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【時系列】整理してみた【怪物】【あらすじ】

記憶の断片を書き出して整理しました。
映画全体を振り返って記憶の整理などに使っていただければ光栄です。

観てない人にはスーパーネタバレ注意です!!

⚠️注意:未視聴の方には本noteの閲覧をお勧めしません。

▼時系列に並べてみた(ネタバレ)

麦野早織(安藤サクラ)
麦野湊(黒川早矢)
保利(永山瑛太)
星川依里(柊木陽太)
校長(田中裕子)
保利の彼女(高畑充希)

③校長が留置所(刑務所?)で夫と面会

①消防車のサイレンを見て依里がガスライターを点火
②保利が火事を野次馬
③湊の同級生が火事をインスタライブ
「ホリセンお持ち帰りかよw」
①早織と湊が自宅ベランダから火事を野次馬
「ねえ豚の脳みその話、知ってる?」
「はぁ?誰から聞いたのよ」
「保利先生」
「最近の学校はヘンなこと教えるのねぇ」
②保利が彼女から趣味を弄られる
「可哀想な魚…保利くんみたい」
「ぼく可哀想じゃないよ」
「本のミスを出版社に報告する趣味で?」
「だって本のミス見つけるの楽しいんだもんw」

①早織が湊に水筒を持たせる
「組体操の一段目がんばりなさいよ」
③湊と依里が会話で昨夜の寝た時間が遅い自慢対決
③依里が同級生に突き倒される
②保利が生徒と朝ごはんのメニューで談笑
②③保利が依里を助けて起こす

②ベテラン教師が愚痴をこぼす
「最近はクレイマーな親とかいるんですか?」
「モンスターですよォ。教師受難の時代ですね」
②校長が職務復帰の挨拶

①早織がママ友から保利が火災現場のキャバクラに居たと聞く
「あらま…寂しいのかしらね(ドン引き)」

②③保利が生徒に将来をテーマに作文課題を出す
②保利が同僚教師からキャバクラ通いを弄られる

②組体操の練習で二段目の湊が崩れる
「しっかりしろ男だろw」

③音楽室で依里が湊の髪を撫でる
③帰宅した湊が髪を切る
①帰宅した早織が湊にイジメなのかと聞く

③依里が机を黒板消し等で汚される
③依里がクラスメイトからキスされそうになる
③妨害するために湊が暴れる
②保利が廊下で教室の異常に気づく
②止めに入った保利の肘が湊の鼻に当たる
②保利が湊を戒めるために生徒の体操服入れを床に叩きつける
「こんなことされたら、どう思う?」
「いやです」
②湊が教室の生徒に謝罪する
「あ、鼻血」
③帰り道で湊と依里が仲直りする
③湊が依里にスニーカーをシェアする

③依里が配線鉄道の隠れ家に湊を招待
③湊と依里で『宇宙の終わり』に備えることを決める
③湊と依里は草花を採ったり電車を飾り付けて楽しく暮らす
③湊は依里のイジメを保利に相談すべきと助言
「どうせ男らしくなれって言われるだけだよw」
③湊と依里は将来の作文課題に親密のメッセージを隠す

③依里が転校の話を切り出して湊が感情的になって逃げ出す
「大丈夫だよ、時々ぼくもそんな風になるから」
「どいてよ、ちょっとどいてよ!」

①父の位牌で誕生日を祝う湊と早織
「お父さん生まれ変わったかな」
③湊は聞かれたくないと早織を追い払う
③湊は父の位牌に酷い言葉をぶつける
「なんで産んだの?」

③教室で図工の時間に湊と依里が大喧嘩する
③保健室で保利が湊と依里を仲直りさせる
「職員室には報告しないでおくから」

③湊は秘密基地で依里を待っていたが夜遅くなってしまう
①心配した早織が自転車の目撃情報から山で湊を発見
①③帰る車の中で、湊が早織の何気ない言葉で傷つく
「ぼくはお父さんみたいになれない」
「湊が結婚するまで頑張るからね、普通の家庭で良いから」
③湊がスマホに依里からの着信を見る
①③湊が走行中の車から飛び降りる
①早織が車をカーブでぶつけて停車
①③湊が自分の脳に異常が見つかることを恐れながらCTスキャン
①帰り道で情緒不安定になった湊に早織が一気に問いただす
「ぼくの脳みそは豚なんだろ!」
「誰がそんなこと言ったのよ!」
「保利先生だよ」

