見出し画像

映画「Mrs. Chatterjee vs Norway」と息子の夜泣き

数日前から次男が体調不良で、夜になると可哀想にうなされている。熱は二日目には下がったけれど、頭痛と喉が痛いのが続いている。

日曜の夜、子ども達を早めに寝かしてから、Netflixのトップに出ていた映画「Mrs. Chatterjee vs Norway」を観ていたら、またしても息子の夜泣きが始まった。最初はうなされているだけで、そのうち収まるだろうと思ったら、泣き止まないどころから激しくなっていく。

結果、しばらく抱っこしてから痛み止めの薬を飲ませたら30分ぐらいで寝てくれたけど、観ていた映画のせいで久しぶりに子育ての孤独な気持ちを思い出した。

映画は、ノルウェーに住むインド人夫婦がノルウェーの児童保護局から子供二人をある日突然取り上げられるところから始まり、親権を剥奪される。そこから母親の胸が張り裂けるような長きにわたる闘いの末、最終的には親権を勝ち取り親子は再び一緒に家族としての暮らしを取り戻す。

オープニングの児童保護局による子どもの連れ去りがあまりにショッキングなのだけれど、これが実話だと知って、さらにショック。親権剥奪の理由は、彼らの子育てが不適切だとノルウェー当局に見なされたためだという。

何が問題視されたかと言えば、「子どもたちに手で食事を与え、子どもたちと一緒のベッドに寝ていること」だそうで、両親やその弁護士は「二人の子育てはインドではごく自然なことで、文化の違いによる誤解」だと訴えても、一審は敗訴する。

日本人の私が見ていても(これは誤解でしょう。何が問題なのか全く分からない)という感じで、「話せばわかる」だろうと思って観ていたら、その全くわかってもらえなさ加減に絶望を感じた。

自分も異国で子育てをしていて、自分たちのやり方がオランダの当たり前に当てはまらない事の恐怖といったら大袈裟だけど、非難されるんじゃないだろうか、という心配な気持ちはうっすらと常にある。オランダは日本に比べて「こうあるべき」の押し付けや社会的なプレッシャーは少ないとは思うけれど、ない訳ではない。

何か一つ歯車が狂ったら、誤解が誤解を招いたり、要らぬところまで話しが進んでしまったり、頑固で思い込みが激しい相手に当たってしまったら・・いくら話しをしても通じなくて事態はとことん悪化をたどる、みたいな状況は容易に想像できる。そういう時に、社会的資産が少ない自分のような外国人は圧倒的に劣勢だ。

次男は来蘭当時、1歳半で、夜泣きがすごかった。そのせいで隣人とトラブルになり、「こんなに泣くなんておかしい。何もしないなら、こっちがアクションを取るしかない」みたいなことを言われた。その時のやるせなさ、孤独感、夜泣きがなくなるためなら何でも試す藁にもすがるような日々を、今夜は思い出した。

また、息子が泣き出したので、ここでおしまい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?