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祖父の話2

自分で言うのもなんですが、私は勉強では当然ずっと学年1位(ただし1学年20人しかいません)、スポーツもなんでもできるという、地域では神童と言われるほどなんでもできる優秀な子でした。たぶん、祖父も現代の世に産まれていればそうだったんだろうなと思います。言っていることが的を射ていましたから。

祖父と私

小学校卒業まで

神童を孫に持つ祖父としては、とにかく褒めてもらいたい、自慢したい。そしてそれは孫にとっても当然そうして欲しいはず、と思い込んで暴走します。私からするとめちゃくちゃ迷惑でした。
だって、特に努力した記憶もなく、きちんと宿題をして、スポーツは練習をして勝ち取った訳ですから、最低限のことをして成果があがっているので、なんでみんなはできないのだろう、こんなに差がつくのだろうと思っていましたから。生意気ですね。
どこへ行っても私の自慢話、酔っぱらって帰ってくると毎回同じ話を聞かされ、祖父の仕事仲間と立てなくなるまで酒を飲んではまた私の自慢話と自分の苦労話。うんざりしていました。
少しずつ避けるようになっていた矢先、あの名曲、「孫」が大ヒット。もう祖父は止まりません。今度は同じ話の繰り返しに加え、同じ歌の繰り返しとなってきます。嫌気がさして、祖父と一緒の空間になるべくいないようにしていました。
ただ、応援してくれている気持ち、私のことで一喜一憂してくれること、怒って泣いてくれることは、子供ながらにありがたいことだと思っていましたので、罪悪感もありました。

中学校卒業まで

中学校では、1年生から野球部のレギュラー、当然テストはほぼ満点、学外のテストでも県内で1ケタの順位をとるなど、順風満帆、自慢の孫具合にさらに磨きがかかっていました。
一方で、関係性は最悪です。小学生よりも多少遅く帰ることができるようになり、部活の居残り練習だの、委員会だのと理由をつけてはなるべく遅く家に帰るようにしていました。
この頃、私の弟もさらに優秀だったため、少し圧力が分散していることがわかりました。
ただ、祖父自身が勉強したくてもできなかった、やりたいことをやれなかった、というのをひたすら言われるのは苦痛でしかありませんでした。産まれてからずっと「東大へ行け」と言われ、その意味が分かり始める中学生にもなると、「勉強したくてもできなかった」「お前は東大へ行って化学をやってほしい」「博士になってほしい」と散々言われるのは相当きつかったです。
中学2年のころには、「どうせどこの高校でも合格するからマジでどの高校でもいい、むしろ行かなくてもいい」「仕事などなんでもいい」と本気で思っていました。かなり歪んでますね。

高校へ入学してから

結局、野球は好きだったので、優秀な(学びが多いと思われる)監督を探した結果、県内一の進学校の監督であることがわかり、紆余曲折ありながらもその高校へ合格しました。
私の実家から通って部活をするにはかなり遠かったので、中学卒業とともに、私は父と二人暮らしをすることになります(離婚とかではなく、単純に父の職場と学校が近かったため二人だけで引っ越しました)。
そこでようやく祖父と離れたわけです。
とにかく、「東大へ行け」「苦労をしろ」「人を大事にしろ」と言いながら、人の気持ち(孫の気持ち)を考えず、新たなことを学ぶ姿勢もない(もう年だからが口癖でした)祖父から離れることができたことがまず嬉しかったことを鮮明に覚えています
高校に入ってからは、私も大人の対応ができるようになり、以前よりうっとうしくは感じなくなっていました。
ただ、実家に帰るとまたあれかよという気持ちがあったので、ほとんど実家には帰りませんでした。農業も嫌いなので、実家の手伝いはほぼやったことがありません。この点は、弟がすべてやっていたので素直にすごいなと思っています。

大学生の時

入試期間中、祖父は謎のお守りや自作の絵馬をたくさん作ってくれていました。今も一部保管してありますが、それを見ると、そうとう愛してくれていたんだなと感じます。ただし、孫は祖父が思っているほど優秀ではなかったし、周りがさらに優秀でしたので、東大へはいけませんでした。
大学になってからは、ほとんど実家によりつかなくなっていました。帰省しても飲み会でほぼ外出、日中は寝ているような状態ですから、会話も生まれようがありません。
そんな関係性を大学時代は続け、卒業し、山形へ帰ってくるわけです。

「学び」に関すること

私は「自分で学ぼうとしない人」「自分には無理と決めつけている人」を心底もったいないなと思っています。自分の祖父母がそういう人でしたから。だって、 何歳からでも、いつからでも、どこででも、誰からでも、なにからでも、少しずつ学びは得られるし、得ようと思えばすべてが先生になるわけです

ようやく、社会人になるところまで来ました。
じいちゃん、あんたのせいで孫は駄文を書いています。(笑)
祖父の話3に続きます。




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