①早織が一回目の学校訪問
②ベテラン教師たちが湊の中学受験を考慮して隠蔽を決め込む
①早織はベテラン教師から校長の孫の事故を聞く
①早織はことの経緯を説明して一旦帰る

②保利がベテラン教師から聞き取り調査を受ける
②学校を守るために謝罪する方向で合意する
②保利は事実の説明をしたがるが校長が却下
「事実なんてどうでも良いのよ」

③依里がトイレ個室に閉じ込められる
②③保利がトイレの前で湊に声を掛ける
②保利がトイレ個室から依里を救出

②保利が依里の家を視察して父親に会う
「息子はバケモノですよ、豚の脳みそなんです。親が責任もって治します」

③依里と湊がネコの死体を見つける

②保利が謝罪文を暗記してリハーサル
②校長が孫との写真の位置を入念に調節

①早織が二回目の学校訪問
①保利と教員達が強引に謝罪
①学校は保利の手と湊の鼻に接触があったと認める
①早織がお前は人間なのかと問い詰める
①保利がシングルマザーの思い過ごしだと反論
①結局学校側は謝罪の一点張りで譲らず
①早織は校長を強く罵倒するも写真を倒してしまい意気消沈

③依里と湊が秘密基地でネコの死体を焼く
「これで生まれ変われるね」
「カリフォルニアみたい(山火事)にならないかな」
「消防車は来るかもね」
③湊が水筒で泥水を汲んで消火
「キャバクラにお父さんが居るから火をつけたの?」
「お酒を飲むのは悪いことなんだよ」

②保利が校長の悪い噂を聞く
「お孫さんを車で轢いたのは校長自身で夫は身代わりなんですって」

①湊が体調不良で学校を休む
①早織が水筒の中の泥水に気づく
①湊は理科の実験だと嘘をつく

①②早織が三回目の学校訪問
②保利が木田(女子生徒)に腕を引かれて校舎裏に行く
①早織がちょうど保利と木田を見かけて怪訝な顔をする
②保利が木田から湊の行動を密告される
「ここにネコの死体があったんです。湊くんネコで遊んでました」
①早織が要求してもベテラン教師は保利を出さない
①保利が接客室に入ろうとしてベテラン教師に止められる
①早織が保利を追いかけて口論になる
①早織が子供達の前で保利を解雇しろと怒鳴る
①保利が湊が依里をいじめていると暴露

①早織が依里の家を訪問
①早織が依里の鏡文字を指摘
①早織が依里の腕に火傷を発見

①早織が四回目の学校訪問
①依里が保利の暴行を報告
①ベテラン教師が依里を退室させる
①保利が後を追って退室
①早織が逃げようとする校長を捕まえて懇願
「今の私の気持ちは子供を殺されたように悲しいです」
②後を追った保利は木田を見つけてネコの件の説明を求める
「湊くんがネコを殺した話をしてくれないか」
「私そんなこと話してません」
②ベテラン教師が保利を押さえ込む

②五年生全員を対象としたアンケート調査を企画
②保利は抗議するが早織が弁護士を雇ったと却下
②学校は保利に関する誘導尋問的なアンケートを実行

①学校で保護者向け説明会が実施される
②保利は最後まで抵抗するが校長に凄まれて観念
「あんたは学校を守るんだよ」
①保利は暴行を認めて謝罪
②保利は学校を退職
②保利は最後に校長に禁断の質問
「運転していたのはあなたで、夫は学校を守るための身代わりですか?」
②校長は何も答えず

