見出し画像

【人事労務的視点】鬼平犯科帳・決定版第1巻【小説・マンガから学ぶ理想の管理職像】



ーーー

私は、今まで様々なところ(現実社会でもネット上でも)で、鬼平犯科帳は、社会人のバイブルであるということを話してきましたし、noteでも下記のように記事にもしております。


ですが、具体的に「作品内容の、どういったところが現代でも人事労務的に役立つのか」ということはまだ記述していなかったということに気づきましたので、各巻でどのあたりが具体的に役立つ部分なのかということについて、書いていくシリーズにしていきたいと思います。

ーーー

※注意点
鬼平犯科帳は、どんな年代の人も読みやすい・時代背景の違和感を感じにくい作品ですが、初出誌が1960年代の作品もあり、そのため現代では「差別的表現と捉えられかねない表現」があります。
しかし、その表現は江戸時代の情景を忠実に表現するために使用しているのであって、作者に「差別を助長するような意図は無い」ことをご理解いただいて読み進めて欲しいと思います。

ーーー



1⃣ 第一巻のあらすじ

1.啞の十蔵

「火付盗賊改方」の同心・小野十蔵
余りにも無口のため周りからは「唖の十蔵」と呼ばれていたが、役目では抜群の活躍を続けていた。
しかし、ある時「小間物屋の助次郎」を探り始めたところから人生が狂い始める…
また同時期に、火付盗賊改方長官に長谷川平蔵宣以(はせがわへいぞうのぶため)が着任していた。

2.本所・桜屋敷河岸

平蔵が捕え・死罪にした強盗一味の残党、小川や梅吉を本所で見かけたという密告があった。
盗賊改方は、小川や梅吉を捕らえようとするが、本所にいる悪御家人が匿っているため、中々捕らえられない。
本所は、平蔵が青春を過ごした土地でもあった。

3.血頭の丹兵衛

平蔵が捕えた元盗賊・小房の粂八は、元々所属していた盗賊・血頭の丹兵衛が「主人から家族、使用人まで皆殺しにして金品を奪っている(急ぎ盗をしている)」ことを不審に感じていた。
小房の粂八は、その疑念を晴らすため盗賊改方の密偵(狗)となって探りを入れる。

4.浅草・御厩河岸

浅草の渡船場に面した小さな家居酒屋・豆岩の主人岩五郎は、家族で店を切り盛りしていた。
岩五郎はある時、旅の乞食坊主に「今の暮らしの元になっていることに背いてはいけない」という助言をもらう。
そんな岩五郎は「錠前外し」の技術を持つ盗賊という裏の顔を持っていた。

5.老盗の夢

昔堅気の盗みを厳守した盗賊のお頭・蓑火の喜之助は今年で67歳になる。
昔の手下の店で楽隠居を味わっていたが、ある時おとよという女性に出会い親密になる。
喜之助は、おとよのために盗みをして金を作ろうとするが…

6.暗剣白梅香

平蔵が知り合いの医師を訪ねたある日。
そこで夕飯をごちそうになり午後八時頃となった暗夜の帰り道に、平蔵は背後から異様な気配を感じる。

7.座頭と猿

座頭(盲目)の彦の市は、腕の良い按摩職人である。
腕の良さを買われ様々な商家に出入りしているが、いざ盗みの日となると盗賊らを家に引き入れるという裏の顔を持っていた。

8.むかしの女

平蔵は盗賊改方の長官だが、その他にも人足寄場(今でいう就職困難者への教育訓練を行うハローワーク)の設置を、幕府から任じられていた。
その帰り、平蔵は自身の青春時代を知っている老婆・おろくに声をかけられる。
※人足寄場には、その後罪人も収容されることになります。


ーーー

2⃣ 第一巻で、人事労務的に注目し役立てて欲しいエピソード・二選

1.啞の十蔵

長谷川平蔵の初登場エピソードです。

ここでのポイントは、

①「日常」と「いざというとき」の言動のギャップは、大きいほど相手へ効果的なものになる。
②客観的に見て残忍な手段だとしても、使う人物によっては有効になる。

ということです。

平蔵は、新任直後、

いつも笑顔を絶やさず、人当たりの良い温和な新任長官。

という印象を部下に与えていましたが、いざとなれば(盗賊の手下に対して)、苛烈な拷問と誘導尋問で白状させる行動も出来ます。

さらに、この拷問&尋問された小房の粂八が、エピソード:血頭の丹兵衛以降は、その後盗賊改方の密偵となるように、本人には完全な非道と受け取られているという訳ではありません。つまり、

どんな手段や行動でも、それを行なう人間によって相手方への伝わり方が違う。

ということが言えます。

平蔵は、上記言動を駆使することで、着任直後から部下からの信頼を得ることに成功します。

ーーー

2.老盗の夢

本エピソードでは、盗賊・蓑火の喜之助に注目です。

喜之助は、楽隠居の状況から再び盗みをすることを決意したため、昔からの気心が知れた仲間は使うことが出来なかったため、あまり気乗りはしないものの、他人からの口利きからある三人を薦められます。

喜之助は嫌な予感がしたものの背に腹は代えられずその三人を仲間にしますが、最終盤で裏切られます

その際、その三人は「むかし堅気の老いぼれ」とも言っています。

つまり、

① 以前に大きな功績があったとしても、そのことが若い世代に刺さるかどうかは分からないので、過去の栄光にすがり過ぎてはいけない。

※このことは、自分が考える「自身のイメージ」と、周辺の人が持つ「自身のイメージ」が乖離してしまうと発生し易い問題です。

自分自身と時代(職場)背景を客観的に認識出来る能力を身に付ける必要があります。

② 仕事に影響が出てしまうほど、女性にうつつを抜かしてはいけない。

古今東西、有能・有名な人物が失脚する原因のNo.1ですね笑
「英雄色を好む」ということわざもありますが、多くの場合良くない結果につながることが多いです。

どんな物事にも原因と結果がセットとなっていますので、リスクとリターンを考えた女性との付き合い方が必要です。

その他にも、エピソード:むかしの女・おろくなどからも教訓を得ることが出来ますが、管理職が労務管理をする際に重要な点は上記二つのエピソードから学ぶことが出来ます。

ーーー

上記のように、鬼平犯科帳は人事労務に携わっている方だけでなく、社会人全般に役立つバイブルと言って良いと思います。

コンビニ等の雑誌コーナーを見ると分かるように、鬼平犯科帳は小説だけでなく、マンガ等でも様々な媒体で出版されておりますので、皆さんの馴染みやすい形で読んで頂ければと思います。

また、TVドラマでも度々再放送されていますので、映像から興味を持つ方も多い作品です。

時間が出来ましたら、第二巻についても記述したいと思います。





★他の「ビジネス書・小説・マンガから学ぶ人事労務」関連記事★


この記事が参加している募集

読書感想文

読んだ方に、何かしらのプラスを届けることをいつも考えています。少しでも「読んで良かった」と思われる記事を書きます!