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子どもが「やらない」ときに作業療法士が考える事。

作業療法士(OT)は様々な活動(作業)を通して子どもに関わっていきます。活動と子どもをフィットさせる専門家と言っても良いかもしれません。

では、活動と子どもをフィットさせるOTは、
子どもが「やらない」ときに、
その理由をどう考えているでしょうか?

わからない
できない? 
おもしろくない

ほとんどの場合、このどれか、もしくは複数です。
同時に次の事を探していきます。

その子は、
どういう提示だとわかる
どこができている
どんな事がおもしろいと感じる?

はじめの視点で、どこが合っていないのかを探していき、
後半の視点(強み)を使って活動を修正・調整し、
子どもと活動をフィッティングしていきます。

例えば、「手遊び歌」をやりたがらない自閉症の子がいたとします。

わからない:相手と同じ動きをするという事がわからない
→左右別々の色の手袋はめる。
 子どもの右手は黄色、左手は赤。大人の右手は赤、左手は黄色
 子どもの正面に立ち、同じ色の手袋を合わせるようにする
こうすると、同じ動きをするという事が、同じ色の手を合わせるということにより理解することができます。

できない:真ん中をクロスする動きができない(正中線交差と言います)
 →真ん中をクロスする動きは少なく、徐々に真ん中でタッチする動作を入れていく

おもしろくない:好きじゃない歌を歌われるのが嫌。手遊び歌の歌に興味がない。
→子どもの好きなフレーズや歌を使う。「電車の駅名」「数字を数える」「グッジョブ」「あたりまえ~あたりまえ~」
その子の好きな事、ヒットするワードなどを入れる。

いかがでしょうか。作業療法士の考えている事が想像できたでしょうか。
決まった形を子どもに押し付けるのではなく、子どもに合う形で活動を考えていきます。

作業療法士によく求められるADL(日常生活動作)を自閉症の子に教えるのって、実は、かなり難しいんです。
なぜかというと、ADLというのは、文化的な行為が多いので、
自閉症の子はADLなんて「どうでもいい」と思っている場合が多いからです。

だから、教材や課題をやってもらう方が簡単なんです。
わかるように、できるように、おもしろいように 作れるし、作っているからです。

自閉症の子どもにADLをやってもらうには、
作業療法士は、「子どもの特徴」「環境の特徴」「活動の特徴」を理解し、環境と活動を操作していく。
子どもと活動をどんな風にフィットさせていくのは、作業療法士の腕の見せ所だと思います。

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