①保利の問題行動が新聞沙汰になって落ち込む早織

②保利が週刊誌の取材を受ける
②保利の彼女が保利を捨てて去る

③湊と木田は保利が居なくなって落ち込む(依里は欠席)

③湊が依里の家に行く
③依里がもう病気は治ったと言う
「おばあちゃん家の近くに好きな娘が。今まで遊んでくれてありがとな」
③依里はすぐに訂正するが、父親に捕まって折檻される

②保利は自身の週刊誌記事の校正箇所を見つけて遊ぶ
②保利の自宅ドアノブにネコの死骸が吊るされる
②保利は学校に直行する
②湊が保利から逃げるも上階に追い詰められる
②保利が湊に何もしてないよねと迫る
②湊は頷くが隙を見つけて逃げる
②湊が階段から落ちる
②同級生達が「ホリセンが湊を突き落としたぞ」と騒ぐ
②保利が絶望する

③生徒相談室に連れてこられた湊がベランダから懺悔
「ごめんなさい」
「誰に謝ったの?」
③ちょうど聞いていた校長が湊と音楽室に移動
「ぼく嘘つきました。保利先生は悪くないです」
「嘘ついちゃったかあ。私と一緒だ」

①早織が湊の転落を聞いて学校に駆けつける
①児童が湊はホリセンに突き落とされたと叫ぶ 
①早織が生徒相談室に湊の姿がなくて不安になる
②保利が飛び降り自殺をするべく屋上に移動
③湊が自分が本音を言うと幸せになれないと吐露
「幸せになれないことがバレるから嘘ついてる」
③校長が本当のことが言えない時は楽器で音にしろと諭す
③湊と校長が音楽室でトロンボーンとフレンチホルンを鳴らす
③校長が得られない人がいるものは幸せではないと諭す
「そんなものしょうもない、しょうもない」
②保利が音を聴いて、飛び降りを止める

①ベテラン教師が湊を校長室で待つ早織の元に連れて行く
「トイレに行っていたそうです」

①早織が職場ののぼりを片付ける

③湊がチャリを飛ばす

①湊と早織が家で台風の準備
①湊が早織と話す
「夢に父さんが出た。母さんが大好き。ありがとうって」
「お母さん、ダメだから湊が可哀想で」
「ぼく可哀想じゃないよ」
③湊が早朝に家を抜け出して依里の家に行く
③湊が浴槽で水に浸っている依里を救出
(背中にアザが出来ていたので虐待の後に風呂で気絶していた?)
「宇宙の終わりが来るぞ、秘密基地に行こう」

②保利が自宅に持ち込んだままだった将来の課題作文の校正作業を始める
②保利が依里と湊の作文に仕込まれたメッセージに気づいて真実を知る

③湊と依里が秘密基地で電車遊びに興じていると土砂崩れが起こる

①早織が起きて湊が消えていることに気づく
①②保利が嵐の中で湊の名を叫ぶ
②早織と保利が車で秘密基地を目指す
③泥酔した依里の父が嵐の中で転がっている
③ずぶ濡れの校長が嵐の中で水路をじっと見ている
②早織と保利が秘密基地が土砂崩れに埋もれたのを見つける
「生まれ変わりって何なのよ!」
②早織と保利が横転した電車の上側の窓を開けて、中を覗き込む

③湊と依里が電車の下側の窓から水路を抜けて藪に出る
「ぼくたち生まれ変わったのかな」
「前と一緒さ」
「よかった」
③湊と依里が雨が上がった明るい緑の中を楽しそうに走る

FIN

▼あらすじ(ネタバレ)

