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ドイツ生活23日目

勤務先の異動で、10月22日からドイツフランクフルトに赴任しました。東京からの引越しとなりましたが、コロナの影響あり、家族が入国できず、ビザが取れるのも何時になるか分からないという状況でもあり、初めての単身赴任になりました。

今の会社で働いている限り、いつか単身赴任の時期が来るだろうと覚悟はしていましたが、コロナのタイミングでドイツと日本の往来が出来ない状況と重なったこともあり、思った以上に不安を感じます。父親無しの環境が妻と子供にどのような影響があるのか?特に男の子三人で、1番上は13歳と思春期序盤で、1番下の6歳児が活発に(生意気に?)なってきたこともあり、妻への負荷も含めて考え出すと解決できないことしか思い浮かばないという状況です。

自分も男3人兄弟でしたが、小さい頃は父親は平日出張で家におらず、土日に帰って来たり、来なかったりでした。当時は土日遊んでくれるお父さん、いつも機嫌が悪い、怒ってばかりのお母さん、という感じで、自分も弟達も父親に愛着を示しても、母親を煙たがっていたと思います。今思い返せば、子育ての全てを背負って、母親への負荷は相当なものだった筈で、小さい子供達へ余裕のない態度になっていたのは、当然のことであり、今となっては母親には感謝の気持ちしかありません。自分が父親になって、単身赴任になって、自分の妻が当時の母親のように苦労するとは思いませんし、自分(長男)の13歳の時を思えば、息子(長男)はかなりしっかりしています(妻は女3人兄弟なので、普通の男の子の幼さが分からないのか、この点ピンとこない様ですが)。次男、三男も母親思いのところはあるので、不安を感じる必要はないと思うのですが、何か解決すべきではないかという、わだかまりみたいなものが消えません。

今日は、フランクフルトのアパートに入ってから気になっていた近くの公園に午後散歩に行きました。ドイツの冬は曇天の日が多く、日照時間も短いので、本日は休日で、貴重な晴天の散歩日和でした。広大な敷地の公園で、空が広く閑静で、家族連れから、お年寄り夫婦まで現地の人達も気持ち良さそうに過ごしていました。ドイツに来てまだ間もないですが、日本での生活との大きな一つの違いは、街、道、店、オフィス、家、全てが広々として静かな環境という点です。漠然とした印象になりますが、ドイツ人の気質も、その環境のせいなのか、何事にもじっくりと集中しているという印象があります。モノへのこだわり、食べるものへの意識についても、一般レベルで日本人よりも高いように思います。私が東京都内の騒がしいところからドイツに来たせいもあるかもしれませんが。

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散歩しながら、その時間を気持ちよく過ごすだけという状態でいると、単身赴任の不安も忘れてしまいます。妻や子供を心配していたのではなく、自分が家族に依存していて、離れたことによる寂しさが思考とマインドを支配いただけかもしれないと思い始めました。そもそも、自分自身の単身赴任への覚悟も足りなかったのかもしれません。今の会社で働く限り、受け入れておくべきことですが、それがおかしい仕組みだと感じてしまい、会社に依存し続けているにも関わらず、単身赴任を受け入れてなかったのだと、今更ながら感じました。

単身赴任という仕組みは、自分の生活よりも会社の辞令を優先するすることが前提になっている仕組みで、これまでの日系企業では当たり前のこととなっています。これからコロナによる日本内外での移動の規制などもあり、単身赴任含めた海外駐在について、今まで当たり前だった異動の仕組みが日系企業でも変わってくると予想されます。会社に入る時点で、勤務場所、リモートワークについて、確定してくる会社も出てくるでしょうし、会社が選択される際の大きな判断要素になり得ます。いつどこに異動するか分からないという人事制度では、働いてくれる人がいないという時代も来るでしょう。その時に備えて、日系企業は海外の拠点と日本の人事制度を作り直す必要があり、異動を受け入れてくれる人材には待遇も見直す必要があります。今までの給与のままでは、社員に海外赴任して貰えない、働き手が集まらないという考え方になるでしょう。一方で会社の経営に貢献してくれる人材を確保するために、限られた資本をやりくりする動きの中で、誰でも出来る仕事は無くされて行きます。AI化、ロボット化の相乗効果も重なり、何か仕事はあるだろうという今の状況は長くは続かないでしょう。

自分の子供が社会に出たときに、勤めるのか、起業するのか、どちらを選ぶのか分かりませんが、いずれにしても社会に必要とされることでしか仕事は成り立ちません。自分がやりたいこと、好きなこと、信じることを仕事とすることで社会に貢献することが出来る。子供には、そのようになって欲しいと、フランクフルト市内の散歩をしながら思いました。

自分も今の勤務先を通じての社会貢献だけでなく、もっとダイレクトに社会との繋がりを感じて、世の中に生きて死んで行きたいと感じています。それが地元の熊本で出来れば、最高ですが。

当面はフランクフルトで、今の仕事の成果を出すことに専心しながら、先のことも考えて行きたいと思います。

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