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傑作SFと、宇宙の話が苦手なわたし

時空を超えた父と娘の愛の物語。初鑑賞が父と一緒だったのは偶然ではなかったのかも。

この作品のおもしろさを伝えるのは至難の技だと思う。まず長い。そして、一度観ただけでは理解できない。わたし自身、映画公開時はおろかDVDレンタル開始後もこの作品になかなか興味が持てなかった。というのも、SF作品への苦手意識が強かったから。アクションは好きじゃないから、宇宙人と闘う系が全然おもしく感じられないし、何より宇宙について考え始めると、だんだん気持ち悪くなってしまうというやっかいな体質なのである。ところが、美大出身の親友Hが放った「めっちゃおもしろいよ」という一言で、わたしは重い腰を持ち上げることになる。

舞台は近未来の地球。異常気象に苦しむ人類を救うため、元宇宙飛行士のクーパーはNASAの秘密計画に参加し、人類の新たな故郷となる惑星を探す旅に出ることに。クーパーは娘のマーフに「必ず戻ってくる」と伝えるも、仲違いしたまま出発の日を迎えてしまう。しかし、この旅はこの先何年も、何十年も続くことになるのだった。

ワームホール、特殊相対性理論、ブラックホールの特異点……私立文系コースで早々に理系科目から離れてしまったわたしにとって、うげげ、と思う専門用語ばかり登場するのだけど、そのわけのわからなさは、かえってこの作品にぐいぐいと引き込まれてしまう理由のひとつにもなっていると思う。そう、まるでブラックホールのように。

はじめて見たとき、隣りで観ていた父(物理学専攻)が時折DVDを止めて、嬉々として解説してくれたのだけれど、残念ながらわたしは何ひとつ理解できなかった。でも、この映画は父と娘の物語であり、さらに「愛」が大きなテーマになっているから、初鑑賞が父とふたりだったというのは、偶然だったにせよ、なんとなくいい思い出になった。

そして、この作品を皮切りに、わたしはクリストファー・ノーランのファンとなる。リアルを感じさせる、細部までつくりこまれた作品の数々は、わたしの中のSFやアクション映画のイメージをまんまと打ち砕いてくれた。ノーラン作品は、またそのうちに。ちなみに、この映画が好きなら「コンタクト」も絶対に観るべき。以上!

インターステラー
監督/クリストファー・ノーラン
出演/マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ
製作/米国・英国(2014年)


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