映画で語られた順番で書いたあらすじです。

第一幕:母の視点
 長野県諏訪市。夜。シングルマザーの早織(安藤サクラ)は自宅ベランダから雑居ビルの火事を見物している。小学5年生の湊(黒川早矢)は難しい年頃。突然洗面所で髪を切ったり、靴を片方失くしたり、耳に怪我をしてきたり、走る自動車から突然飛び降りたり。不審に思った早織は湊を詰問して、小学校で担任の保利(永山瑛太)から暴行を受けたと知る。
 小学校に凸するも教師たちの対応には誠意がまるで見られない。一回目の訪問では保利を出さずに帰されて、二回目では強引に謝罪されるばかりで手応えがない。
 かねてから保利には良い噂がなかった。先日の火事では雑居ビル3階のガールズバーに居たらしい。小学校で女子の面倒を見ている人として、それは適切な行動なのか。そんな人物が暴行事件を起こして、この態度である。
 湊は体調不良で学校を休む。水筒に泥が混ざるなど不可解なことが続いたので、早織は三回目の小学校訪問をする。早織は校舎裏に女子生徒に手を引かれて入っている保利を偶然見かけてギョッとするが、ともかく校長らと面談する。そして遅れてやってきた保利から湊が同級生の依里(柊木陽太)をいじめていると告げられて、こんな教師はクビにしろと啖呵を切る。
 信じるわけなかったが、とはいえ様子を伺いたくて、早織は依里の家を訪ねる。母親は不在で、10歳にしては不気味なほど対応のしっかりした依里にお茶まで出される。依里の身体に不自然な火傷を見つけた早織は誰にやられたのか問い詰める。
 早織は湊の部屋で荒れた荷物の中からガスライターを見つける。なぜこんなものを持っているのか?
 早織は四回目に小学校に凸して依里の口から保利の暴行の証言をとる。保利は猛抗議するもそのまま部屋の外へ行ってしまう。先日に孫を交通事故で亡くした校長(田中裕子)に、早織は「私も子供が殺されたような気分だ」と強く訴える。
 小学校で保護者説明会が開催されて、そこで保利は大勢の保護者の前で謝罪する。一応の解決はしたものの、退職した保利が新聞記事になるなど後味は良くない。
 小学校で湊が階段から落ちたと連絡を受けて早織は学校に駆けつける。しかし子供達が湊は保利に落とされたと騒ぐ。退職したはずの保利が小学校に居る筈はなく、ベテラン教師が一喝する。校舎には吹奏楽の調音のような音が響いている。生徒相談室にいるはずの湊が消えていて早織は一瞬狼狽するが、すぐ無事に見つかる。
 後日。夜に台風が直撃した翌朝、目覚めた早織は湊が部屋から消えていることに気づく。窓の外では、まだ続く豪雨の中で湊の名前を叫ぶ男の声がする。

第二幕:先生の視点
 長野県諏訪市。夜。駅のコンコース。保利は先ほどプロポーズした彼女と火事を野次馬する。周囲を走り回る児童が「ホリセンお持ち帰りだぞ」とふざけている。
 ある日、保利は教室で暴れる湊を取り押さえようとして、肘が当たってしまい湊に怪我をさせてしまう。
 別の日、小学校に凸してきた早織に保利は対応しようとするも、他の教師達からモンスターペアレンツは下手に謝ると付け上がるからと対応させてもらえない。
 別の日、保利はトイレ個室に閉じ込められる依里と、不自然に逃げ出す湊を見て、湊のいじめを確信する。
 保利は依里の家を尋ねるが、そこで父親(中村獅童)から「わかります、息子はバケモノですよね」と不可解なねぎらいの言葉をかけられる。
 別の日、小学校に凸してきた早織(2回目)に保利は教師達の命令で問答無用に定型文の謝罪をさせられる。
 早織が3回目の凸をした日に、保利は湊のクラスメイトの女子から湊が猫の死体で遊んでいたと報告を受ける。保利は湊の猟奇性を確信する。(この後、保利はベテラン教師の静止を振り切って早織に湊のいじめを告発する)
 早織が4回目の凸をした日に、保利は依里を説得できず逃がしてしまうが、たまたま近くにいた女子生徒に湊が猫を殺した話を校長にするように頼む。しかし女子生徒からそんな話はしていないと拒まれる。(実際に女子生徒は殺したとは言ってない)保利はそのままベテラン教師に護身術で押さえ込まれる。
 小学校は保利の生徒加害について名指しアンケートを用いた生徒聞き込みを始める。急に態度を変えた理由については、早織が弁護士を雇って学校宛に内容証明書が届いたからだと説明される。
 保利は最後まで抵抗していたが、学校を守るためだと校長に睨まれて観念する。保利は保護者説明会で謝罪して、退職する。職場から出て行くときに保利は校長に「孫を自動車で轢いたのはあなたで、学校を守るために夫に身代わりになってもらったのですか」と問いただす。校長は何も答えない。
 保利は週刊誌に追われるようになって、恋人にも捨てられる。
 嫌がらせで自宅玄関に猫の死体を架けられた保利は、湊の仕業だと直感して小学校に凸する。退職したホリセンの登場に騒然となる校舎。保利と目が合った湊は逃げ出すが、保利は湊を追っているうちに絶望して校舎屋上からの飛び降り自殺を図る。しかし突然聴こえてきた調子はずれな金管楽器の音で我に返る。
 夜に台風が直撃した翌朝、保利は家に残っていた依里と湊の作文から二人の秘密の親密さを忍ばせた暗号を読み取り、誤解に気づき、そのまま湊の家に向かう。しかし湊は消えていて、早織と一緒に豪雨の中で捜索を始める。
 二人は山の廃線鉄道に作られた秘密基地に向かうも土砂崩れが発生しており、山積みの土を掘り返しながら湊の名を叫ぶ。横転した電車の上から天窓のようになっているガラス窓を保利がこじ開ける。

