見出し画像

4/4 ニュースなスペイン語 Rusofobia:ロシア嫌い

Fobiaは「嫌悪」を表す語だが、他の語と組むことで、「〜嫌い」を表す複合語を作る。xenofobia「外人嫌い」をはじめ、acrofobia「高所恐怖症」、misofobia「ばい菌恐怖症(=潔癖症)」などの伝統的な語の他、aporofobia「貧困嫌い」、gordofobia「肥満嫌い」のように最近になって新たに生まれた語もある。

Rusofobiaも最近、見聞きするようになった語だ。原因は、言うまでもなく、ロシアによるウクライナ侵攻にある(なお、この記事を執筆当時、首都のキーウからロシア(tropa rusa)が退却し始めたというニュースを聞いた。備忘録として…)。

スペインには、ロシア出身の人々やロシア語を話す人々がいる(もちろん、ロシア人で以外もロシア語を話す)。

当事者たちの声を聞こう。

バルセロナでロシア料理のレストランを5年前から経営している女性は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった時、店に戦争反対のコメント(cartel)を出した。店には差別的なコメント(comentario despectivo)が寄せられたり、ネットには悪口(malas reseñas)が書き込まれたりした。その一方でほとんどの客(cliente principal)や新規(nuevo)の客からは応援メッセージ(apoyo)もあったいう。

その一方で、アルメリアでロシア人協会を運営している男性によると、学校では「自分の国に帰れ(vete a tu país)」などと言われるロシア人のこどももいるとのこと。また、家政婦(trabajadora del hogar)協会からは、ロシア人の家政婦が各家庭で次々と契約を打ち切られたとの報告があったという。さらに、マラガではロシア博物館の閉館(cerrar el Museo Ruso)、マドリードではボリショイバレー団の公演のキャンセルがそれぞれ決定した。

スペイン在住の、あるロシア人心理学者(psicólogo)の分析によると、ヨーロッパで語られる、ロシア人嫌いの現象は、大げさ(exagerada)で、ロシア政府(Kremulin)の喧伝効果(propaganda)によるものが大きいという。実際、この医師や友人はロシア人であることを理由に何かイジメを受けてはいないという。

今は「ヨーロッパはロシアの敵で、皆がロシアとロシア国民を嫌っている(Europa es un enemigo de Rusia, que todos odian a Rusia y a los rusos)」と印象付けることが大切だという。

このロシア人医師は、ウクライナ侵攻が始まると、相談内容(consulta)が変わってきたという。多くのロシア人は戦争のことを口にし、「ロシア人であることを恥じ、罪悪感を感じる(se avergüenzan y se sienten culpables)」という。

前述の、マラガにある、閉鎖が決まったロシア美術館の研究員は、この閉鎖を「まったくおかしい(disparatado)」と憤る。そして、

ロシアの文化があり、ロシア人がいて、そして、プーチン政権がある。これら3つはまったく別物だ(Hay cultura rusa, hay rusos y hay un régimen de Putin. Son tres cosas diferentes)。 

と指摘する。「ロシア」を別の国名にしても良いだろう。有事の際は、とかく、この誰もが分かる当たり前の真理が、当事者も、そして彼らを取り巻く人々も、分からなくなってしまう。自戒も込めて、上の指摘を心に刻んでおかねば・・・。

写真は記事でも紹介した、バルセロナでロシア料理のレストランを経営している女性。黒板には「プーチンを止めよ!」、「戦争反対(Contra la guerra)! 」と書いてある。

出典
〈本文〉〈写真〉
https://www.rtve.es/noticias/20220403/caras-rusofobia-espana-discriminacion-justicia-social-sentimiento-culpa-guerra/2326641.shtml