見出し画像

2月11日 建国記念「の」日 って?

建国記念の日がもうまもなくとなりました。

みなさん、建国記念の日って何の日だか知っていますか?

現在の法律上の定義

「建国記念の日」は、日本で唯一、政令によって定められる祝日です。

今月23日、元号が令和となってから初めての今上天皇の天皇誕生日がありますが、その他の祝日は「国民の祝日に関する法律」という1948年7月20日に交付・施行された法律に定められた祝日です。元号で言えば昭和23年ですね。

一方、建国記念の日は1966年 昭和41年12月9日に交付・施行された

建国記念の日となる日を定める政令

に定められた国民の祝日です。

その趣旨は「建国をしのび、国を愛する心を養う。」ということです。

建国?その起源は?

さて、現在の建国記念の日の根拠となっているのは今年で成立1300年となっており、東京国立博物館でも『出雲と大和』という名で特別展が開催されている『日本書紀』です。

日本の初代天皇である神武天皇即位した日、辛酉年1月1日が建国の日として位置づけられています。

あれ?元日なの?日付違うじゃん。と思ったそこのあなた。

その通りです。干支による暦を現在使われているグレゴリオ暦で読み替えた日が、現在の2月11日に当たる、ということです。

蛇足:    ちなみに「干支」は
十干(甲乙丙丁...)と十二支(子丑寅卯...)
を組み合わせた60年周期の暦です。


建国記念の日 以前は?

話を戻します。では、昭和41年に制定される以前は建国という概念は存在していなかったのでしょうか?

いえいえ、実は「紀元節」として明治の初めに制定されていました。

しかし、1948年(昭和23年)にGHQの意向によって廃止されてしまいました。

昭和23年、


そうです。先に挙げた「国民の祝日に関する法律」が施行された年ですね。新しい法律が施行されたと同時に、かつての建国記念日であった紀元節が廃止されることになりました。

アメリカの占領軍からすれば、何としても、日本人の建国神話を否定して国力をおとしめたいという思惑がありました。

それ以降のおよそ20年という間、日本人として建国を記念する祝日を定めたいと奮起してきたわけです。

建国記念「の」日

なぜ、「の」がつけられたのか?日本の独自性から徐々に紐解いていきましょう。

ほとんどの国が、「建国記念日」や「独立記念日」という言葉を用いています。

実は、建国記念日がありそうなイギリスは法律で定められた記念日がないそうで、その代わりにイングランドの守護聖人・聖ジョージを記念した日(4月23日)を国家の日としています。

何れにしても、それぞれの国が、建国の日とはこの日であると定めて祝っています。

そしてこれ、すごく興味深いんですが、神話(現在も126代天皇陛下として皇紀2680年続いている)が起源となっている建国記念日は日本しかないんです。Wikiprdia「建国記念日」参照

多くの国が、独立、共和国化、革命といった政治主体の変更などを根拠として記念日を制定しています。

記念日制定に関して、議論が紛糾したわけ イデオロギーの対決

日本の記念日は他国と比べてその歴史的客観性が問題点としてあげられます。

保守の人は、日本人の精神の根源として神武天皇の即位が日本の建国の時だ!と主張し、

他方の革新派は、そうは言っても社会体制の変更が起きているだろうそれを根拠にするべきだ!と主張しました。

一体どの党が何の日を提案したのでしょうか。

Wikipedia(建国記念の日)を参照してみると、

"
具体的に何月何日を記念日とするかについても、議論があった。日本社会党は日本国憲法が施行された5月3日(憲法記念日)、公明党(旧:公明政治連盟)の設立者である創価学会の池田大作会長(当時)はサンフランシスコ講和条約が発効した4月28日をそれぞれ提案した。民社党は聖徳太子が十七条の憲法を制定したとされる4月3日を主張し、朝日新聞も社説で同じ日付を提案した。
"

