『美しき誘惑-現代の「画皮」』

『天使にアイム・ファイン』や千眼美子主演の『心霊喫茶「エクストラ」の秘密-The Real Exorcist-』など、ここ最近は実写映画が続く「幸福の科学」劇場映画。今回は中国の怪奇譚「九尾の狐」にまつわるサスペンスと陰陽師的なバトルを取り入れたバラエティな作りになってはいるが、終わってみればいつもの「幸福の科学」ムービーで落ち着いている。

 

 

ストーリーの大半が九尾の狐に取り憑かれた長谷川奈央が演じる山本舞子の視点で、銀行の副頭取・副頭取秘書の周りや銀座の高給クラブ、もう一人の主人公で二世議員の塩原太郎に関しても政治家の世界を描いているので、「幸福の科学」ムービーにしては比較的俗っぽい世界観が舞台なので多少見やすくはある。

 

 

おそらく、原作者である大川隆法が若い頃トーメンで働いていた時の見てきたことが生かされているからか、銀行の応接室での取引きのシーンや銀座のクラブでのシーンもそれっぽさがあるが、明確にはしてなかったが感覚的には20〜30年前の日本みたいで古臭さは否めない。それに、昼は銀行の秘書で夜は銀座のホステスというのもありそうだが現実では微妙にありえず、それもほとんどは「舞子の正体が妖怪だから」で片付きはするが安易で薄っぺらい。

 

 

終盤の陰陽師的なバトルはかなり強引。「ゲゲゲの鬼太郎」みたいなファンタジー作品と言い聞かせながらみるが、今どきあり得ない低クオリティなCGによるバトルは、「幸福の科学」の信者ならともかく、普通の映画ファンなら間違いなくゲンナリする。言いたいことは外見や地位といった表層の美ではなく、内からの、心からの美ということらしいが、作品の9割5分が表層の世界なので上辺の言葉な感じがしてならない。

 

 

時折無理矢理流れる大川咲也加やトクマや映画のプロデューサーが歌うヘタクソな歌でさらにダメな映画を見ている気分にさせられ、結局のところはいつもの「幸福の科学」ムービー。題材は悪く無いんだけど、原作、脚本、製作と3段階で下手な料理をし、信者には喜ばれ、普通の映画ファンにはがっかりな映画ではあるが、「あそこはあり得ない」とかあれこれ突っ込む面白さはなくはないので、特別に評価をプラス1上げたい(笑)。

 

評価:★★

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