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リーダーとマネージャーの違いを「ギバー」と「マッチャー」の違いになぞらえて考える

表題にもある通り、組織のリーダーやマネージャーと呼ばれる人たちに対する考え方は、枚挙にいとまがないと思います。

前職での最後の2年間の肩書は「チームマネージャー」でした。そして今のスマイループスにおける肩書は「leader」です。肩書など本当にどうでもいいのですが、この2つには大きく違いがあると思っています。

今回は、ちょっとした規模の会社でマネージャーをしていた経験と、スタートアップでリーダーとして仕事をする経験から、求められる役割の違いを整理してみようと思います。

リーダーとは何か

問題解決リーダーシップとは、解くべき課題(イシュー)の定義から、分析の設計、関連する組織や人とのコミュニケーションを含む一連の問題解決プロセスに説いて、リーダーシップを発揮することです。『採用基準|伊賀泰代』

リーダーシップを整理してくる書籍に、『採用基準』があります。その中でリーダーの役割は下記の4つに終息するとも書かれています。

1)目標を掲げる
2)先頭を走る
3)決める
4)伝える (コミュニケーション)
『採用基準|伊賀泰代』

要するに自ら組織や社会の理想、現状とその間にあるギャップを定義し、そのギャップを埋めることに責任をもって遂行する役割のことを、リーダーと呼んでいるのだと思っています。

マネージャーとは何か

「組織の成果に責任を持つ者」である。彼らは、人の仕事に責任を持つ者、ないしはボスという意味でのマネージャーではない。『マネジメント|P.F.ドラッカー』

マネージャーの定義として最も有名なのは、ドラッカーの上記定義ではないかと思っています。組織のアウトプットに対して責任を持つともいえます。

また、個人的に田端さんの「なんとかする人」という役割も、結構しっくりくるなと思っています。マネージャーは組織の厳しい局面で、事態を収拾させることがメインな役割の一つだと思います。いわゆる「ケツを拭く」感じの動きです。

どこで聞いたのか忘れましたが、私が一番しっくり来ているのは、マネージャーは会社と従業員の調和を取ることが仕事という考え方です。会社(や株主)がやりたいことと、従業員の要求を調和させ、労働力を社会の求める価値へ転換するという役割も求められます。

リーダーに必要な「ギバー」という要素

本題に入ります。リーダーには「ギバー」の要素が欠かせないと考えます。「ギバー」とは『Give & Take』に出てくる考え方です。

ギバーはギブ・アンド・テイクの関係を相手の利益になるように持って聞き、受け取る以上に与えようとする。『Give & Take|アダム・グラント』

リーダーの4つの役割は、課題を定義し、解決策を示し、人を巻き込んでいくプロセス全体を定義できると述べました。それぞれの要素に「ギバー」というのは効果を発揮します。

特に、組織の課題(イシュー)を定義するためには情報を集める必要があります。しかしこれは、正しい情報を整理するという点で困難を極めます。

会社の情報だけでは意思決定はできません。社長であればすべての情報が集まるかといわれればそうではなく、競合や従業員の考えに紐づく情報を取得ことが必要です。普段から忖度なく自らが情報の開示や貢献をしていないと、人は欲しい情報を提供してくれません。

マネージャーに必要な「マッチャー」という要素

マネージャーになると、自組織の成果を最大化することや、会社の論理と従業員の論理の調整に責任を持っています。

1)目標を掲げる
2)先頭を走る
3)決める
4)伝える (コミュニケーション)

リーダーの役割も当然のように求められるはずなのですが、それよりも時に優先されるものがあることも事実だと思います。

特に「目標を掲げる」という要素については、会社から与えられたKPI達成のために組織を管理するマネージャーが大勢いますし、自部署以上に大きなものの目標を自ら描けない管理職というのはあるあるだと思います。

マネージャーの考え方である、「組織の成果に責任を持つ」という言葉を、自組織に矮小化して解釈すると、上記の動きに説明がつきます。自組織に対して責任を持とうとすると、いかに責任範囲を小さくして、自身を会社に評価させるかという考え方に寄っていきます。

リーダーの役割である、「目標を定める」部分を意図的に小さくすることで、リーダーシップをとる範囲を小さくしているのです。会社との余計な衝突はなくなり、自部署の従業員に対して高いものを求める必要もなくなるので、会社との責任範囲の握り方は必然重要になります。

「ギバー」のように自らのめりこんでいくと、会社との調和が崩れてしまいます。「マッチャー」として自部署が提供できるものとできないものを明確にして、会社との交渉に時間を注いだほうがマネージャーとしては優秀だといえると思います。

さいごに

マネージャーとしての仕事をしながらも、自分なりに高い視点で、リーダーとしての役割を強く意識して仕事をしていたように思います。そしてスタートアップに移った今、やはりあのマネージャーとしての役割は組織上必要ながらも、リーダーシップが取れることで付加価値は何倍にもなると再認識しています。

できていない場面も多々あるのが現状なのですが、リーダーシップと導き出すアウトプットの精度は日々壁打ちを諸先輩方にさせていただきながら、さらにマインドもスキルも、磨きをかけていきたいと思います。


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