第三幕:子供達の視点
 長野県諏訪市。夜。遠くで消防車のサイレンが喧しく鳴っている。こんな時刻に一人で遊んでいる依里はガスライターを落とすが、たまたま水路を覗き込んでいた校長に拾ってもらう。火災現場から保利が映り込んだインスタライブが配信されている。そこには「ホリセンお持ち帰りだぞ」という声も入っている。
 火事の翌朝、登校中に依里は同級生からいじめられる。
 男らしくないことで浮いている依里は周囲から豚の脳みそだと噂されている。音楽室にタンバリンを片付けた時、自分のに髪を優しく撫でられた湊は、その夜に自分の中に芽生えた感情を拒否するためにハサミで髪を切ってしまう。
 依里はクラスメイトからキスされそうになった時に急に暴れ出して妨害してくれた湊と友達になる。湊は依里にスニーカーをシェアする。湊と依里は放課後限定の秘密の友達になって、山奥の廃線鉄道の放置車両をビッグクランチ(宇宙の終わり)に備えた秘密基地に改造する。
 依里が性同一性障害を抱えていると思っている父親が治療のために引っ越しを決める。依里から引っ越しを聞かされて湊は動転するが、それによって自身の普通じゃない性を確信してしまい逃げ出す。
 図工の時間にいつものように始まった依里いじめで、加担しなかった湊もオカマいじりされそうになる。感情が爆発した湊は暴力的になって依里と取っ組み合いの大喧嘩をして、保利に仲裁される。
 その夜、湊は依里を秘密基地でずっと待っていたが、やって来たのは母親だった。帰り道の車の中で母親から「普通に結婚して家庭を持つまではお母さん頑張る」と言われて感情が爆発した湊は走行中の車から飛び降りてしまう。
 仲直りした依里と湊はまた遊び始める。二人は学校の裏で見つけた猫の死体を秘密基地に持ち帰り、ガスライターを使って火葬する。焚き火を通報されれば消防が来るかもしれないと気づいて、湊は水筒で泥水をかき集めて消火しつつ依里からガスライターを取り上げる。湊は雑居ビルに放火したのかと問い詰めるが、依里はまともに答えない。
 保利が退職した後任教師を迎えるまでベテラン教師が臨時対応している。教室に依里の姿はない。
 湊は依里の家に行くが、父親が対応してこれまで遊んでくれた礼を言う。依里は病気が治って今は祖母宅の近所の女子が好きだと宣言するが、直後に撤回して父親から折檻される。
 保利に襲われた日。早織が迎えに来るのを待つ間、湊は生徒指導室のベランダから空に向かって「ごめんなさい」と呟く。隣の音楽室のベランダからそれを聞いた校長は誰に謝ったのかと優しく聞く。湊は保利先生は悪くないと告白する。それを聞いても校長は責めなかった。
 校長と湊は音楽室に移動するが、湊の懺悔は続く。湊は本当に好きな人のことを公にすると幸せになれないから言えないと言葉を詰まらせる。校長はトロンボーンとフレンチホルンを取り出して「言葉にできないことはね、こうやってプーって音にしちゃいなさい」と言って楽器を鳴らす。二人の調子のはずれた音が校舎に響く。校長は「
 風が強く吹く中で湊が自転車を強く漕ぐ。
 台風が直撃した翌朝早く。湊は家を抜け出して依里の家に行く。家に父親は不在で、依里は浴槽に服を着たままぐったりしていた。湊はビッグクランチが始まるぞと言って、依里を引っ張り出す。服が半分くらいはだけて、背中にDVでついたと思われる痣が見える。
 二人は秘密基地の廃車両に逃げ込む。早朝に運転席で遊んでいる時に、二人は廃車両ごと土砂崩れに巻き込まれる。
 *早織と保利が秘密基地へと走る。
 *依里の父親が大雨の中で酔いつぶれている。
 *校長がずぶ濡れになりながら水路をじっと見つめる。
 湊と依里は電車の底から地下水路に抜け出す。暗い水路を抜けると、そこは台風一過のように気持ちよく晴れていた。生まれ変わったのかなと戯ける依里に、そんなもの無いさと応じる湊。前と一緒さと言う湊に、依里は良かったとだけ答える。青々と茂る木々の中を二人は楽しそうに駆けていく。長野県の美しい山脈と田園の景色が広がっている。

