本作の考察もしていますので、よければそちらもどうぞ。

▼ハート・オブ・ストーン

思ったより否定的な声が多いし、トマトスコアも低いです。個人的には本作を同Netflix&同主演女優の『レッドノーティス』の数倍は楽しめたのですが…

まあスター共演の楽しさは控えめだった感は否めないのと、アクションをトム・クルーズやダニエル・クレイグと比較されるとこういうスコアにもなるかもしれませんね。ちょっと気の毒かなあ。

▼リボルバー・リリー

とても惜しかった作品ですね。主人公のキャラの作り込み(=魅力)が足りなかったことが最大の弱点だと思います。各キャラクターの魅力を煮詰めないで、綾瀬はるかを筆頭に豪華俳優陣の魅力(と人気)だけに頼ったように見える脚本と編集でした。

中でも特に、主人公は諜報部員であり暗殺者でしかないはずが、途中でいつの間にかランボーになり、最後はターミネーターに化けてしまうのが、観客に匙を投げさせてしまった(=世評が悪くなる)最大の原因だと思います。

6発しか撃てないリボルバーで何十人を相手にするのも現実味に欠け過ぎており、さらに主人公の弾を込める仕草がどん臭いのも気になりました。あの一瞬のためにも銃の扱いに長けたコレオグラファーを追加で雇用するか、女優のスキル的に難しいならば拳銃を2丁以上準備して少年に交互に装填させるなどアクションで工夫する余地があったのではないかと思います。

そういう意味では、逆に序盤の列車から飛び降りるくらいまでは主人公のアクションは暗殺者らしいリアリティがあり、殺陣のキレ(格闘術)も良くて、面白く観覧できていました。それだけに中盤以降の破綻が勿体なくて残念です。

▼クエンティン・タランティーノ/映画に愛された男

英語の原題は『タランティーノ・ファースト・エイト』だったのですが、日本語タイトルでもその要素を残した方が良かったと思います。(笑)

▼マイ・エレメント

ディズニーが最近よく展開している「いつものポリコレ」ではあるんですが、まず第一にオリジナル脚本だから抵抗感が無いことと、リアルなルックの人間ではなくて、エレメントという架空の存在にすることで説教臭さを消しているのは見事だと思いました。炎ピープルが伝統としている深々とした土下座はイスラム教の祈りや東アジアのお辞儀を彷彿させました。

▼SAND LAND

サンドランドはどこの劇場も空席が目立つ状況らしいですが、実はかなり良質に作られた面白い映画でした。もしどれを観るか迷う状況なら、ぜひ第一候補に入れてほしいと切に思います。原作をしっかり再現しながらも、映画だからこそのクライマックスも用意されていて満足度は高かったです。

一点だけ残念だったのは、おそらくコンプラ配慮で煙草のシーンがカットされたことです。時代の流れとはいえ、オジサンが煙草吸うだけなのに排除されてしまうのは寂しいと感じます。

▼アルゴ探検隊の大冒険

ギリシャ神話のモチーフを多用する展開が楽しかったですが、ツイートに書いたヘラとは対照的に、男達の中でも知名度が抜群に高いヘラクレス(いかにも男らしい風貌と言動で非常に魅力的)は映画前半であっさり退場してしまいました。フェミニズム映画の文脈で本作を解説したものがあれば読みたいです。

▼ローマの休日(4K)

これはねえ、映画好きで、まだ劇場でご覧になったことがない人は、多少無理してでも観に行った方が良いです。どんな新作も後回しでOKです。基本中の基本ですし、現代映画の文脈のど真ん中ですから。映画を体験するとはどういうことなのかを強く実感できます。あの銀幕に映し出されるオードリー・ヘップバーンが良いのです。

逆に本作を映画館で経験しておくと、今後に映画館で新作を観たときにその変化やトレンドを感じ取ることが出来るようになって、ますます楽しくなりますよ。本当に価値ある体験になると思うのでオススメしておきます。

▼君は行く先を知らない

政治経済の事情で成人すると国外逃亡するんですかね?それで出稼ぎ感覚で実家に送金したりするのかしら。それと中東地域の人達って日本人の普通と比べるとすごく不躾ですよね。そういうところに若干イライラしつつも、描かれているのは家族愛なので胸に響く、そんな不思議な映画でした。

▼ドライブ・マイ・カー

今更観たのですが、しかも自宅での鑑賞ですが、かなり良かったです。ただネットで見ると意外と否定的な声が多いようですね。

▼ONE PIECE

8月31日に配信開始されたこちら。早速観てみましたが、かなり良い感じだと思います。小ネタも多そうなので、漫画も再読しつつ視聴したいと思いました。

▼さ〜て、来月の映画館は?

9月公開作品で気になるのは…

アステロイド・シティ(1日)
ウェルカム・トゥ・ダリ(ダリランド)(1日)
オオカミの家(2日)
その男、凶暴につき(14日:新文芸坐
ソナチネ(14日:新文芸坐
赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。(14日:Netflix)
グランツーリスモ(15日)
スーパーマリオ/魔界帝国の女神(15日:4Kレストア版)
ミツバチのささやき(15日:午前十時の映画祭)
パーフェクトブルー(15日:4Kレストア版)
女王陛下の007(22日:4Kレストア版)
PIGGY(22日)
ミュータント・タートルズ/ミュータント・パニック!(22日)
ロスト・キング/500年越しの運命(22日)
台風クラブ(23日:4Kレストア版)
ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(27日:Netflix)
コカイン・ベア(29日)
BAD LANDS(29日)

多い!特に旧作が豪華で悩ましいです。

新作で気になるのはダリランドとピギー。旧作で実写マリオとは台風クラブは劇場で観ておきたい気持ちが強いです。あとは007は地味に観てない作品が多いので、せっかくの再上映の機会を有効活用したいですね。

来月(以降)も楽しみですね。

了。

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