と書かれています。簡単にまとめ、補足すると、

自民党→2月11日 : 神武天皇即位 紀元節を根拠として

公明党→4月28日 : サンフランシスコ講和条約発効日を根拠として

社会党→5月3日 : 日本国憲法の施行された日を根拠として

民社党→4月3日 : 聖徳太子による17条の憲法の制定日を根拠として

共産党→不承認

以上のようになります。

日本社会党は現在の立憲民主党の左派社会主義、
民主社会党は現在の国民民主党の右派社会主義の立場と同じだと言えるかと思います。

立憲民主と国民民主と、似たような名前で混乱している方もいらっしゃるとは思いますが、日本の建国に対する考え方を見れば思想基盤が明らかになるように思います。

ともかく、建国の日ともなると、各党の思想が衝突することになります。

ここからはもはや言葉遊びのレベルになって、具体的な制定まで議論が進められました。

譲歩としての 「の」

つまり、建国記念「」日は必ずしも「建国記念日」ではなく、「日本という国が建国されていますよ、という事象自体を祝いましょうという日ですよ。必ずしも建国神話に当たる日を指しているわけではないですよ」という双方の譲歩の元に成立した名称だったのです。

当時の国民の反応(世論調査)

こちらもWikipediaから。体裁を整え、加筆修正してあります(加筆の旨を付してありますが、スペースの都合省略している部分もあります)。
1万人から、8700票を有効票として調査された情報です。

2月11日  :47.4% もとの紀元節の日 神武天皇即位の日(筆者加筆)
いつでもよい:12.1% 
5月3日   :10.4% 1947年 日本国憲法施行の日  (既に)憲法記念日
わからない :7.5% 
4月3日   :6.1% 聖徳太子の十七条憲法発布の日 推古天皇12年4月3日
4月28日  :5.8% 1952年 サンフランシスコ講和条約発効日 主権回復
特定の日ではない:3.1%  季節、月などの回答(春、秋、4月、9月など)
趣旨に沿わない回答:2.1%(「建国記念の日を設けることに反対」など)
8月15日  :2.1% ポツダム宣言を受託した日(加筆)
その他の日 :1.4%(旧正月、4月1日、11月3日、その他)
元日    :1.3%
立春の日  :0.5% 二十四節気の第一(加筆)
元始祭の日 :0.1% 1月3日 皇位の元始を祝ぐ年初の宮中祭祀(加筆)


およそ半数の国民が紀元節のままで良いと考えていることがわかります。
一方でどれだけの国民が神武天皇即位に関して理解していたのか(紀元節ですから、紀元としての皇紀の認識は広くあったでしょう)、紀元節から新たな日付に変えるということ自体がイデオロギーによる行為であろうということから、実数として掴みづらいところはあります。

しかし例外を除いて大きく分けると、以下の3つに分けることができるかと思います。

1:日本の天皇という伝統に基づいて

2:憲法あるいは国際的な政治情勢に即して

3:季節の移ろいに合わせて

1番は先に述べたように天皇という存在が前提となっている文化自体に根ざした国家としての連続性を重視しています。

2番は立憲主義、あるいは戦後の反省から生まれた観念です。世界のほぼすべての国がこれを根拠として建国記念日を制定しています。ですが、例えば、日本国憲法が施行された日を建国記念日とした場合、大日本帝国憲法下の戦前との国家としての連続性は無いということになってしまいます。同じ日の丸を掲げた国家です。本当に連続性がないと感じるのでしょうか。

4人にひとりが、建国は重要ではないという認識?

3番は最も面白い結果ですね。わからないという7.5%の人を消極的に3番に含めると実におよそ24.6%の国民が、建国といえども歴史的・神話的事象に立脚する必要がないと考えているのです。4人にひとりが建国という、国家を定義づける重要な考え方に対して1番、2番のような明確な立場を示していないのです。

私の考察ですが、おそらく日本という国家が他に類を見ないレベルで長期間存続し、たとえ大政奉還やGHQによる占領、主権の移動という国体が大きく変わるような出来事があっても日本という国家の連続性に影響を与え得ないと感じているからではないでしょうか。もはや日常として根付いているからこそ、立春であったり季節であったりと、時の移ろいに合わせてしまえば良いという考えに至ったのだと思います。

まさに日本人としての精神性が最も現れているのは、案外この3番なのかもしれません。

建国記念の日は「建国をしのび、国を愛する心を養う」日。

日本人として、あなたはどのような考えを持って建国記念の日を過ごしますか?





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?