こんなの2時間の映画に詰め込まれたら、脳みそパンクするって。(笑)

私も記憶に残った断片的な映像を全て文章に書き出して、辻褄を合わせながら並び替えて、ようやく全体像が時系列で綺麗に見えるようになりました。

▼解説・考察

🔴ラストシーンの意味は?

直接的には描かれていないので解釈の余地はありますが…

二人の少年は死んだ、ということでしょうね。

台風一過の後とはいえ、あんなに草木が乾いているのは不自然ですから。

第二幕で土砂降りの雨の中で保利と早織は秘密基地の窓を開けていますから、その時点で子供達が電車から脱出していないのに、あんなに空が晴れて草木が乾燥するまで救助されない道理がありません。

それとラストカットは湊と依里が陸橋を眺めるショットだったのですが、映画の中盤では鉄柵があって行き止まりで陸橋の向こう側の薮は真っ暗な「未知の場所・領域」として描かれているのですが、ラストカットでは柵が消えていました。これはいま二人が居るのは「現世ではない何処か」であり、これから二人は「越えてはいけない壁を越えて、新しい世界へと旅立つ」ことの示唆でしょう。

『風立ちぬ』の最後で主人公が訪れた煉獄も美しい場所でした。
彼には生きて現世に残るように促してくれる人が居ましたが、
歯止めのない『怪物』の子供達はそのまま陸橋の向こう側へと…

第二幕で電車の中身が映った時に、市松文様か迷彩柄の布みたいなものが見えました。初見時点では何なのかよく分かりませんでしたけど、第三幕で湊が着ていたレインコートでした。ということは、第二幕では暗くてよく見えなかったのですが、第二幕の時点で子供の遺体が映っていたのか。ものすごく気になります。(ゲスくてすみません)

つまり映画の結論としては、要するに『LGBTQであることを自認した少年たちは、この世界では生きていくことができず、魂だけで自由で幸せな空間へと旅立った』ということでしょう。

身も蓋もなく言えば、同性愛者の心中です。

先日の第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞と並んでクィア・パルム賞も受賞したのも当然だと言えるでしょう。しかし、配給や広報は内容を明かさないように徹底していたのに、カンヌが作った新たな賞のせいで盛大にネタバレを喰らった形になってしまったのは残念ですね。(苦笑)

これを知らないで観ていたら「なんとなく性的マイノリティの匂いもするけど、でも、まさかね?」という手探りで映画を観ていく楽しさがあったと思うのですが、本作の場合は最初に知っていたので、匂わせ演出がもうそれだと直ぐに分かってしまいました。第二幕の終盤で保利が作文で気づく時まで観客も確信を持てないのが監督の演出意図だったと思います。

🔴雑居ビルに火をつけたのは誰か?

