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白湯を飲め!中国家庭口伝の薬膳哲学について

中国で暮らしたことがある方は大抵このフレーズを中国人から聞いたことがあるのではないでしょうか。「多喝热水(お湯をたくさん飲め)」

北京留学時代、クラスメイトが風邪を引いた時、先生が必ず伝えていた言葉です。実際、中国人はキンキンに冷えた飲み物を普段から好みません。ビールも注文時に冷たいの!と伝えないと常温で出てくるし、私の中国人の妻やその家族も常飲しているのは70度くらいの白湯で、冷たい飲み物はあまり好みません。妻に聞くと「胃腸が冷えると体調を崩すから」と言います。あとは緑茶を冬に飲まないとかもよく聞きましたね。

仕事で漢方茶の専門店を経営している方や中国政府が認定した資格である国際中医薬膳師をお持ちの方など、その道のプロの方から様々な専門知識を学んだことで、それらの疑問が最近になってようやく紐解けてきました。

ちなみに”漢方”という言葉は、古き中国から伝来した中国医学が江戸時代の鎖国時に独自の進化を遂げたものを指す概念のようです。鎖国の時にも貿易をしていたオランダから伝わった西洋医学を”蘭方(らんぽう)”と呼んだのに対して中国医学を”漢方”と呼ぶようになったそうです。中国では”中医”という言い方が一般的です。

医食同源 

私たちが普段触れている西洋医学では、解剖学や生理学に基づいて薬を処方するのが一般的かと思いますが、中国の伝統的な医学「中医学」の場合は、2000年以上前から続く哲学や経験則に基づいている部分も多いので、アプローチが結構異なります。

そもそも「中医学」が包括する範囲はいわゆる漢方薬(中药)、薬膳食、ツボ(経穴)など幅広い概念。
特に「医食同源(中国では薬食同源と呼ぶ)」と言って、食べ物と薬の垣根がなく食事が病気を防ぐという考えがあり、最近日本でもよく聞くようになったお医者さんは判断できないけど、なんとなく不調の状態「未病」の段階でその根源的な原因にアプローチしていきます。

お湯を飲め!というのがまさにこれで、頭痛や生理痛などの不調も内臓の冷えが原因の一つとなるので薬を飲む前に温かい飲食物なのでアプローチするという感じ。

緑茶は冷やす 紅茶は温める

薬膳の概念は結構複雑で「気、血、水」理論というものがあって過不足や滞りが不調の原因になる…という感じですが、専門的な説明はネット調べでも出てくるかと思うのでそちらを参照頂き…

理論を知らなくても中国人が習慣的に食事で意識していることがあったりします。例えば口内炎やにきび、喉の痛みなど、体の一部が炎症で熱を持っている場合には体を冷やす食材として緑茶や菊花茶、あるいはみかんなど体を冷やす食材。逆に体が冷えて起こる不調にはほうじ茶や紅茶、ナツメなど体を温める食材を積極的に摂ったりするのは結構一般的かなと。不調の際にはお粥やスープみたいなものを作るのも中国家庭あるあるです。

あくまで私の印象ですが、中国医学は比較的「経験主義」的なところがあって、いろんなところを押してみたり謎の薬草を食べてみたり・・と繰り返しているうちに形成された健康法にあとづけで@@理論みたいなロジックを構築しているような気もします。解剖学が基礎になっている西洋医学とはここが違うのではないかなぁと。中国では病気になった際に「中医行く?西医行く?」みたいな感じで使い分けたりもするし、両方バランスよく取り入れてというパターンもあります。

この学問、相当奥が深いので私もまだまだ勉強中。最近行きつけの足ツボマッサージに全然行けてないので、来週あたり先生に健康状態をチェックしてもらおうと思ってます。


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