本作の最大の肝はこのミスリードです。映画は雑居ビルの火事から始まるし、時系列が戻るたびに火事から始まります。さらに重要なアイテムとしてガスライターが何回も登場するので、ずっと放火の犯人を探るミステリーのような語り口で物語が進行しますが、結局は誰が火をつけたのかは明かされずに終わります。

一応、猫の死体でボヤを起こしかけた時に、湊が依里に直球で質問ても依里は否定しませんでしたが、一方で彼は肯定もしていません。それに依里は映画全編に渡って質問をはぐらかす癖がありますし、怪物だれだゲームをやっている時に「攻撃されたら力を抜いて相手を無力化させるナマケモノ」だとセリフで言っています。よって依里は放火にはYESともNOとも答えず、湊の質問を無力化して煙に巻いており、依里は放火の犯人ではないというのが私の推理になります。

つまり出火原因は、本作にとってはどうでも良い事案でしょう。

🔴本作における怪物とは?

直接的に言及されるのは依里の父親の「依里は豚の脳みそが入った化け物」というセリフです。実際にやたら達観している依里は不気味で怪物のようですし、依里と関わることで自身のセクシャリティに疑念を抱く湊も自分の中の「普通じゃない何か」を怪物のように怖がります。自分達の本性らしきものを隠すために大人に嘘をついて教師の人生を破壊してしまうのはまさに怪物のようです。

しかし「怪物」と呼ばれそうなくらい恐ろしいことをしているのは、二人の子供だけではありません。

学校を守るという大義名分のために、真実に興味はなく、一人の若い教員の人生を壊してしまえる校長。

学校を守るという大義名分のために、一度思い込んだら思考停止になって、自分の保身のためだけに突っ走るベテラン教員。

ことの重大さも理解できず、でまかせやいじめを平気でする児童。

教室でいじめが起きていても、教師に報告しない児童。

我が子の心配をするあまり、大人を相手に「お前は人間なのか」「あんたも孫が死んだなら私の気持ちが分かるだろ」とまで言ってしまう母親。

プロポーズまでされたのに、社会的に抹殺されそうになると即座に関係を絶ってしまう女。

我が子のセクシャリティが普通でないことを受け入れられず、豚の脳みそ呼ばわりして、暴行などの虐待をしてしまう父親。

インスタライブで流れた子供の戯言が、噂話として広がるうちに真に受けて、小学校教員をキャバクラ通いだと信じてしまう大人達。

・・・

登場する全ての人物の内面に何かしら怪物が居ることが示された恐ろしい映画でした。

🔴校長は水路に身を投げたのか?

第三幕のクライマックスで、大雨の中で水路をじっと見つめる校長のカットがありました。あれは、あのまま身を投げたのでしょうか。

たぶん投げないと、私は思います。

と言うのも、第三幕の冒頭(依里のガスライターを拾った時)にも校長は水路を眺めていたからです。なんというか毎回身を投げようと思って水路まで行って、いつも思いとどまって帰るのを繰り返しているのだと予想します。

しかしまあ、この件だけは根拠が薄いですかね。

ただ、なんか死なないような気はしますね。

嘘を抱えながら、あの校長は強く生きて学校を守ると思われます。


他にも語りたい細かな要素がありますが、

長くなりすぎるので一旦この辺で。

了。

*画像は全て公式YouTubeから引用しました。

追記:令和5年6月25日;文中の語句を一部修正(コメント参照)

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